1日5時間以内なら高速通信が容量無制限で使える!5時間プランや5分かけ放題、通話料常時半額も発表された格安SIM「nuroモバイル」の新サービス発表会を解説【レポート】

「シンプルな分かりやすさ」を武器に50万契約をめざす格安SIM「nuro mobile」

ソニーネットワークコミュニケーションズ(旧、ソネット)は1月31日、同社が展開する仮想移動体通信事業者(MVNO)サービス「nuroモバイル」( -->-->-->-->-->-->-->-->http://mobile.nuro.jp )の新サービス発表会を開催し、新たに「nuro モバイルでんわ 5分かけ放題」や「5時間プラン」、「パケットギフト」、「初速バースト」などの施策を発表しました。

nuroモバイルは同社がこれまで運営していた通信サービス「So-net モバイル LTE」などを統合・改名し、2016年10月より新たにスタートさせたサービスで、nuroモバイルとしての戦略や新サービスを正式発表するのは今回が初となります。

キャッチコピーとして「シンプルなモバイルサービスを。」と掲げているように、nuroモバイルでは複雑なセット割やオプションプランの少ない「分かりやすさ」を前面に押し出しており、早期の50万契約をめざすとしています。


料金プランは1枚のパネルに収まるほどシンプル


■音声利用者拡大を狙った「音声定額」と「常時通話半額」
nuroモバイルがこれまで武器としてきたのは料金プランです。月額700円/通信容量2GBから始まる料金プランは月額2,300円/通信容量10GBまで1GB刻みとなっており、4GBや6GBといった他社ではあまり設定をみない料金プランが選択できる点や、5GBから突然料金が跳ね上がるといったような変則的な価格設定もないため、自分の使い方に最適な容量を選択することが可能な点が好評を博しています。

今回の発表ではそういった基本的なシンプルさを変えずに、音声サービスや通信の利用方法に合わせた新たなプランの提案が主体となりました。


容量ごとの料金プランの変更はいつでも無料で行える


最初に発表されたのは音声定額オプションの「nuro モバイルでんわ 5分かけ放題」です。現在nuroモバイルの契約数は、毎月500MBまで無料となる従量制プラン「0 SIM」のサービスを除くと約38万契約となっており、SIM種別では音声通話契約が約4割となっています。音声通話契約者の数は増加し続けており、今回の音声定額オプションはそういった動きを加速させるためのものです。

このオプションサービスは月額800円で5分以内の通話を回数無制限で無料にするというもので、5分を超えた場合も通常20円/30秒掛かる通話料金が半額となる10円/30秒で利用できます。またオプションサービスの解除などにも手数料などは一切掛かりません。


他社MVNOと同様に女性や若年層の利用増加が増え、音声通話契約も増加している



総務省の2015年の発表によれば日本の平均通話時間は2分35秒となっており、5分あれば多くの通話が無料で可能になるとしている



オプション料金の月額800円は高いか安いか



音声定額オプションは0 SIMでも利用できるため、このような音声端末で利用した場合かなりのコストダウンが期待できる人も多そうだ(端末はシャープ製折りたたみ型SIMフリーガラホ「AQUOS ケータイ SH-N01」)


また音声定額オプションとは別に通話料金が永続的に10円/30秒となる通話サービスも発表しました(国際通話も32ヶ国一律10円/30秒)。通話発信時に「0037-692」を付けて発信することで通常料金の半額で通話が可能になるというもので、手動による発信操作以外に専用の通話アプリを用意。この通話アプリから発信すると自動的に割引が適用されます。

この割引通話サービスは月額無料となっており、オプションの申込みなども不要です。通話アプリはiOS向けとAndroid向けがあり、多くの機種で利用が可能となっています。


Android向けアプリとiOS向けアプリでは仕様が若干違う。Android向けではアプリで設定したあとはAndroid標準の通話機能を利用するだけで割引が適用されるようになる



iOS向けではアプリから直接通話発信を行う



アプリはそれぞれのアプリストアから誰でもダウンロードできるがnuroモバイルを契約していないと利用はできない


■時間制限はあるが容量が無制限の高速通信「5時間プラン」
nuroモバイル独自の面白い施策「5時間プラン」も新たに発表されました。これは1日5時間まで高速通信が行えるという特殊なプランで、通信容量は無制限となっています。

現在の一般的な通信サービスやプランでは日数ごとの利用容量上限が決まっているものが多く、その容量を超えると通信速度制限がかかりますが、本プランではその容量に制限がありません。代わりに利用時間が5時間を超えると通信速度制限が掛かる仕組みです。


データ通信を時間で売るという感覚は最近では新鮮だ


5時間プランに適用される利用時間はすべての通信時間というわけではなく、通信開始時に高速通信が必要かどうかをnuroモバイル側が自動検知し、適用される仕組みで、ユーザーが高速通信と低速通信を切り替える手間などはありません。

自動検知の仕組みについては「体感できないほど素早く切り替わる」とのことで、文字や絵文字のみのメールやSNSを行う程度では高速通信は適用されません。


他社MVNOでも手動で速度制限を掛け容量を節約する手法やサービスがあるが、自動検知式は珍しい


この他、利用者向けページでギフトコードを発行し契約しているプランの容量内でパケットを分け合える「パケットギフト」や、通信速度制限がかかっている場合に通信開始時に数秒間だけ高速通信を行う「初速バースト」などを導入。他社MVNOで標準化しつつあるサービスも積極的に取り入れていく姿勢を明確にしています。


パケットギフトは10MB以上1MB単位でギフトコードの発行が可能で回数制限はない。またギフトコードが受け取られなかった場合、毎月最終日に返却され翌月への繰越が可能



サービス面ではnuroモバイル契約後の機種変更や追加購入にも対応させていくとしている


■シンプル戦略は他社のユニークな施策に対抗できるか
今回の発表会で感じたのは「“シンプル”だけで生き残れるのか」という点です。料金プランやサービスがシンプルで分かりやすく低価格である点は他社MVNOサービスでも多くが強みとしてアピールしており、そこにプラスアルファの独自プランや豊富な端末ラインナップなどで魅力を付加しています。

今回発表された音声定額オプションや通話料金の常時半額施策、そしてデータ通信を時間で売る5時間プランなど、nuroモバイルもただシンプルなだけではないユニークなプランを次々に発表していますが、キャッチコピーのシンプルさばかりが強調され、実際の施策のアピールに繋がっていない印象がありました。

0円から持てる0 SIMという面白さや便利さが今ひとつ認知されていない点や、現在販売しているスマートフォン(スマホ)のラインナップに同じソニーグループの「Xperia」シリーズがなく、ソニーという巨大ブランドを活かしきれていない印象が強いなど、nuroモバイルとしてのスタートダッシュに不安を感じざるを得ません。

0 SIMを除いた約38万契約という数字は決して小さいものではなく、今回の施策によって音声通話や大容量通信を期待した顧客の獲得が成功すれば同社が目標に掲げる50万契約はそれほど難しいものではないと感じます。それだけに、更なる認知度向上のための広告展開やソニーとの連携、nuroという強力な光回線ブランドとのシナジーなどにも期待したいところです。


シンプルだけがnuroモバイルの魅力ではない。中身の見える販促強化に期待したい






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