2月22日のマレーシア戦が終了した時点では、「ロンドン五輪出場に望みをつないだ」という表現が適切だった。敵地で4−0の勝利をつかんだものの、喜びは決して大きくなかった。

ところが、23日未明に開始されたもうひとつのゲームによって、日本はさらにロンドンへ前進した。勝ち点で並んでいたシリアが、バーレーンに1−2で敗れたのだ。この結果、日本は首位に返り咲いた。勝ち点12で得失点差もプラス8である。2位のシリアは勝ち点9のままで、得失点差はプラス3に後退した。

日本を後方支援したカタールは、3連勝で勝ち点を9まで伸ばしてきた。しかし、得失点差はマイナス1で、日本とシリアに大きく差をつけられている。数字上は首位通過の可能性を残しているものの、プレーオフに進出できる2位の確保も際どい状況だ。

日本は優位に立った。バーレーンとの最終戦は、引き分け以上で首位通過が決定する。バーレーンに敗れた場合は得失点差の争いとなり、シリア対マレーシア戦の結果を受けて順位が確定する。ホームのシリアがマレーシアに大勝することも想定されるだけに、確実に勝ち点をつかみたいところだ。

さて、マレーシア戦である。

蒸し暑いコンディションのなかで、チーム全体がハードワークを貫いた。前半はもったいないミスも散見されたが、守から攻だけでなく攻から守の局面でも素早い切り替えを心がけたことで、主導権を掌握することができていた。ゲームの終盤になっても、前線からのチェイシングが途絶えることはなかった。

4ゴールはひとまずノルマ達成といっていいが、ムダにした決定機もある。少なくともあと1点、うまくすればあと2点は上積み可能だった。6−0まで持っていけば、最終戦へ向けたシリアのモチベーションを奪い取ることもできただろう。彼我の実力がそのままスコアに映し出されたものの、もうひと押しできたとの思いは募る。

引き分け以上で五輪出場が決まるのは、前回の最終予選と同じだ。国立競技場でホームゲームが行なわれるのも、北京行きをつかんだ道のりをなぞる。

とはいえ、楽なゲームにはならないだろう。4年前も冷たい汗をかいた。勝利が絶対条件のサウジアラビアは、開き直ったメンタリティでぶつかってきた。MF青山敏がゴールライン上で辛うじてクリアするシーンがあり、GK西川が好セーブでしのいだ。0−0のスコアレスドローは予定どおりでも、内容的には紙一重だったと言っていい。

自力での予選突破は復活したが、何も手にしていないことに変わりはない。すべてが決まるのは最終戦である。