長友(左)は久保(右)など若手を見て、「昔の自分を思い出す」と語った。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 3月28日にタイとのワールドカップ予選を控えた日本代表は現在、埼玉県内で調整中。26日の練習後には長友佑都が取材に応じた。
 
 インテルで出番に恵まれず苦しい時を過ごしながら、23日のUAE戦では先発出場して相手エースのオマル・アブドゥルラフマンを封殺。改めて存在感を示した。同じくミランで出場機会がなく、日本代表でもスタメン落ちが続く本田圭佑は「こういう逆境が楽しい」と語っていたが、同い年のSBも同様の気持ちを吐露した。
 
「僕らはずっと逆境だらけだったから、慣れているというか、それも楽しめる。ブレないメンタルがある。腐らずに日々のトレーニングをやって、プライベートにもこだわってやれば、その積み重ねがどこかで(結果として)出てくる」
 
 その一方で、UAE戦で1ゴール・1アシストの大活躍を見せた久保裕也(23歳)など若手の台頭を賞賛。いわく「昔の自分を思い出す」のだという。
 
「若い選手が出てくれば、僕らベテランにとっては競争が激しくなるってことですが、嬉しいことですよね。とくに久保とかを見ていると、昔の自分を思い出す。(2010年南アフリカ・ワールドカップ前の)僕や圭佑も、経験がないぶん怖いもの知らずだった。前へ前へっていう。だから、久保などは見ていて面白いし、刺激をもらいます。あのときの気持ちを絶対に忘れちゃダメだなと」
 
 もちろん、オーバー30を超えたベテランには、ガムシャラさだけではなく、冷静沈着な目が必要だと自覚している。
 
「一方で僕らは色々と経験させてもらってきた。チームが勝つためにバランスを取るのは、ベテランの役割だと思っています」
 
 言うまでもなく集団にはバランスが大事で、サッカーにおいてはギラギラとした若手と経験豊富なベテランが融合したチームが理想的なのは自明の理。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が所属クラブで出番の少ない長友、本田、川島永嗣を招集し続けているのも、それゆえだろう。
 
 長友はその意味をしっかりと理解しているし、久保らを若かった頃の自分と照らし合わせながら、ベテランらしい気遣いを見せた。キャプテンの長谷部誠が怪我で不在なだけに、タイ戦ではパフォーマンスはもちろん、チームのまとめ役としての役割にも期待がかる。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)