「妻が輝いていることが、僕の喜びです」

令和の東京。妻に理解のある夫が増えている。

この物語の主人公・圭太もそのうちの1人。

・・・が、それは果たして、男の本心なのだろうか?

元来男は、マンスプレイニングをしがちな生き物だ。

高年収の妻を支える夫・圭太を通じて、東京に生きる『価値観アップデート男』の正体を暴いていく。

(マンスプ=マンスプレイニングとは、man+explainで上から目線で女性に説明するの意味)

「マンスプ男」一挙に全話おさらい!



第1話:「1年以上もご無沙汰だったのに…」ある夜、夫が豹変した驚きの理由

女性もマウントを取り合うだろうが、男たちのそれはより具体的だ。事実、先ほどの愚かな彼は、僕のそばから離れると、別の同期が連れてきた初対面の女性グループに割って入って、ふたたび醜態をさらしている。

「ねー、君たちさ、俺の年収、知りたくない?」

男たちは自分の年収が自分そのものの価値を決めるものだと盲目的に信じ、他の男たちと競い合っている。

僕は、結婚と同時に、男同士の戦いのリングから降りた。

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第2話:妻が出張中、女と密会していた男。帰宅後、問いただされた夫は…

― なんだよ。すでに他の男にOB訪問していたのか。

反射的に苛立つが、すぐに「落ち着け、落ち着け」と自分に言い聞かせる。他の男と競うようなことは、もうやめたのだ。それよりも、彼女が発した「真野」という名前に引っ掛かる。

「真野って…」
「最近たまにメディアに出ている真野さんです。藤堂さん、ご存知ですか?」

もちろん知っている。知っているも何も、あの男は…。

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第3話:「なぜ妻が男とホテルに…?」平日14時に夫が見てしまった、女の裏の顔

遠巻きに真野のテーブルを見る。置かれたコーヒーは2つ。やはり未久は真野と合流していたようだ。

しかし肝心の未久がいない。トイレにでも立ったのだろうか。

ほどなくして女性が来て、真野の対面に座る。彼女の顔を見た瞬間、僕は頭の中が真っ白になった。

未久じゃない。あれは……。香織だ。

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第4話:妻が仕事でいない昼間、在宅ワークと称して男がコッソリ家でしていたコトとは

真野聡介との一件で、香織の名刺を受け取った未久は、翌日から彼女とメールのやり取りをするようになったと言う。

「えっ、そうだったの?妻から何も聞いてなかった…」
「メールのやり取りをさせてもらう中で『香織さんの会社でインターンさせてください』って言ったんです、私」

僕は思わず天を仰いだ。

― おいおい。何考えているんだ、この娘は…。

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第5話:「実は、私ね…」ベッドの中で、年上妻が夫に打ち明けた衝撃的な秘密とは

香織を仕事に送り出し、家事をしながらイラストレーターの仕事をこなす日々だ。

未久からZoomで呼び出されることもないし、助けを求められることもない。思い返すと、未久は、平穏な日常に突然現れた嵐のような存在だった。

いつしか“モヤモヤした感情”も薄れていく。

しかし、インターンが始まって2ヶ月後、岡山から『未久ちゃんの件で相談したいことがある』とLINEが届いた。僕は、深い眠りから叩き起こされた気分になる。

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第6話:「稼ぐ妻は、寝室で…」円満夫婦に見えるものの、女が離婚を考える瞬間

「マッサージを受けに来たの」
「それだけじゃないでしょ?この前、来たのは1週間前よ。いつもは2週間おきに来る香織が、また来るなんて。しかも2時間コースだし。何か悩みがあることは、お見通しよ」

図星だった。私と同様、茜音も夫よりも稼いでいる女だが、夫婦関係はうまくいっている。だから色々と相談しやすいのだ。

「実はね…」

施術が始まって早々に、私は切り出した。

「最近“離婚”の二文字が頭をかすめるの…」

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第7話:「いい夫ぶるのも、いい加減にして!」妻がイラつく、誰にでも優しい男の本性

未久は嘘をついている可能性が高い。

インターン先の社長に口説かれ、「他に好きな人がいる」と言うなんて、ていよく断るための方便だ。その方便に、自分の夫が使われたことは腹立たしいが、それぐらい想像がつく。

未久に恋をしている岡山が、彼女の嘘を信じるのは、まだわかる。しかし、圭太が「未久の発言が嘘である可能性」を想像できていないのは、情けなく思ってしまう。

そして、最も私をいら立たせているのは――。

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第8話:「あなたの旦那さんが好き」という20代女と妻が対峙。男を虜にする小娘にアラフォー女は思わず…

「私も、その感覚に近いです。藤堂さんは、正直、素敵な男性だと思います。男尊女卑しないし。ちゃんと価値観がアップデートされているし。さすが、香織さんが結婚相手に選んだだけの人だと思います。本当にさすがです!」

未久の勢いに押されて、私は思わず「あぁ、ありがとう」と答えてしまう。

「そういう意味で、私は藤堂さんが好きだし、香織さんとの夫婦関係にも憧れます。かといって藤堂さんと付き合いたいなんて思ってません」

だから安心してください、とでも言うような眼差しで、未久は私を見つめてきた。でも、私は安心できなかった。

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第9話:たった3日間、妻と一緒のベッドで寝なかっただけで…。夫が、女に言われた衝撃の一言

呼び名の変化で距離感を縮める方法が、僕に通じるとでも未久は思ったのだろうか。ここ最近、未久のしたたかさに気づき始めた僕は、“攻略しやすい軽い男”に自分が認定された気がして腹が立った。

未久にとって年上の男性の心をつかむことは簡単かもしれないが、残念ながら僕には通じない。

『久しぶりにお会いして話したいのは山々ですが、こちらも最近忙しくて…すみません。もし話があるならLINEで聞きますよ』

僕は熟考の末そう返信したが、すぐに失敗だったと後悔する。

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第10話:13歳年下女との密会がバレた男。夫の最低な本性を知った妻が放った衝撃の一言

「ねえ、未久ちゃんと会ったでしょ?」

夕食が終わってソファで横並びに座った直後、香織は僕のほうを向いて、強い口調で言った。僕は、一瞬ドキリとしたが、やましいことは何もないので平然と答えた。

「そうそう、実は3日前に会ったんだ」

すぐに報告しようと思ったが、香織が朝から晩まで忙しそうで言うタイミングがなかったと補足する。

「圭太くんは、未久ちゃんと何の話をしたの?」

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第11話:「社内の年下男に誘われて、つい…」離婚トラウマ持ちの、バツイチ女がハマりがちな罠

「バツイチ“あるある”ね。それは」

代官山のリラクゼーションサロン。施術をしながら私の話を聞いていた茜音は、したり顔でそう言った。

そんなのは、よくあることよ――とでも言いたげな茜音の口ぶりに、私は少しだけ苛立ちながら返した。

「私の話のどこが“あるある”なの?」
「このサロンにも、離婚したあと再婚した女の人が結構くるんだけど、みんな同じ“あるある”というか、同じ罠にハマってる」

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