“禁酒”すると脳機能が回復!? 精神科医が教える、お酒を飲まないメリットとは?

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おうち時間が増えて、酒量が増えたという人は多いのではないでしょうか。禁酒をしたいなと思ってはいるものの、大好きなお酒を止めるのは難しいですよね。

でも、禁酒のメリットが分かればモチベーションにつながるはず。そこで、今回は精神科医の井上智介さんが考える“禁酒がもたらすメリット”について話を伺いました。

飲酒による影響は?画像:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA(ピクスタ)

--お酒を飲むと、メンタルにはどのような作用を及ぼすのでしょうか?

これまで一般的に、適量のアルコールに関しては、ストレス発散や気分高揚などのメンタル面にいい影響があるといわれてきました。しかし最近では、アルコールの飲み過ぎでなくとも、脳内の海馬が萎縮するという研究結果(※1)も出ています。また、流暢に話すための言語能力の低下と関連しているとも報告されています(※1)。

さらに、アルコール依存症の状態であれば、肝機能低下などの身体的な問題や、抑うつなどの精神的な問題を抱えることもあります。

--飲酒に依存することで、メンタル面にどのような影響を与えますか?

アルコールは脳内のドーパミン濃度を増やすといわれています。これは快感をもたらすとされる物質にあたるのですが、耐性ができてしまうと、これまでと同じ飲酒量では以前と同様の気持ちよさを得ることができなくなってしまいます。

その結果、飲酒量がどんどん増え、自分で欲求をコントロールできなくなってしまいがち。すると、アルコールを第一に考える生活になり、社会的な優先順位すらつけることができないほどになってしまう人もいます。

禁酒をすることのメリットは?画像:JADE/PIXTA(ピクスタ)

--禁酒をすることで得られることは何でしょうか?

お酒による“デメリット”がなくなることだと考えています。たとえば、一般的に飲酒すると、睡眠中に喉の筋肉が落ち込んでしまって気道が狭くなりがち。睡眠中に低酸素状態が続いてしまうと、睡眠が浅くなり日中眠気に襲われることも。禁酒すればそれらを回避できます。日中の眠気も感じにくくなり、仕事などに集中力しやすくなるでしょう。

また、厚生労働省の『e-ヘルスネット』では「飲酒による脳萎縮は断酒することによって改善することも知られています」(※2)と説明されています。禁酒することで、脳萎縮からの回復が期待されるので、その経過によって、失っていた脳機能を取り戻す可能性も考えられます。

--メンタル面に現れるメリットも教えてください。

飲酒はドーパミンという快楽物質が脳内に放出され、快感や喜びに結びつきます。しかし、その報酬をさらに求める回路が脳内にできあがり、次第に喜びを感じる中枢神経の機能が低下することもあるといわれています。

そのため、断酒をすることによって些細なことに対する嬉しい、楽しい、おいしいなどのポジティブな感情の気づきを期待できるでしょう。

また、睡眠についても変化が期待できます。飲酒によってレム睡眠という浅い睡眠の時間が増えてしまうといわれていて、睡眠の途中で目が覚めてしまうこともあります(※3)。禁酒をすることでレム睡眠とノンレム睡眠が規則正しく交互に繰り返されやすくなり、質のいい睡眠がとれるようになるでしょう。

以上、飲酒によってもたらされるメンタル面へのメリットをご紹介しました。まずは少しずつでも酒量を減らし、禁酒のメリットを実感してみませんか?

※本サイトにおける医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

画像:井上智介

【画像・参考】
※1 BMJ (Clinical research ed.). 2017 Jun 06;357;j2353. doi: 10.1136/bmj.j2353.
※2 松下 幸生. アルコールと認知症 - e-ヘルスネット(厚生労働省)最終閲覧年2021
※3 内村直尚. アルコール依存症に関連する睡眠障害
※sidelniikov・ペイレスイメージズ1(モデル)・JADE/PIXTA(ピクスタ)

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