カサカサかかとの原因はまさかの水虫?正しいケアで健康的な足裏に
夏が近づきサンダルコーデが楽しみな季節となりました。そこで気になるのがカサカサと乾燥して、ひび割れたモチのような足裏…。毎日、保湿クリームでお手入れしているのに、一向に乾燥がおさまらないとお悩みの方も多いのではないでしょうか?
足裏のカサカサ、ひび割れ、粉吹き…じつはそれ、水虫が原因かもしれません。そこで、今回は女性に多い水虫の症状や見分け方、正しい治療法などを中島皮フ科理事長の中島知賀子先生に教えてもらいました。
足裏のカサカサ、じつはそれ水虫かもしれませんよ…?(※写真はイメージです。以下同)
水虫と聞くと「中年男性がなるもの」「かゆみがある」といったイメージを持つ方が多いかと思います。しかし水虫の中には、かゆみを伴わない症状もあり、乾燥と思い込み誤ったセルフケアで悪化、周囲に感染させてしまうケースも…。
――CMの影響か水虫は男性に多い感染症という印象ですが、男性と女性のどちらが多いのでしょうか。
「水虫の医学的名称は足白癬(あしはくせん)といい、皮膚にカビが寄生することで生じるとても身近な感染症です。一般的なカビと同様に、温かくジメジメとした環境を好みます。以前は男性の感染率が高い感染症とされていましたが、昨今では女性の感染率も増加傾向にありますね。その背景には女性の社会進出などにより、足を密閉するパンプスやブーツを長時間履き続けることによるムレが原因といえるでしょう。また自覚症状があるなしを問わず、5人に1人が水虫といったデータも出ていますよ」(中島先生)
――5人に1人…ほとんどの人が水虫もちと言っても過言ではありませんね。そして自覚症状のない水虫とはどのようなものでしょうか。
「水虫は大きく分けて皮がふやけたようになるジュクジュク型、小さな水疱が生じる水ぶくれ型、足の裏が硬くなり、ヒビ割れを起こす角質増殖型の3つがあります。このうちの角質増殖型はかゆみがなく、カサつきやヒビ割れなどがおもな症状のため、乾燥と誤解されやすく、いわゆる自覚症状のない水虫といえるでしょう」
――女性の場合、かかとの高い靴を履くことも多いので足の裏が硬くなりがちです。それがヒールタコではなく、水虫の可能性もあるということですね。それにヒビ割れ、これも乾燥によるものと思い込んでしまいそうです。水虫と乾燥、これらの見分け方はありますか?
「水虫と乾燥の見分け方は、足の裏全体がカサカサしているか、かかとのみなど部位的か、となります。かかとのみが水虫となることは、まずありません。足の裏全体の角質が厚くなる、粉をふく、皮がむけるといった症状が見られた場合は水虫を疑いましょう」
――女性の場合、寝る前に保湿クリームをたっぷり塗り、靴下を履いて乾燥ケアをしている方も少なくないと思われます。もしこれが乾燥ではなく水虫であった場合、どうなるのでしょうか。
「水虫はカビが原因です。保湿クリームに含まれる水分と体温により、靴下の中は水虫の温床となってしまいます。また、厚くなってしまった角質を足専用ヤスリなどで削ってしまうと、細かな傷からカビが侵入しやすくなり、水虫が感染しやすく、もしくは悪化させてしまう可能性があるため注意が必要です」
――水虫は感染症であることから、同居する家族の中に水虫保菌者がいた場合、感染経路はすぐに判明します。しかし、ひとり暮らしで水虫に感染した場合、その感染経路はどこにあるのでしょうか。
「水虫菌(白癬菌)はいたるところに存在します。プール、温泉、スポーツジムの更衣室など、素足になる場所であればどこでも感染経路になるといえるでしょう。ただ、水虫は付着してすぐに感染を起こすわけではありません。24時間以内に洗い流し、清潔にすることで水虫感染は防げるので必要以上に神経質になることはありませんよ」
――水虫かもしれないと思っても、恥ずかしさから病院に行かない方も多いかもしれません。水虫に感染した場合、自然治癒はしないのでしょうか。また、いわゆる民間療法で治せるものでしょうか。
「残念ながら一度感染した水虫は自然治癒しません。市販薬などで一時的に症状が治まったとしても、皮膚の奥に水虫菌(白癬菌)が残っていれば、いずれ再発します。そしてネットなどで見かける民間療法の多くは、殺菌作用など、それらしく効能効果を語っていますが、皮膚のかぶれや症状悪化を引き起こすこともあるため、絶対にやめてくださいね」
――皮膚科で行われる水虫検査にはどのようなものがありますか? また治療期間はどのくらいかかるのでしょうか。
「一般的な水虫検査は皮膚の一部を採取し、顕微鏡で観察する検査方法となります。皮膚採取といっても痛みはほとんどありませんのでご安心ください。結果は当日に分かるため、すぐに適切な治療を行います。治療期間は症状によって異なりますが、外用薬であれば約1ヶ月間の治療が必要です。2週間ほどで症状が治まったように感じますが、これは薬効によって水虫菌が抑制されているためであり、自己判断で治療を中止してしまうと再発してしまいます。必ず医師の指導のもと、決められた期間の中で正しい治療を行いましょう」
――どこにでも潜んでいる水虫菌、しかし24時間以内に洗い流せば感染率は下がるとのことでした。今日から帰宅後のうがいと手洗いに足洗いも追加しようと思います。ところで正しい手洗い法があるように、正しい足洗い法はあるのでしょうか。
「基本的には手と同様に、石鹸をしっかり泡立て指の間を丁寧に洗うことです。硬い爪ブラシなどでゴシゴシこすり、細かい傷をつくってしまうと水虫菌が入り込みやすい状態となるためご注意くださいね。洗った後は清潔なタオルで水気をよくふいて、水虫菌が繁殖しにくい湿度を保つことが大切です」
●美しい素足のために
どこにでも潜み、男女問わず感染する水虫。足の裏全体の乾燥や粉吹きが気になりだしたら、安易に乾燥と決めつけず、皮膚科で検査・治療を行うことが大切です。
カサつきのない健康的な美しい素足で真夏のサンダルコーデを楽しみましょう!
<取材・文/城戸香>
●教えてくれた人
中島皮フ科
理事長。ニキビ・アトピーなどの一般皮膚疾患、最新式光治療などを専門とする。敏感肌にも使用できる低刺激ドクターズコスメも数多く取り揃え、一人ひとりに最適なホームケアのアドバイスも丁寧に行う。メディカルエステも併設され、自信のもてる素肌と心からの笑顔へと導く診察を提供。
足裏のカサカサ、ひび割れ、粉吹き…じつはそれ、水虫が原因かもしれません。そこで、今回は女性に多い水虫の症状や見分け方、正しい治療法などを中島皮フ科理事長の中島知賀子先生に教えてもらいました。
足裏のカサカサ、じつはそれ水虫かもしれませんよ…?(※写真はイメージです。以下同)
かゆみがないのに水虫?無自覚で他人にうつしている可能性も
水虫と聞くと「中年男性がなるもの」「かゆみがある」といったイメージを持つ方が多いかと思います。しかし水虫の中には、かゆみを伴わない症状もあり、乾燥と思い込み誤ったセルフケアで悪化、周囲に感染させてしまうケースも…。
●かゆいだけが水虫じゃない!女性水虫に多い症状
――CMの影響か水虫は男性に多い感染症という印象ですが、男性と女性のどちらが多いのでしょうか。
「水虫の医学的名称は足白癬(あしはくせん)といい、皮膚にカビが寄生することで生じるとても身近な感染症です。一般的なカビと同様に、温かくジメジメとした環境を好みます。以前は男性の感染率が高い感染症とされていましたが、昨今では女性の感染率も増加傾向にありますね。その背景には女性の社会進出などにより、足を密閉するパンプスやブーツを長時間履き続けることによるムレが原因といえるでしょう。また自覚症状があるなしを問わず、5人に1人が水虫といったデータも出ていますよ」(中島先生)
――5人に1人…ほとんどの人が水虫もちと言っても過言ではありませんね。そして自覚症状のない水虫とはどのようなものでしょうか。
「水虫は大きく分けて皮がふやけたようになるジュクジュク型、小さな水疱が生じる水ぶくれ型、足の裏が硬くなり、ヒビ割れを起こす角質増殖型の3つがあります。このうちの角質増殖型はかゆみがなく、カサつきやヒビ割れなどがおもな症状のため、乾燥と誤解されやすく、いわゆる自覚症状のない水虫といえるでしょう」
●水虫と乾燥の見分け方と悪化を招くケア方法
――女性の場合、かかとの高い靴を履くことも多いので足の裏が硬くなりがちです。それがヒールタコではなく、水虫の可能性もあるということですね。それにヒビ割れ、これも乾燥によるものと思い込んでしまいそうです。水虫と乾燥、これらの見分け方はありますか?
「水虫と乾燥の見分け方は、足の裏全体がカサカサしているか、かかとのみなど部位的か、となります。かかとのみが水虫となることは、まずありません。足の裏全体の角質が厚くなる、粉をふく、皮がむけるといった症状が見られた場合は水虫を疑いましょう」
――女性の場合、寝る前に保湿クリームをたっぷり塗り、靴下を履いて乾燥ケアをしている方も少なくないと思われます。もしこれが乾燥ではなく水虫であった場合、どうなるのでしょうか。
「水虫はカビが原因です。保湿クリームに含まれる水分と体温により、靴下の中は水虫の温床となってしまいます。また、厚くなってしまった角質を足専用ヤスリなどで削ってしまうと、細かな傷からカビが侵入しやすくなり、水虫が感染しやすく、もしくは悪化させてしまう可能性があるため注意が必要です」
ひとり暮らしでも水虫感染?おもな感染経路とは
――水虫は感染症であることから、同居する家族の中に水虫保菌者がいた場合、感染経路はすぐに判明します。しかし、ひとり暮らしで水虫に感染した場合、その感染経路はどこにあるのでしょうか。
「水虫菌(白癬菌)はいたるところに存在します。プール、温泉、スポーツジムの更衣室など、素足になる場所であればどこでも感染経路になるといえるでしょう。ただ、水虫は付着してすぐに感染を起こすわけではありません。24時間以内に洗い流し、清潔にすることで水虫感染は防げるので必要以上に神経質になることはありませんよ」
●自然治癒は見込めない厄介な水虫
――水虫かもしれないと思っても、恥ずかしさから病院に行かない方も多いかもしれません。水虫に感染した場合、自然治癒はしないのでしょうか。また、いわゆる民間療法で治せるものでしょうか。
「残念ながら一度感染した水虫は自然治癒しません。市販薬などで一時的に症状が治まったとしても、皮膚の奥に水虫菌(白癬菌)が残っていれば、いずれ再発します。そしてネットなどで見かける民間療法の多くは、殺菌作用など、それらしく効能効果を語っていますが、皮膚のかぶれや症状悪化を引き起こすこともあるため、絶対にやめてくださいね」
●皮膚科で行う水虫検査法と治療期間
――皮膚科で行われる水虫検査にはどのようなものがありますか? また治療期間はどのくらいかかるのでしょうか。
「一般的な水虫検査は皮膚の一部を採取し、顕微鏡で観察する検査方法となります。皮膚採取といっても痛みはほとんどありませんのでご安心ください。結果は当日に分かるため、すぐに適切な治療を行います。治療期間は症状によって異なりますが、外用薬であれば約1ヶ月間の治療が必要です。2週間ほどで症状が治まったように感じますが、これは薬効によって水虫菌が抑制されているためであり、自己判断で治療を中止してしまうと再発してしまいます。必ず医師の指導のもと、決められた期間の中で正しい治療を行いましょう」
●勝負は24時間。水虫感染を防ぐために正しい足洗いを
――どこにでも潜んでいる水虫菌、しかし24時間以内に洗い流せば感染率は下がるとのことでした。今日から帰宅後のうがいと手洗いに足洗いも追加しようと思います。ところで正しい手洗い法があるように、正しい足洗い法はあるのでしょうか。
「基本的には手と同様に、石鹸をしっかり泡立て指の間を丁寧に洗うことです。硬い爪ブラシなどでゴシゴシこすり、細かい傷をつくってしまうと水虫菌が入り込みやすい状態となるためご注意くださいね。洗った後は清潔なタオルで水気をよくふいて、水虫菌が繁殖しにくい湿度を保つことが大切です」
●美しい素足のために
どこにでも潜み、男女問わず感染する水虫。足の裏全体の乾燥や粉吹きが気になりだしたら、安易に乾燥と決めつけず、皮膚科で検査・治療を行うことが大切です。
カサつきのない健康的な美しい素足で真夏のサンダルコーデを楽しみましょう!
<取材・文/城戸香>
●教えてくれた人
【中島知賀子先生】
中島皮フ科
理事長。ニキビ・アトピーなどの一般皮膚疾患、最新式光治療などを専門とする。敏感肌にも使用できる低刺激ドクターズコスメも数多く取り揃え、一人ひとりに最適なホームケアのアドバイスも丁寧に行う。メディカルエステも併設され、自信のもてる素肌と心からの笑顔へと導く診察を提供。