義務教育の見直しについて語る森喜朗前首相(撮影:小木曽浩介)

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森喜朗前首相は7日、自民党立党50周年記念事業の一環として党本部で開かれた「歴代総裁・官房長官リレー講演会」の講師として、「決断!あのとき私はこうした」の演題で講演した。首相就任時にガンと診断されたエピソードなどを語り、「(首相を)命がけで1年やって、改革の芽だけ作ろうと思った。全部、その芽は作った」と振り返った。

 質疑応答では、日本の重要課題を問われ「党にとって取り組む大事な問題は、歳入と歳出のバランスをうまくどう取るか。具体的にいえば、税をどうするのか。税を取る前に、小泉さんが言うように、どうやって歳出を削減できるのか。それから、社会保障に関する経費をどうするのかが、一番取り組まなければならないテーマだ」と答えた。

 また、自身の課題として教育についても言及。姉歯(あねは)建設事務所による耐震強度偽装問題などを例に挙げて「モラル、人間性の問題。基本的にはやはり教育だ」と話し、「義務教育を見直したい。就学年齢を3、4歳に下げて、プレ小学校などを作り、そこから小学6年生までを義務教育にして、高等学校と中学を一貫教育にして別の形を考えるのはどうかと思っている。若手議員の諸君に言って、取り組んでもらいたい」と考えを明かした。

 さらに、小泉改革について「世の中、いろんな意味で矛盾がある。それを改革をして、小さな政府をやっていこうという小泉さんのやり方は是」と評価しつつも、「それだけでは本質的、根本的なものは直らない。国と地方の問題、家族社会の問題、教育の問題を、新人にしっかり取り組んでもらいたいし、そういう音頭をとって、お手伝いを喜んでやりたい」と語った。【了】