田中みな実、弘中綾香、松本まりか…“あざとい”女性が人気のワケ
複雑化した人間関係のなかで存在感を放つ強みとなる“あざとさ”。それは自分の個性を把握して、魅力として前面に押し出していくこと。男女からその概念が肯定されるようになった新時代に、いかにして自分にも落とし込んでいくのかを、プロと先駆者から学びます。
“あざとい”女性の圧倒的な唯一無二性。
これまで「抜け目ない」「ぶりっ子」という意味で使われていた“あざとい”という言葉。しかし最近では、あざとく生き抜こうとするまっすぐな姿勢と力強さに、世の中が共感するように。
「僕がこれまでにあざといと感じた方に共通して思うことは、それぞれが持つ唯一無二性の強さ。これを圧倒的な努力や鍛錬で前面に醸し出していく姿勢こそ、“あざとい”の精神なのではないかと思います。目の前にしたら性別関係なく、もはや生命体レベルで惹きつけられるぐらい、その人のことを知りたくなってしまうんです」(テレビプロデューサー・芦田太郎さん)
自分の素の部分や魅力をあざとく見せていくことは、新時代をたくましく生き抜くエッセンシャルな能力。そこで“あざとい”代表の3人にフォーカスし、その特徴や強みを分析してみる。
田中みな実さん
計算した内容を明かし人に好かれるのは、新しい価値観。
多くの男女をトリコにしてしまう田中みな実さんは、持ち前のストイックな姿勢を披露し、誰よりも早くあざとい女子にシフト。「ある時、自分のテクニックがなぜ人々を惹きつけるのかをロジカルに解説する場面を見て、計算して人に好かれることを『何が悪いことなの?』とあえて公表するその戦略は、アップデートされた価値観だと思った。“あざとさ”はもはや社会をうまく回すために必要な能力だと考え始めました」
たなか・みなみ アメリカ出身。TBSアナウンサーを経てフリーに。司会やMCのほか2019年からは女優としてテレビドラマでも活躍中。
弘中綾香さん
“らしさ”を受け入れさせるあざとさが魅力。
「会社の後輩でもある弘中アナは、田中みな実さんとはまた別のベクトルの個性。幼少期から培われた語彙力+大胆さから、発言や言葉に威力を持っていて、大物芸能人や芸人相手でも引けを取らない肝の据わり方がまさに天性そのもの」。そんな弘中さんの個性は「綿密な計算で人に好かれようとしていないところ。自然体で『弘中アナらしいな』と受け入れさせる強い生き様が、あざとさとなっているのかもしれません」。
ひろなか・あやか 神奈川県出身。テレビ朝日アナウンサー。『激レアさんを連れてきた。』などのレギュラーを持つ。
松本まりかさん
美しさや独特の妖艶さにより際立つあざとさ。
「“怪演”といわれる圧倒的な演技力に魅了された」と言う芦田さん。「10分間無言を貫くインスタライブの独自性は、唯一無二の世界観。それでいて『これの何があざといの?』(タメ口がポイント)とまっすぐな瞳で聞き返された時はやられました(笑)」。魔性の妖艶さを際立たせる、つかみどころのない会話の間の取り方や言葉のチョイスは、誰にも真似できない天然さを活かした自己ブランディングの極み!
まつもと・まりか 東京都出身。2000年にドラマ『六番目の小夜子』で女優デビュー。’18年のドラマ『ホリデイラブ』で見せた悪女ぶりが話題に。
“あざとさ”はじわじわ進化していた! 次世代あざと女子は、濃度2倍の前傾姿勢。
あざとさへの理解が深まる中、最近芦田さんが注目しているのが、乃木坂46の山下美月さん。
「番組に逆オファーしてきた山下さんは、撮影の時に『台本を5回読み直し過去の特番を3回ずつ見てきた』とアピールしてきたんです。錚々たるあざとい方たちを見てきたプロデューサーの僕に、それでも伝えてくる心意気があざとい(笑)。プロ意識に心打たれ、新企画の連ドラの主演にも抜擢したほどです」
山下さんのノンストップな前のめり姿勢は、あざと先駆者をも脅かす存在感。
「いざミニドラマを演じてもらったら台本を完璧に覚えていて。番組に対する研究や何が求められているかの察知能力、行動力が、20歳そこそこで出るものではありませんでした」
“あざとさ”は次世代にも継承され、今後も新たな魅力としてさらにパワーアップしそう。
やました・みづき 1999年7月26日生まれ、東京都出身。乃木坂46三期生。1/26発売のグループ26枚目となるシングル『僕は僕を好きになる』で初のセンターに抜擢された、注目の次世代エース。『CanCam』の専属モデルを務めるほか、バラエティや情報番組などテレビにも多数出演。
芦田太郎さん 1985年生まれ。2008年にテレビ朝日に入社。『あいつ今何してる?』『あざとくて何が悪いの?』『さまぁ〜ず論』などテレビ朝日の人気番組を次々と生み出したプロデューサーで、演出や番組内のドラマの台本も手がける。
※『anan』2021年1月13日号より。イラスト・green K 取材、文・若山あや
(by anan編集部)