この試合に関してはスタメン発表の時点で、柏木陽介に代えて阿部勇樹が入った時点でどのようなフォーメーションで来るのか、そういう点から総て謎でしたので、その点から色々とアルベルト・ザッケローニ監督の意図を深読みしたくなる状態でした。

トップ下には長谷部誠


何を思ったのか、アルベルト・ザッケローニ監督はトップ下に長谷部誠を置いた4-2-3-1で試合に挑む事になった。これによって考えられる大まかな狙いが二つ有りました。

一つは、長谷部誠がある程度身体を張ってプレッシャーの中でシンプルにプレイする事が出来ると言う事。本田圭佑の特徴の一つでゴリラなフィジカル、ゴリカルによって体を張ってボールを守り、シンプルに味方に繋げると言う所があります。

本田圭佑程ではありませんが、長谷部誠にもそれが出来る。ブンデスリーガのプレスに鍛えられてますからね。もしかしたらそこを狙ったのかも知れません。フェリックス・マガトも似たような理由だと思われますが、長谷部誠をトップ下で使っています。

もう一つの理由が、この三人にする事で3-4-3等にも流動的に対応をする事が可能になる点でした。

選手交代をする事なく、阿部勇樹をCBにすれば3-4-3に切り替える事が出来る。それを実現する為の選手起用だったのかも知れません。

だがこれは結果論的にはあまり良くなかった。

早い時間帯でのウズベキスタン代表の先制弾


本当にあっと言う間でした、前半8分にウズベキスタン代表がCKを得る。そこでショートコーナー(一度ショートパスを出す事)からクロスを上げる、それはブロックして、更にヘディングで弾き出そうとしたものの、そのこぼれ球をダイレクトでボレーシュートを打たれる。

そのボールがアッサリゴールに吸い込まれて行った…川島永嗣から見ればボールが見えなかったかも知れない。誰かに当たったのかも知れない。でも何にせよ非常に早い時間帯に先制点を奪われてしまいました。

上手くいかないシステム


何故か遠藤保仁とと長谷部誠と言う熟成されたダブルボランチを崩して、遠藤保仁と阿部勇樹と言う新しいコンビを組ませて、長谷部誠をトップ下に置いてきたアルベルト・ザッケローニ監督。

この時点で「何で???」と言いたい人は沢山いたでしょう、勿論俺もその一人です。

これまでの親善試合で散々わかってきたはず。遠藤保仁と長谷部誠のコンビを崩すのは危険だと。この二人が下がると一気にバランスが崩壊して責める事が難しくなる傾向があった。

何故ここに入れたのかサッパリわからなかった。結局遠藤保仁と阿部勇樹のコンビでは上手く行かなかった。遠藤保仁が結構前に上がるシーンもあったんですが、その結果バランスも崩れている感じがあった。

何より長谷部誠ではトップ下として機能しているとはあまり思えなかった。

勿論長谷部誠の良さは見せたが、それはボランチの時に比べれば半減しているとしか思えない。

チャンスは作るも…


本当に運悪いなと。

李忠成のシュートがまたもやポスト命中したり、更に詰めた選手のポジショニングも特別悪いわけでもないのにボールがこぼれて来なかったりと、詰める事が出来たのは良かったんですが、そこにボールが来ない不運もあった。

正直いつ得点が入ってもおかしくはなかったんですが、それは両チームに言える事だった。

狙われた右サイド


日本代表のいつものパターンですが、明らかに右サイドを狙われていたように思いました。内田篤人の守備が悪いとかじゃなくて、内田篤人が上がったスペースをそのまま突かれた感じ。これはチーム全体の問題だったと俺は思います。

ただそれでも右サイドをいつも狙われていたのも事実なんで…まぁこの点は後半に入ってからはしっかり対応していたと思います。

岡崎慎司の同点ゴール


これだけは流石に良かったです。

後半に入ってから右サイドカラの攻撃もかなり良くなってきており、内田篤人からのクロスに李忠成が飛び込み、そこが触れなかったんですが、完璧に心の準備をして飛び込んだ岡崎慎司が得意のダイビングヘッドで同点ゴールを奪ってくれました。

この瞬間に関しては非常に素晴らしかったと思います。

ウズベキスタンは強かった


勿論相手から見ればホームだと言う事もありますが、本当にウズベキスタンは強かったと思います。

メンタル的にもしっかり相手は攻撃的に来ていました。早い時間帯に先制した事もありますが、日本代表が前のめりになってしまったので、そこでカウンターを完全にやられてしまっていました。

何度も何度もピンチを作られた、これは別に日本がよほどダメだったわけじゃなくて、単純にウズベキスタンが良かったのもある。本当に強かったと思う、しっかり組織されていたし、狙いも非常に良かった。

ただ相手が良かったと言う言い訳を言っていては意味がないんで…日本代表がダメだったからそうなったんですけどね…。

敢えて突っ込むと、もしウズベキスタン代表の最後のシュートの精度がもう少し良かったら…あと2点ぐらい奪われてたかも知れません。それにしても今日は川島永嗣様々ですよね…。

アウェイの経験が少ない日本代表


名前やFIFAランクに騙されて「ウズベキスタン代表如きにこんな試合をしてては…」って言う人もいるようですが、ウズベキスタン代表は強かったと思います。結果が総てですからね。そしてアウェイってそういうものです。

日本代表と言うチーム全体でアウェイで遠征とかやらないでしょ。そりゃ久々に遠征出たらこうなるんじゃないでしょうか?メンタル的にもコンディション的にも悪い状態になるので、アウェイでの試合は非常に厳しくなる。

しかも御存知の通り、アジアは広い。それだけ環境の違いがあると言う事です。その環境の違いに適応するのはやっぱり難しいし、コンディションは崩れる。その中で負けている状態からドローに持ち込んだのは大きい。

そして相手は三次予選ではグループ最強のウズベキスタン代表(日本除き)その相手に最低限のドローに持ち込めたのだけは本当に良かった。この後はウズベキスタンとはホームでやるわけで、他の国は多少グレードが下がる相手。だから最低限負けなかっただけ良いんです。

内容的には多少良くなくても、久々に完全アウェイでの試合をした経験はチームとして大きいでしょう。

何故チームの基盤を崩したのか


改めてアルベルト・ザッケローニ監督自体が本田圭佑の穴を埋める事に必死だったんじゃないかなと思ってしまいました。

純粋なトップ下タイプとしては本来は柏木陽介、遠藤保仁、阿部勇樹だったんじゃないかなと俺は思います。この3人は元々ボランチもトップ下も出来ます。

で、俺の中では遠藤保仁、長谷部誠のボランチラインは絶対に崩しちゃいけなかった。崩すとしても親善試合で試してからにするべきだった。だけどそこをぶっつけ本番でいきなりスタメンで変えてしまった。

どうしても長谷部誠をトップ下で使いたい理由があったとしか俺には思えない。

考えられるのが前述した身体を張れてシンプルにさばけて、トータルバランスに優れた選手を置く事だった。

元々本田圭佑に絶対的な信頼を寄せて、不動のエースのように扱ってきたのがアルベルト・ザッケローニ監督だ。香川真司を途中交代させても、本田圭佑は怪我や疲労等の理由がない限りは交代させなかった。

長谷部はシンプルにプレイできるし、サッカーIQも高い。でもそれは阿部勇樹も遠藤保仁も柏木陽介にも言える。長谷部誠の大きな違いは身体を張ってボールを捌ける、それもシンプルに出来る…って事だったんじゃないかなって思ってます。

ただ、その結果前線で起点を作れたら良かったんだろうけど、いくら長谷部誠でも完璧にこなす事は出来なかった。更にボランチの二人のコンビネーションが完璧とは言えず、前後のバランスが良くなく守備面で問題を抱えてしまった。

その点は後半に入れば修正出来ていた。当然ながら単純なボランチコンビの連携の問題だと思う。別に阿部勇樹がダメだって意味じゃない。元々優れた選手なのはわかってるけど、スタメンであのボランチコンビだけは変えるべきじゃなかったと俺は個人的には思う。

まだまだあの二人は代えが利かない、そこを変えてしまった事が最大の要因じゃないだろうか?

香川真司を活かせず


個人的にはここが気になったかなと…。

俺は香川真司にゲームメイクをさせるのは勿体無いと思うんです。ザックジャパンの4-2-3-1は厳密には4-3-3に近いものだと思っています。左右の選手は比較的前に行きやすいけど、トップ下の選手が一旦下がってボールを受けに行ってさばいて、そこからサイドから攻撃するパターンが有効。

前半の長谷部は前に上がりすぎていて、それが出来なかった。中盤が間延びしてたんですよね。

香川真司がトップ下に入ってからは香川真司が受けに行ってしっかり繋いでました。

その結果、香川真司はゴール前で圧力をかける事が出来なかった。

シュートも打てるようなゾーンでボールで”前を向いて”ボールを持った時が香川真司が最も怖い瞬間になる。そのシーンを作るにはサイドでプレイするのが一番だ。特にサイドから中に斬り込んでシュートを打つ為には左サイドが一番だと思う。

そこで活きれなかったのは残念です。結局一番ゴール前で怖さを発揮する選手がゲームメイク、脇役をやって終わった。最も主役になるべき選手が脇役だった。意味がわからん。

正直残念な展開でしたね…簡潔に言える部分ではここが一番気に入らなかったです。やはり本田圭佑不在が大きいのかと改めて思ってしまいました。

ただそれはアルベルト・ザッケローニ監督が、一番そう感じていて、そのように代役を探してしまったから…じゃないかなぁと思ってます。

そういう意味では今回はザッケローニへの不満が大きいです。

ちょっと今日は流石に眠いので、明日配信予定のメルマガで濃く書こうと思います。

アジアの戦いは厳しい


気候の変化、環境の変化が激しいアジアでの戦いはやはり厳しいなと改めて思いました。ピッチの事もそうですし、環境も全く違う。移動距離の問題もある。

だから今回の結果は俺は仕方ないとは思ってます。勿論本来は勝てた試合だとは思うけど、結果が総てです。

そしてウズベキスタンは決して弱いわけじゃないし、アジアもそこまで甘くはない。

何よりグループリーグ最強の敵に、アウェイで引き分けの勝ち点1なら文句を言われる筋合いはないんです。勝ち点計算的にはこれで充分です。勝ち点争いでは同列ですしね。

だからこれで叩く程ではないと正直思います。そこだけは間違えて欲しくないですね。実は最低限の結果は出しているんです。とか言いながら俺は文句言ってるか…笑

あくまで前に進んでいる


完全なノープランで進んで、その結果こうなったのなら流石に「ダメじゃんこの代表!」ってなるけど、今は本田圭佑、長友佑都の日本代表の中心人物二人がいません。

特に本田圭佑は総ての基盤となる一人です。その選手が居ない状態でどのようにやるのか、そこを試行錯誤している状態であるのも事実です。流石にぶっつけ本番での長谷部誠のトップ下は「何しとん」って突っ込みたいんですが、試行錯誤しているのは事実。

そして前半でもチャンスは作っているんです、決して全くダメだったわけじゃない、ただ攻守のバランスやポジショニングにズレがあったのが問題だっただけです。

だから確実に前に向かっているんだと信じたいし、信じれる。完全な監督批判をするようなものじゃないとも思う。

まぁ現状では本田圭佑が居ない以上は香川真司をトップ下にして、セットプレイ時等以外では、ゲームメイクの起点になる事に専念させるのが一番ベターなのかなとは思った試合ではあります…ザッケローニ的には不本意でしょうけど…いや、どうせなら柏木陽介の方が良かった気がするんだけどなぁ…うーん。

何にせよ細かい事は頭をスッキリさせてから、もっと細かい部分はでろマガで語ろうと思います。

でろマガ サッカーコラム

Vol.56

「ウズベキスタン vs 日本戦 考察」

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