昨年中国が受注したインドネシアの高速鉄道建設を巡り、トラブルの可能性が取り沙汰されて中国側が順調ぶりを強調するといった悶着が起きた。他方、中国はシンガポール―マレーシア高速鉄道をより重要なプロジェクトと位置付け、日本との受注争いに必勝を期しているようである。(イメージ写真提供:123RF)

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 昨年中国が受注したインドネシアの高速鉄道建設を巡り、トラブルの可能性が取り沙汰されて中国側が順調ぶりを強調するといった悶着が起きた。他方、中国はシンガポール―マレーシア高速鉄道をより重要なプロジェクトと位置付け、日本との受注争いに必勝を期しているようである。

 中国メディア・国際商報は2日、シンガポール―マレーシア高速鉄道(新馬高鉄)がアジアインフラ投資銀行(AIIB)の「初仕事」になるのではないかとする記事を掲載した。記事は「AIIBの業務が整備されるのに伴い、タイムライン的にも重要性から見ても、『新馬高鉄』がAIIBにとって初めて投資を行うプロジェクトになるかもしれない」としている。

 そのうえで、東南アジア問題に詳しい中国現代国際学院の専門家が、「新馬高鉄」は中国が構想している「汎アジア鉄道」建設の重要なセクションであると同時に、日本にとっても「中国を制圧する」という意味を含めて地域の経済的影響を拡大させる重要プロジェクトであると解説したことを紹介。実際、日本は現在東南アジア鉄道プロジェクトの準備を加速させ、インドを含む南アジアのプロジェクトも「奪い」にかかっていると説明したことを伝えた。

 また、同鉄道における最大の問題がルートの大部分を占めるマレーシア国内における建設費用問題であると指摘。原油価格の低迷から同国政府がすべての費用を出資する可能性は低く、一部負担に留まるだろう予測した。そうなった場合、「マレーシアにとってインフラ建設投資に重点を置いたAIIBが、融資を受けるための最良の選択となる」とし、シンガポール・マレーシア両国の専門家からも続々と同鉄道が「AIIB初の投資プロジェクトになるだろう」との予測が出ていると伝えた。

 シンガポール―マレーシア鉄道は2013年に計画が立てられ、現在は今年または来年の着工、2025年ごろの完成を目指している。総距離は350キロメートルで、これまで約6時間かかっていたシンガポール―クアラルンプール間が約90分で結ばれるようになり、両国さらにはアセアンにおける経済活動の活発化に大きな役割を果たすことが期待されている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)