試合中はしきりに指示を送り続けたハリルホジッチ監督。「高いレベルを見せられた」とチームのパフォーマンスを称えた。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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[ワールドカップアジア最終予選6節]日本 2-0 UAE/3月23日/アルアイン
 
 アウェーでの勝利に安堵したのだろう。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の会見は、「日本代表の美しい勝利だったと思う」と、自軍の奮闘を称える言葉から始まった。
 
「試合をコントロールし、戦術のアドバイスをしっかりとリスペクトしてくれた。2、3回危険な場面はあったが、日本のほうが高いレベルは見せれた」と喜び、勝利の背景には緻密な分析があったことを明かした。
 
「UAE戦に向けてはすべてを把握して、1か月をかけて準備してきた。我々がどのような戦術を用いるかを選手には説明した。いくつか危険はあったが、選手はアドバイスをしっかりと聞いて対応してくれた。
 
 今日は重要なポイントになったと思う。我々がアウェーでもしっかりと試合を掌握できることを証明できた。日本は本当に素晴らしいパフォーマンスだった。UAEにも何人か良い選手はいたが、短期間のトレーニングでやってきたことを完璧にこなしてくれた日本を祝福したい」
 
 さらにハリルホジッチ監督は、負傷離脱を強いられた長谷部誠の代わりに起用された今野泰幸について次のように回答している。
 
「今野はほぼ完璧な試合をしてくれた。しかも点を取って、ボールも奪ってくれた。何度も伝えてきたが、経験のある選手を信頼したという試合だった。そんな中で彼は私の期待に応えてくれた」
 
 大活躍のベテランを手放しで称賛したハリルホジッチ監督は、クラブで控えに甘んじ、試合勘の無さが心配されていたGK川島永嗣の起用について「リスクはあった」と小さくない不安があったと認めた。しかし、それでも経験豊富なGKが必要だったとも語る。
 
「トレーニングをする中で(出来るという)確信が持てました。すでに申し上げましたが、本当に経験値が必要な試合だった。メンタル的に落ち着いた選手が必要で、今野と同様にパーフェクトにこなしてくれた」
 
 自身が起用したベテラン選手ふたりの安定したパフォーマンスによって、アウェーで重要な勝点3を積み上げた。では、28日に行なわれるタイ戦をどのように考えているのか? 指揮官は危機感を込めて明かした。
 
「タイ戦に勝たなければ、今回の勝利に価値はなくなる。選手にはそれを伝えた。本当にハードワークをして、しっかりと準備をしなければいけない。愚かなことは絶対に犯してはいけないと考えている」
 
 勝点13とし、サウジアラビアと並びグループ首位に立った日本。ワールドカップ出場に向けて問われると、「今は1試合、1試合、毎回勝つための準備をしている段階だ」とし、次のように将来を見据えた。
 
「このまま続けていけば、ワールドカップへの門は広がっていくと思う。しかし、今は試合ごとに勝つための準備をするだけ」
 
 難所と言える中東でのアウェー戦に勝利しながらも緩みを見せることなく、次戦を見据えたハリルホジッチ監督。会見での流暢な口ぶりは、勝利以上の何かを得たようにも感じさせた。