「脚本は、ある種のラブレター」喜劇作家・三谷幸喜の脚本が心を打つ理由
1月15日放送の「日曜日の初耳学」の人気企画＜インタビュアー林修＞に喜劇作家・三谷幸喜が登場。脚本を書く上で大切にしている思いや脚本術を打ち明けた。
■「この俳優さんの代表作を作りたい」
舞台やテレビドラマ、映画と幅広く活躍する三谷。2022年には自身3作目のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が放送され、大反響を巻き起こしたばかりだ。
三谷脚本の魅力の一つが、一度見たら忘れられない奇想天外なシーン。たとえば映画「ザ・マジックアワー」で佐藤浩市演じる"デラ富樫"がナイフを舐めまわしたり、窓の外でトランポリンを跳ぶシーンなどが思い当たる。
実は、そういった印象的なシーンを起点にストーリーを練り上げていくのが、三谷流。「『この役者さんにこんなことをやってほしいな』と思ったところからあるシーンを思いつき、このシーンを成立させるためにはどういうシチュエーションが必要かを考えます」と三谷は言う。
個々の俳優が光るシーンが積み重なることで、唯一無二の作品が出来上がる。根本にあるのは、俳優を輝かせたい、という思い。「『この俳優さんの代表作を作りたい』っていつも思っています」といい、「脚本は、ある種のラブレター。こんなセリフを言ってもらいたい、このセリフも見たい、という思いでセリフを書いてお渡しする。僕は『俳優さんに書かせていただいている』っていう気持ちでずっとやっています」としみじみ語った。
■「制約を利用して面白いものを作る」
"制約"も三谷作品のキーワードの一つ。「ものを書くときに"制約"をつけるというのは昔から決めていること」だという。たとえば2004年の大河ドラマ「新選組！」では、"各回のエピソードを1日の中で完結するストーリーにする"と決めていた。
"制約"を意識するようになったきっかけは、テレビドラマ脚本に初挑戦したときの経験だ。「なんでもありの小劇場と違って、ドラマはCMも入るし、スケジュールのこともあるし、本当に細かい制約がいっぱいある。その制約を利用して面白いものを作るのが自分の仕事だなと思っているし、それが楽しかったりもするんです」という。
2月に開幕する三谷作・演出の舞台「笑の大学」（東京公演はPARCO劇場にて2/8(水)〜3/5(日)、ほか新潟、長野、大阪、福岡、宮城、兵庫、沖縄にて上演）は、"制約"に向き合う喜劇作家の物語。林先生に見どころを尋ねられ「初めて連続ドラマを書いたときに、与えられた制約をどう物語に反映させて面白いドラマを作るか必死になって書いていた、その経験をそのままこの作品にスライドしているんです」と、着想の原点を打ち明けた。
■大泉洋が語った"三谷幸喜のすごさ"
番組では、「鎌倉殿の13人」をはじめ三谷脚本作品に何度も出演している俳優・大泉洋がVTRで登場し、三谷への思いを語る場面もあった。
「まじめな質問をしたときの的確な返事がすごいんです」、「その時その時で、(俳優に対して)課題じゃないけど"今度はこういうことをやらせてみよう"っていう思いはすごく感じますよね。ありがたいですね」と三谷のすごさを語った大泉。
一方で三谷も、大泉に対して「（本番中に舞台袖でイタズラを仕掛けることがあるが）それは信頼関係。それで芝居がダメになる男ではない、動じる役者ではないとわかっているからイタズラを仕掛ける」と打ち明けるなど、固い絆を感じさせるやり取りを披露した。
■「一番恩返ししなきゃいけないのはテレビドラマ」
歴史好きで知られる三谷。冒頭では、子供のころから一貫して歴史好きであることについて「完全に大河ドラマの影響です。大河ドラマが今の自分を作ってくれたと思います」ときっぱり語っていた。
テレビドラマへの思いは強い。林先生に今後について尋ねられると「舞台も好きだし映画も好きだけど、僕が子供の時に一番最初にハマったのってテレビドラマなんです。一番恩返しをしなきゃいけないのはテレビドラマだと思うので。続きを見るには1週間待たなきゃいけないっていう、その１週間を含めての期待感もあっての連続ドラマってテレビでしかできないことだから、そういうものをもう一本でいいから作ってみたいと思います」と打ち明け、トークを締めくくった。
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三谷幸喜編＜インタビュアー林修＞のTVerはここをクリック！ ※1月22日(日)21:59終了予定
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「日曜日の初耳学」はMBS/TBS系で毎週日曜よる10時放送。
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