働く堅実女子のためのビジネスで役立つマナー。今週は野田あずささん(仮名・IT関連会社勤務・34歳)からの質問です。

「 少し前の話になりますが、テレビで有名な女性アナウンサーさんと人気芸人さんが結婚する際、『離婚の原因はすれ違いか価値観の違いだから、すれ違いだけでもなくそうと思った』」という理由で女性が引退宣言されていました。世の中の離婚の原因の多くは、確かにそう聞くことが多いです。浮気にしても、物理的なすれ違いが要因になることも多いのでははいでしょうか。それに、私の周囲でも共働きの人のほうが離婚する人は多いです。

私は経済的な理由も含めて社会活動をやめたくないし、結婚してもきっと共働きになるんじゃないかと思います。でも、そういうのはうまくいかないものかな、と不安にもなって……。結婚したら仕事を辞めて専業主婦になったほうが、家庭は円満になりやすいのでしょうか」

内閣府の平成30年度版「男女共同参画白書」によれば、日本の共働き世帯は、平成9年以降増加していて、平成29年には、1,188万世帯。一方で、専業主婦世帯は641万世帯となっています。

また、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という性別役割分担意識に対する割合も、男女ともに賛成よりも反対が上回っています。とはいえ、圧倒的に賛成者が多いというわけではありませんし、「意識としては反対の立場を取るけれど、実際にどうするかは話は別」という人も一定数います。

では、結婚前のお悩み「専業主婦になるべきか否か」問題はどのように考えていけばいいでしょうか。鈴木真理子さんに伺ってみましょう。

令和の世も女性の「結婚と仕事」は天秤にかけられがち

「自分がどうしたいか」が大切

これはもう、本当に「人それぞれ」としかいいようがない問題です。相談者さんもご承知でしょうが、妻が専業主婦という道を選んだからといって、必ずその家庭が円満になるということでもないですよね。

確かに、先のニュースは、共働き世帯が上回っている現代、それを報道している現場でキャリアを積み重ねた女性がその仕事を辞する、ということで衝撃的でした。そのため「こんなに仕事で成功している人でも、結婚して仕事を辞めるんだ、やっぱり専業主婦になるほうが幸せになれるんだ」という受け取られ方をされた方もいらっしゃったかもしれません。

しかし、常に世間の目にさらされ、一挙手一投足が書き立てられる立場から退いたというだけで、“一般人”となり別の仕事をされる可能性も大いにありますよね。同世代の女性の人生の選択を、自分の価値観と重ねながら見てしまいがちだと思いますが「人は人、自分は自分」です。ご自身が共働きを望んでいるのなら、まずはそれでやってみる、というのでいいのではないかと思います。

夫婦円満はふたりの力で生まれるもの

専業主婦になって家庭を守るというのも価値のある仕事です。お相手とご本人が納得しているのであれば、それもひとつの選択でしょう。相談者さんには、決まったお相手がいるのでしょうか。もし、いらっしゃるのであれば、彼の考えも聞いてみてはいかがでしょう。

男性の中には、自分の稼ぎの中で妻にやりくりしてもらうことで、精神的な満足度の高い結婚となる、と考えるタイプもいます。それが功を奏して円満となる、という家庭だってあります。しかしそれも、妻が納得していれば、の話。片方の気持ちだけでどうなるものではありません。もちろん、結婚生活を送る中で、臨機応変に対応していかなければいけませんが、最初に、今の自分の気持ちを伝え、話し合いをもつかどうか、ということはとても大切なことです。

結婚前に不安があるのは当然のことです。もし共働きをしてみて、それでうまくいかないとなれば、そのときに考えればいいこと。辞めたとして、そのあとまた働きたくなったら復活させればいいのです。トライアンドエラーでいいのです。

悩んでいるときには、「一度仕事を辞めたら、同様の仕事には二度とつけなくなる」「希望の仕事なんて見つからない」など、悪いほうにばかり思考が偏ってしまうものですが、今はまだ、悪いことは何も起こっていないのだ、ということを忘れないでください。

今、思っていらっしゃる「自分はこうしたい」という気持ちを大切にしてください。そして、それを受け入れ、ふたりで協力し合っていこうという人を見つけてください。そこを妥協してしまっては、自分の中に不満が残り、それこそ「家庭円満」から遠のいてしまいます。

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■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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