最大の見せ場だったFKの場面。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[ルヴァンカップ4節]FC東京 1-0 札幌/5月3日/味スタ
 
 84分、前線でドリブルを仕掛けた久保建英が札幌の守備陣に倒されてFKを得る。ゴール正面よりやや左、エリア手前──。直接狙うには、絶好の位置だった。
 
 ここで久保は、MFの郄萩洋次郎に声をかけられたという。「蹴ったら」と、背中を押されたのだ。「蹴りたい選手が蹴ればいい。年齢とかは関係ないので」とは郄萩のコメントである。このMFの「プロである以上、遠慮はいらない」というスタンスが、あの見せ場を作るひとつのきっかけになったのだ。
 
 久保の言葉を借りれば、「阿部(拓馬)選手や東(慶悟)選手にも『蹴っていいよ』と言われた」そうだ。実際、東も次のように話している。
 
「あの場面では久保くんが絶対に蹴ったほうがいいと思いました。僕が蹴ったら、『空気読んでないでしょ』となりますから(笑)。彼が自分でファウルをもらったし、蹴る気満々だったので、『蹴っていいよ』って言いました。ファン・サポーターの皆さんも『建英コール』だったので(笑)」
 
 「ニアの上を狙った」(久保)FKは惜しくも枠外とゴールにならなかったが、そうした“蹴る気満々”だった姿勢を東は評価する。
 
「FKが入るか入らないかは結果論。サッカーに年齢は関係ないし、試合に出た選手が思い切りプレーすればいい。高校生の建英だってそういうスタンスでいい」
 
 愛情溢れる言葉で久保にエールを送った東。ミックスゾーンから去る間際、あのFKの場面を改めて振り返ってもらうと、久保より10歳以上先輩の東はこう言った。

「いやあ、蹴れないでしょ。10歳以上も差がありますからね。大人の対応をしないと(笑)。それにしても、建英はかわいいですよ。頑張ってもらいたい」

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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