闘莉王を呼ぶべきか呼ばざるべきか。おそらく、多くの人は「YES」なのではないかと思いますし、もちろん、私も肯定派ですね。但し、タイミング的に今の時期かと問われれば、私は「NO」と言いたいと思います。実際には以前からもそうだったのですが、カナダ戦とヨルダン戦でセットプレーでの守備の弱さが大きくクローズアップされるようになり、再び「闘莉王待望論」が浮上してきていて、しかしながら、重要な事は、まだコンフェデレーションズカップも残っていますし、まだ本番のW杯までは1年ぐらいある、という事ですね。

能力的には、まだまだ闘莉王が日本代表にとって必要である事、そこには疑いの余地は少ないとは思いますが、しかし、ここ数年の闘莉王はとても怪我がちで、今の段階から、闘莉王ありきのチームを作ってしまう事は、闘莉王ありきの守備組織を作ってしまう事は、かなりリスクがあると思います。そういう意味では、本田や内田などもそうで、全ては約1年後にどうなっているのか、そこを予測しながらチームの在り方を考えねばならず、現在、怪我をしていたり、怪我がちであったり、という選手たちの起用方法というのは、よく考えて判断をする必要がありますよね。

単純に「高さ」もしくは「空中戦の強さ」という部分では、栗原や岩政など、まだCBに起用する選手の組み合わせを変更したり、まだそういう選手たちの成長を期待できる時間というのは残されていますから、そこを飛ばして一気に闘莉王というのは、やはり少し短略的かなとも思いますし、そもそも闘莉王がどれぐらいできる選手なのか、というのは明確である訳ですから、闘莉王の起用は来年に入ってからでも問題無いと思います。来年になってもまだCBの強度に問題が有る、そして、その時に闘莉王の状態が万全に近い状態である、という事が条件になると思います。

それから、闘莉王を起用するにあたり、もう1つ大きな問題となるのが、闘莉王を起用するならば、DFラインを現在よりも少し下げなければならない、守備の設定位置を現在よりも少し下げなければならない、という事ですね。岡田ジャパンでは、闘莉王と中澤が裏への対応には弱い、という事が、W杯直前の守備的な戦い方への変更の大きな原因にもなりましたし、また、名古屋グランパスでも、そこが原因で守備の恒常的な弱点というのが生まれていますから、やはりそこはよく考えなければならないと思います。選択の問題ではありますが、大きな変更点ではありますからね。

という事で、個人的な結論としては、闘莉王の招集には反対ではない、むしろ、大いに賛成ではありますが、しかし、タイミング的には今ではない、タイミング的には来年に入ってからの方が良い、という事ですね。そして、更には、来年になっても、組み合わせを変更しても、まだCBの強度が高くならない、尚且つ、その時の闘莉王の状態が万全に近い状態である、という事が条件で、そういう全ての条件を満たしていた場合には、やはり闘莉王は招集すべきであるかなと思います。但し、その場合でも、現在よりも守備の設定位置は低くなる、という事は、文句を言わずに受け入れる必要があるとは思います。