産学連携プロジェクトの期待を話す米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長(撮影:吉川忠行)

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米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が28日、東京都千代田区のホテルニューオータニで会見を開き、同社の日本法人と同社の基礎研究所であるマイクロソフトリサーチ(MSR)が「マイクロソフト産学連携研究機構(IJARC)」を来月1日に設立すると発表した。

 マイクロソフトがこれまでに日本の一部の大学と行ってきた共同研究プロジェクトを拡大し、MSRの担当研究員をプロジェクトごとに配置、大学の研究者にアドバイスする。東京大学の研究者らとは、グラフィックスサーチや自然言語処理などと行う3つの共同研究プロジェクトの実施がすでに内定しており、今後プロジェクトの公募を予定している。

 また、早稲田大学と覚書を結び◆マイクロソフトの先端技術を寄附講座として教育◆MSRアジア(中国・北京)に学生がインターンとして参加◆奨学基金の設置―などを行う。マイクロソフトは「オープンなアイデアの流れが発明の根幹」(ハリー・シュムMSRアジア所長)との考えの下、産学連携を進め、研究者の育成と開発成果の取り込みを目指す。

 ゲイツ会長は「進歩の大半は社内の研究チームではなく、世界有数のトップ大学から始まると考える。このプロジェクトで日本の偉大な研究者と仕事ができる」と期待を話した。また、「ソフトウェアの開発にはとどまらない。あらゆる科学の分野は複雑で膨大なデータ量に対応しなければならない。エイズワクチンの開発など医療や地球温暖化のメカニズム理解などにも応用できる」と産学連携の成果に意欲を見せた。【了】