アマゾンや大手PCメーカーも中国国外に生産拠点を移転か(日経報道)
米中貿易摩擦の長期化が懸念されるなか、マイクロソフトやアマゾンなどのハイテク企業や大手PCメーカーが中国国外へ生産拠点の移転を検討していると報じられています。

すでにアップルもサプライヤーに生産能力の15〜30%を中国から東南アジアへ移す可能性を検討するよう求めたとの噂が報じられていましたが、こうした動きは着実に広がりを見せているようです。Nikkei Asian Reviewの報道によると、世界第1位と第3位であるPCメーカーのHPとDELLは世界市場の40%のシェアを占める存在。そうした2つの企業が、ノートPCの生産量の最大30%を中国国外に移すよう計画していると伝えられています。

そして複数の情報筋の話では、マイクロソフトやGoogle、アマゾンやソニー、任天堂もゲーム機やスマートスピーカー生産の一部を中国国外に移転させることを検討中とのこと。LenovoグループやAcer、ASUSなどその他の大手PCメーカーも同様の計画を考えているそうです。

先月末のG20大阪サミットにて米トランプ大統領と中国の習近平国家主席は直接会談し、米政府はファーウェイへの禁輸措置を緩和するとともに対中追加関税もひとまず見送ったと発表しました。

しかしNikkei Asian Reviewによれば、それでもハイテク各社の計画は影響を受けないとの見通し。その背景には(米中関係の)状況は依然として不確実性が高すぎる一方で、中国でのコスト上昇が各メーカーに生産拠点の移転の考慮を促している事情があるとのこと。「すでに中国の高騰した生産コストは世界的な受注の減少に繋がっている。今や、貿易戦争にまつわる不確実性が傷口を広げている」という関係者の談話が伝えられています。

さらに米中の長期にわたる貿易摩擦が解決したとしても、今度は中国がエレクトロニクス機器の生産拠点としての激しい競争に晒されることになる......専門家はそう語っています。中国国外への生産移転は関税のみならず長期的なリスク(たとえば人件費の上昇)も考慮に入れた動きで、「今後数年間で、東南アジア諸国とインドはエレクトロニクス生産において新たな競争力ある拠点となるだろう」と予測されています。

Nikkei Asian Reviewの問い合わせに対して、AcerとASUSはどちらも中国国外に一部の生産を移す可能性を模索していると認めたとのこと。DELLは生産移転へのコメントを避けつつ「米中両政府が未解決の問題を解決するために対話を続けることを望む」と回答。そしてHP、Google、マイクロソフト、ソニー、任天堂、Lenovo、アマゾンはノーコメントだったと伝えられています。

アップルも中国での生産リスクとして同国での少子化や人件費の高騰を織り込んでいると報じられていましたが、国が豊かになるにつれて「安くて豊富な労働力」という武器がなくなるのは避けられないこと。ハイテク各社が生産拠点を移転させる動きも、中国に代わって東南アジア諸国が新たな一大勢力に成長する前兆なのかもしれません。