寒い日の朝は血圧に要注意

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【あさチャン あさトク】(TBS)2017年11月22日放送
寒い日の朝に突然死まねく! 「血圧サージ」に注意

寒波に見舞われる季節がやってきたが、寒い日の朝に注意したいのが「血圧サージ」だ。「サージ」とは英語で「高波」。その名前のとおり、血圧が突然急上昇して心筋梗塞や脳卒中を引き起こす。最悪、突然死する人もいる。

自覚症状がなく、血圧が正常な人でもかかる恐ろしい病気だ。血圧サージの見極めた方と防ぐ方法を紹介する。

血圧が正常な人でも突然、脳卒中や心筋梗塞

番組では冒頭、血圧サージ現象を起こした血管の映像をうつした。血液が普通に流れていた血管の幅が、急に3分の1以下の狭さに圧縮された。すると、血液の流れが一気に加速、まるで台風の豪雨で氾濫する川のような急流となった。この奔流する血液が血管の壁を押しあげ、血圧を急上昇させるのだ。

血圧サージを研究している自治医科大学の苅尾七臣教授によると、起床直後の血圧(最高値)が145以上に上昇することを「血圧サージ」と呼び、日頃の健康診断で血圧が正常値の人にも起こる。血圧サージのリスクを抱える人は推計1800万人にのぼる。日本人の7人に1人になる計算だ。

苅尾教授「血圧サージが見られる人は、そうでない人に比べ、脳卒中や心筋梗塞のリスクは2.5倍高まります。高齢者やもともと血圧が高い人だけではなく、若い人も血圧サージは起こります。怖いのは自覚症状がないことです。何度も血圧サージを起こしていると、血流の圧力で血管の壁がダメージを受け、最後はバーンと脳卒中や心筋梗塞を引き起こします」

宮城県で農業を営む首藤孝治さん(75)は、血圧がずっと正常値だったのに、4年前、脳梗塞で突然倒れた。朝ゴミを出して帰ってきた後、食事をとろうとすると、右手でコップをつかむことができない。右手と右足に違和感があり、フラフラと倒れ込んだ、すぐに救急車を呼び、発見が早かったのが幸いした。

首藤さん「俺はもうおしまいだと思いました。先生に、もう少し遅れていたら大変なことになっている、と言われました」

首藤さんを診察した南三陸病院の西澤穝史医師は、退院後、首藤さんに毎日2時間ごとに血圧を測らせた。すると、日中や深夜は140以下の正常値で安定していたが、朝の8〜9時ごろだけ180に急上昇することがわかった。典型的な血圧サージだった。なぜ、こんなことが起こるのか。

西澤医師「血圧サージが起こるのは寒い日の朝が多いです。もともと朝は、眠っていたリラックス状態から活動的になるため、生理的に血圧が高くなります。起床後、体が寒さを感じると、体温調節のため熱を逃がさないように血管が収縮します。すると、血圧が急上昇するのです。逆にいうと、体が急に寒さを感じないようにする、つまり体を冷やさないようにすると、血圧サージを防ぐことができます」

エアコンを起床30分前にセット、寝巻のまま新聞を取らない

具体的には、日常生活で次の4つのことを工夫するとよい。

(1)エアコンのタイマーをセットして、起床する30分前から室内を暖めておく。
(2)起きたら冷たい床を素足で歩かない。スリッパを履いたり、床暖房にしたりする。
(3)寝巻のまま外の郵便受けに新聞を取りにいくなど、薄着で急に寒い場所に行かない。
(4)外出する30分前から首元にマフラーを巻くなど体を温めておく。

そして何より大切なのは、自分が血圧サージかどうか、見極めておくことだ。それには毎日、就寝前と起床後トイレを済ませてから1時間以内の2回、血圧を測ることだ。就寝前と起床後の血圧の差が55以上あると、血圧サージの疑いが高くなる。すぐに循環器の専門外来を受診しよう。

番組ゲストの東尾理子さんがこう語った。

東尾さん「自分は低血圧だから大丈夫だと思っていましたが、測らないと分からないものですね。さっそく明日から測ります」