新型コロナウィルスの影響により、2020年夏の移籍市場は10月まで開催されることになり、バイエルン・ミュンヘンは閉幕間際に4人の新規獲得選手、ブナ・サール、マルク・ロカ、ダグラス・コスタ、そしてエリック=マキシム・シュポ=モティングの獲得を発表。早速のその後の最初の公式戦では、代表選期間明けということもあり、ドイツ杯初戦にて4人ともそろい踏みとなったものの、その後の出場機会は決して多いものとは言えない。

 トータル1530分の出場可能時間のうち、4人の中で最も長くプレーしているのが、右サイドバックを主戦場とするサールの546分だ。代表経験もCL出場経験もない28才のフランス人DFに対し、バイエルンは驚くべきことに4年契約を締結。同国出身パヴァールのバックアッパーとして迎え入れたものの、そのパヴァールが不振に喘ぐ中で現在、サールもまたその代役として存在感を示すことができていない。守備面では相手に多くを許しすぎ、攻撃面ではクロスの精度に欠ける。

 その次の出場機会を得ているのが、ウィングを主戦場とするダグラス・コスタである。ユベントスから1年間の期限つきで加入した元ブラジル代表は、明らかにバイエルンにおける序列はコマン、ニャブリ、サネに続く4番手。ドリブルでの打開シーンは滅多に見受けられず、むしろロストへと繋がるシーンが多い。年齢やコロナ危機による財政難を考慮して、この夏の買取オプション行使の可能性はあり得そうにない。

 エリック=マキシム・シュポ=モティングについては、ここまで385分間のみに止まってはいるものの、カメルーン代表主将のロッカールームにおける振る舞いは非常に高評価であり、加入当初よりその役割はレヴァンドフスキのバックアッパーとしてのもの。同選手へ休養を与える際や、また試合終盤にセカンドアタッカーが求められるときのオプションとしてプレー。そういった部分からも、ここまでドイツ杯2得点、CL1得点という数字は決して問題のあるものではないが、ただ年末に行われたブレーメン戦にて決勝弾を逃したシーンは痛かった。

 この4人の新戦力のうち、もっとも期待値が高かった選手こそ、ここまで最も出場時間の少ない267分間のみに止まっている、マルク・ロカである。まさにここまでは期待外れであり、むしろ何故エスパニョールが降格した際にスペインの主要クラブが関心を見せていなかったのかを示す結果にもなった。ただバイエルンは5年契約を締結しているところであり、今後の巻き返しをはかるため大幅な改善をみせてもらわなくてはならないだろう。今は守備的人材が不足している状況にあっても、ロカはそのオプションにさえなりきれていない。