男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:相手の“お義母さま”へ手土産を持参したら、そのあと彼が冷たくなった…。女がやっていたNG言動は?




「大輔、ごめん。私大輔とは結婚できない…」

同棲開始から、約2年。交際期間は合計4年。未央の瞳からは、大粒の涙がこぼれ落ちている。

でも、泣きたいのはこっちだ。彼女とは、これからもずっと一緒だと信じて疑っていなかったから。

「未央、それは本気…?」
「うん。ずっと悩んでたくさん考えたけど、やっぱり無理だよ」
「なんで?何かあれば直すから。何でも言って」
「大輔、そう言うことじゃないんだ。私たち、頑張ってきたけど無理だったじゃない」

ポロポロと涙を流す未央。ダイニングテーブルに向かい合ったまま、僕も未央もそれ以上は何も話せなくなってしまった。

「もう、本当に無理ってことだよね…?」
「うん。ごめんね。大好きだったけど、もう終わりにしたい」

この話し合いの1ヶ月後。未央は荷物をまとめて本当に出て行ってしまった。

家を出たあと、彼女はちゃんと暮らしていけるのか、僕のことなんてもうまったく好きじゃないのか…。

聞きたいことは山ほどあるのに、出ていく未央の背中を見送りながら、何も言えない自分がいた。

そして未央がいなくなってしまった部屋はあまりにも広く、寂しくて悲しい気持ちしか残らなかった。


同棲解除を申し出てきた女。男が気がつかない間に女がしていたことは…


Q1:同棲における失敗は?


未央と出会ったのは、5年前のこと。友人が主催した食事会で出会ったのだが、最初は軽い気持ちで連絡できる、友達関係だった。

しかし何度かみんなで食事へ行っている間に、恋愛関係に発展。2年ほど交際したあたりで世の中がコロナになり、自粛ムードも高まった。

外にも行けないし、もっぱら家デートが続いた。「家賃ももったいないし、どうせなら一緒に暮らす?」ということで、未央が僕の住んでいた家へ引っ越してくることになった。




僕としては、軽い気持ちでの同棲だった。でも未央的には重みのあることで、同棲を開始するにあたり、彼女の両親に挨拶をしてほしかったらしい。

「大輔。一緒に暮らすことの意味、わかってる?」
「え、まぁ一応…」
「今年で、私は32歳。大輔は35歳。お互いいい年齢でしょ?だから同棲する前に、一度私の両親に挨拶に来てほしいんだけど」
「え!なんで?」
「ケジメっていうものがあるでしょ。それにこういう挨拶は大事だから」

正直、この時の僕はまだ結婚は考えていなかった。

他の女の子と遊びたいとかはないけれど、まだ誰にも縛られたくない。何より、今の自由な時間が好きだった。

「わかった。でも一旦生活が落ち着いたらにしよう」
「それっていつなの?」
「その時が来たら、ちゃんとご挨拶に伺うから」
「本当に?約束だよ」
「うん、約束する」

結局コロナなどの影響もあり、両親へのご挨拶なく同棲が始まってしまったのだが、内心ほっとしている自分もいた。

でももちろん、未央や未央のご両親を蔑ろにしていたわけではない。ただタイミングを逃してしまっただけで、僕もいつか行かないとなとは思っていた。

そして気がつけば、同棲も2年が過ぎていた。

もちろん、喧嘩もあった。一緒に暮らしている以上、お互いの嫌な部分も見えてくるし、我慢が必要な時もある。でも長くても、1週間程度で仲直りをしてきた。

「大輔、ゲームしている暇があるんだったら洗い物くらいしてよ」
「わかった、後でする」
「後でじゃなくて、今やって」
「これが終わったらするから」

こんな些細な喧嘩はよくあった。

しかし未央から別れを告げられる1ヶ月ほど前。珍しく、大喧嘩した。


その喧嘩が原因なのか?同棲までしたのに女が出て行った理由


Q2:女が出て行った、本当の理由とは?


キッカケは、些細なことだったと思う。日常生活を過ごす中で、本当に何気ないことだったのかもしれない。

そもそも何で喧嘩を始めたのかわからないくらいだ。

その日、未央はなぜかとても機嫌が悪かった。

「大輔ってさ、本当にいつもいい加減だよね。『一緒にこれをしよう』と言っても守らないし、結局私の親への挨拶にも来てないし」
「そんなことないだろ。やる時はやってるし。未央のご両親への挨拶は、タイミングを逃しただけで…」
「結局、結婚だって決めきれていないんでしょ?私、もう34歳だよ?」

未央に「結婚」と言われ、思わず何も言い返せない自分がいる。

「もう少しだけ待って、って言ってるよね?」
「いつもそれしか言わないじゃない」
「僕なりに考えているから、ちょっと待ってて。タイミングもあるし」
「タイミングってなに?とりあえず、私しばらく実家に帰るから」

こう言って荷物をまとめた未央は宣言通り実家へ帰ったようで、結局1週間帰ってこなかった。

そしてこの間に、僕なりにもちゃんと考えていた。そろそろ決めなければいけないな、と…。




「よし。未央が帰ってきたら、ちゃんと結婚の話をしよう」

そう決めて、少しソワソワしながら僕は彼女の帰りを待っていた。しかし実家から戻ってきた未央は、いつも通りケロッとしていた。

「ただいま」
「お帰り〜。実家、どうだった?」
「うん。相変わらずだった。ひたすらのんびりしていたから、ちょっと太っちゃった」
「そうなの?見た目は変わらないけど」

― あれ?喧嘩のこと、忘れてるのかな。

そう思ったけれど、話しておいて損はない。だから僕は、男のケジメとして未央にちゃんと伝えた。

「未央、ごめんな。こう見えて、僕なりにちゃんと結婚のこと考えているから」
「…本当に?」
「うん。本当に。だから信じて」
「わかった。ありがとう、大輔」

こうして僕たちは、いつもの日常生活を取り戻していた…はずだった。

しかし結果として、僕は未央に振られてしまうことになる。

喧嘩もあったけれども、お互いに信頼して将来を一緒に見ていた僕たち。ちゃんと「結婚を考えている」と言葉にもした。

一体、僕は、未央に対して何をしてあげれば良かったのだろうか…。

未央が出て行ってから、ぽっかりと心に穴が開いている。

▶前回:相手のお母様へ持参した手土産。しかしその後彼が冷たくなった…。女がやっていたNG言動は?

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

▶NEXT:5月29日 日曜更新予定
女が出て行った理由と、阻止できた方法とは