日本のテレビ局トップにもあった愛人疑惑問題が、韓国にも飛び火している。
 韓国の放送局MBCの社長が女性スキャンダルを起こし、社会問題化しているのだ。
 MBC(文化放送)は韓国3大テレビネットワークの一つで『チャングムの誓い』などのドラマで知られている。政府が7割の株を保有しているため、正確には半官半民(テレビ、ラジオ兼営)の局である。日本でいえばNHKみたいなもの。その社長が愛人を作り、局の金をつぎ込んでいたとなれば一大事である。

 局労組は今年初めからキム・ジェチョル社長、愛人とされる女性舞踏家による公私混同疑惑を追及、同時にキム社長に対し退陣勧告を突きつけた。対する社長は無視を決め込み、局労組は今年2月からストライキを断行、いまだに続いている。
 「疑惑は、女性舞踏家に局の金を相当つぎ込んでいるというものです。それほど有名ではないその舞踏家がMBCに出演すると、社長の鶴のひと声で局内最高のギャラが払われたりする。場合によっては、放送されてもいない舞踏家の公演に、協賛金と称する高額なギャラが出たこともあるそうです。また、舞踏家の自宅近くの飲食店で、社長はひんぱんに局の法人カードを使っている疑惑もある。これまで日本円にして200万円にものぼっています」(韓国ジャーナリスト)

 このほか法人カードで女性用ブランド・バッグ、化粧品、貴金属、エステサロンの決済もあったという。
 まだまだ終わらない。2人は局から資金を巧妙に引き出し、ともにアパート投機をしたという疑惑も追及されている。指摘されてきた疑惑が事実なら、やりたい放題というしかない。

 キム社長体制になったのは2010年2月。なぜ、ここまでできたのか。
 まずはキム社長が李明博大統領と懇意で、その威光を後ろ盾に恐怖人事で局を抑えてきたからだろう。就任直後にもストが断行されたが、その後、スト参加者は解雇されたり、飛ばされたりしている。

 連日報道される社長スキャンダルでMBCの威光は落ち、スポンサー離れは顕著で、視聴者も拒否派が急増している。
 今年12月には大統領選があり、李明博大統領の続投は困難との観測が強い。それまでにはキム社長も追い出されている?