【漢字トリビア】「守」の成り立ち物語
「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今日の漢字は「守る」。
「守備」「保守」の「守(シュ)」、「留守」の「守(ス)」とも読む漢字です。
(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年9月21日(土)放送より)
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/f/3/f3a62_1530_004f6ea0bd9436d4038318fbadbb736b.jpg)
「守る」という字は「うかんむり」の下に「寸法」「寸分」の「寸」と書きます。
うかんむりは、祖先の魂を祀る霊廟の屋根の形。
「寸」という字は指を伸ばした右の手を描いたもので、古い字体では盾を手に持つ様子を表しています。
そこから「守る」という漢字は「大切な建物をまもる」という意味になりました。
のちにすべての「もの」や「こと」を「まもる」場合に使われるようになり、
さらに「保つ・おさめる・つかさどる」といった意味も派生しました。
いにしえの人々が過ごす、静かな秋の夜。
祖父は父親として一家を支える息子の器に酒を注ぎ、
祖母は若い母親のかわりに繕いものを引き受けます。
幼子たちは互いに手をつないで寝息をたて、母親は生まれたばかりの赤子に乳を含ませています。
そして、母親がかざすすひとさし指を力強く握り返すのは、
小さくふっくらとした赤子の手。
つつましくも幸福な暮らしは、ぬくもりが通い合う家族の手によって守られています。
昔も今も、人は守るべきものを想って心に盾をもち、毎日を生き抜いているのです。
今日の漢字は「守る」、「守備」の「守(シュ)」。
祖先の魂を祀る霊廟のもとで盾を手にもつ様子を表し、そこから「まもる」という意味をもつ漢字になりました。
素性も明かさず心無い言葉を投げつけてくる人や、身勝手な正義をふりかざす人。
彼らは、ふと気を緩めたその隙に、他人の心を壊しにかかってきます。
そんなときは「守る」という漢字のなりたちを思い出し、
心の中の盾を軽やかに操って、すべてを跳ね返してしまいましょう。
僧侶で作家の枡野俊明(ますの・しゅんみょう)氏は、
自らの心を守るためには、心を「柔軟に」することだと説きます。
禅のことばで言う「柔軟心(にゅうなんしん)」とは、決まった形のない心のこと。
空に浮かぶ雲のような柔軟さで、ストレスを受け流すのです。
また、心が乱れそうになったら雲をながめ、自然の営みに目を向けて、
自然の一部としての人間の営みに回帰せよ、と教えてくれます。
そうすれば、心はきっと、守られる。
どこまでも高い秋の空に広がる雲に心を乗せて、しばしのひと休み。
私たちが何よりもまず守るべきものは、自分自身の心です。
漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……。
ほら、今日一日が違って見えるはず。
*参考文献 『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
『上手な心の守り方』(枡野俊明/三笠書房)
9月28日(土)の放送では「詩」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。
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【▷▷この記事の放送回をradikoタイムフリーで聴く◁◁】 http://www.tfm.co.jp/link.php?id=7120
聴取期限 2019年9月29日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ http://www.tfm.co.jp/timefree_pr/)
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
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<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜8:20〜8:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/kanji/
「守備」「保守」の「守(シュ)」、「留守」の「守(ス)」とも読む漢字です。
(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年9月21日(土)放送より)
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/f/3/f3a62_1530_004f6ea0bd9436d4038318fbadbb736b.jpg)
「守る」という字は「うかんむり」の下に「寸法」「寸分」の「寸」と書きます。
「寸」という字は指を伸ばした右の手を描いたもので、古い字体では盾を手に持つ様子を表しています。
そこから「守る」という漢字は「大切な建物をまもる」という意味になりました。
のちにすべての「もの」や「こと」を「まもる」場合に使われるようになり、
さらに「保つ・おさめる・つかさどる」といった意味も派生しました。
いにしえの人々が過ごす、静かな秋の夜。
祖父は父親として一家を支える息子の器に酒を注ぎ、
祖母は若い母親のかわりに繕いものを引き受けます。
幼子たちは互いに手をつないで寝息をたて、母親は生まれたばかりの赤子に乳を含ませています。
そして、母親がかざすすひとさし指を力強く握り返すのは、
小さくふっくらとした赤子の手。
つつましくも幸福な暮らしは、ぬくもりが通い合う家族の手によって守られています。
昔も今も、人は守るべきものを想って心に盾をもち、毎日を生き抜いているのです。
今日の漢字は「守る」、「守備」の「守(シュ)」。
祖先の魂を祀る霊廟のもとで盾を手にもつ様子を表し、そこから「まもる」という意味をもつ漢字になりました。
素性も明かさず心無い言葉を投げつけてくる人や、身勝手な正義をふりかざす人。
彼らは、ふと気を緩めたその隙に、他人の心を壊しにかかってきます。
そんなときは「守る」という漢字のなりたちを思い出し、
心の中の盾を軽やかに操って、すべてを跳ね返してしまいましょう。
僧侶で作家の枡野俊明(ますの・しゅんみょう)氏は、
自らの心を守るためには、心を「柔軟に」することだと説きます。
禅のことばで言う「柔軟心(にゅうなんしん)」とは、決まった形のない心のこと。
空に浮かぶ雲のような柔軟さで、ストレスを受け流すのです。
また、心が乱れそうになったら雲をながめ、自然の営みに目を向けて、
自然の一部としての人間の営みに回帰せよ、と教えてくれます。
そうすれば、心はきっと、守られる。
どこまでも高い秋の空に広がる雲に心を乗せて、しばしのひと休み。
私たちが何よりもまず守るべきものは、自分自身の心です。
漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……。
ほら、今日一日が違って見えるはず。
*参考文献 『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
『上手な心の守り方』(枡野俊明/三笠書房)
9月28日(土)の放送では「詩」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。
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聴取期限 2019年9月29日(日) AM 4:59 まで
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放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜8:20〜8:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/kanji/