ドラフト会議が終わった。

指名を終えての感想は、”現場の意向”が最大限に反映されたドラフト。

投手が5人に捕手1人、内野手1人の計7人の指名。

しかも、上位指名4人までが投手で、5人の指名のうち4人までが大学・社会人出身の投手。

ドラフト会議終了後の小川監督のコメントに「絶対数が必要」とある。

この言葉が非常に気になる。

実際、今季のスワローズを振り返れば、戦力外通告を受けた投手(育成を含め7人)をはじめ、1軍の戦力としてまったく期待の持てない投手が多かった。

開幕から離脱した由規をはじめ、イム・チャンヨン、松岡ら故障者続出となった今季。

平井、日高、山本・八木など昨年は戦力となりきれなかった投手の台頭があったにもかかわらず、先発にリリーフに頭数が不足し、1軍へ戦力を供給できなかったファームの現状があった。

20代中盤から後半というプロ野球選手として、最も油の乗ってくるはずの年齢の投手が、1軍が駒不足となっても、ファームから推薦できないという危機的な状態。

平井や八木など今年が実質1年目、成長過程の投手にこそ、見るべきものはあったが、本来ならば、彼らより先に、中堅どころといわれる投手たちに声がかからなければならないところだが、そこがまったく機能せず、このオフ一気に解雇となった。

1軍を預かる小川監督すれば、「ファームはどうなっているんだ」と嘆きたいところだったはずである。

そんなシーズンの小川監督の感想がこの日のドラフトに大きく反映された。

しかし「絶対数が必要」という指揮官の言葉は非常に後ろ向きに感じる。

力量以前に数を揃えた指名と言わんばかりの評価と受け取れる。

もちろん、戦力外とした投手に比べれば、未知数で今後の育成次第では、大きな戦力として見込めるものの、あくまでもルーキー、”期待”は出来ても”計算”は出来ない。

1位入札を公表して獲得に向かった大阪桐蔭高の藤浪投手を4球団競合の末、抽選で外したドラフトは、小川監督の言葉に集約される結果となったと言えるだろう。

とは言うものの、スワローズスカウトの評価で、社会人NO1投手というヤマハの石山投手(24歳・右投)を1位指名、2位では創価大学の小川投手(22歳・右投)を指名と即戦力を期待する2人の投手を上位指名で獲得できたことは、球団として納得のドラフトだったのだろう。

共に最速146kmと言われるが、動画で確認したところ、力で押していくタイプではない。

石山投手は、手足が長く、投手らしい細身の体から、130km台後半のストレートと110km台のカーブとの緩急で勝負していく投手のように感じた。

リリーフというより、先発タイプ。

コントロールもまとまっているという評価をしているようだが、ある程度高いレベルの制球力がなければ、球速・力でごまかせるという投手ではない。

スワローズOBでヤマハの先輩に当る西村龍次氏のようなイメージである。

小川投手は、大学リーグでは、無敵の強さ、防御率も0点台で力の違いを見せ付けている。

171cmと小柄な点は気になるが、馬力を感じる投手。

先発もしくはロングリリーフタイプだろうか。

一転して3位指名、高知中央高の田川投手は187cmの長身。

荒削りで時間はかかるかもしれないが、四国の先輩平井のように、ストレートで押せる先発完投型のエース候補として大きく育って欲しいものだ。

4位の江村投手は、今ドラフト唯一の左腕。

チームとしては、一昨年の久古、昨年の太田についで3年連続して社会人の中継ぎ・ワンポイント候補を獲得、慢性的なリリーフの左不足解消を図りたいところだ。

しかし、この江村、綺麗なフォームから投げる本格派の投手に見える。