先日、7月23日(金)、24(土)、25日(日)の3日間で開催される「マツダオールスターゲーム2011」のファン投票第1回中間結果が発表された。

当初はナゴヤドーム、QVCマリンフィールド、東京ドームの3球場での開催が予定されていたものの、先の震災を受け、急遽、第3戦目の東京ドームを、宮城クリネックススタジアムに変更。今シーズン開幕にあたり被災地域への配慮を欠いた対応によりケチがついたNPB側の、なんとか名誉の回復に努めたいという思惑が見え隠れしている。

そんな思惑はさておき、もしくは東北地方からの熱烈なラブコールもあってか、東北エリアに縁のある選手が多く選ばれる結果となった。まずは、セ・リーグの先発投手部門で1位になった由規(ヤクルト)。言わずもがなの宮城・仙台育英出身ということもあり、地元からの期待は大きいのだろう。高校時代にバッテリーを組んだ先輩が震災で亡くし、サインボールとユニフォームを棺に納めたという辛い経験をしたからこそ、今回のオールスターへの出場となれば、その意気込みも並々ならぬものがあるはずだ。

そして、注目したいのが、同じくヤクルトの畠山和洋が一塁手の一番人気に付けている点。岩手・専大北上高から2000年に入団し、「和製大砲」と期待されて11年目。やっと掴んだレギュラー、そして4番の座など、今シーズンの前半戦はいい結果を残しているだけに、ブレイクした大砲の1発を東北の地で期待したいところだ

仙台でのオールスター開催は2007年以来4年ぶり。

07年に第2戦として開催されたこの試合に先発したのは、東北楽天のルーキー・田中将大。すでにシーズン前半で7勝をマークしていた18歳のゴールデンボーイは、2回途中で6点を失い降板。本拠地での大舞台に登場したマー君に期待した観客も、ちょっと残念な結果に肩を落としていた姿を覚えている。そして、あれから4年。「ハンカチ世代」と名づけられた「大卒新人」の中から、誰が選ばれ、誰が出場するのかというところも楽しみにしたいところだ。

「オールスターゲーム」そのものについては、ファンの間では様々な意見が交わされている。「お祭り騒ぎをやめて、メジャーに倣って真剣勝負にしろ」、「交流戦があるのだから興行的な意味がない」といったものがおもなところ。確かに5〜6月にかけて交流戦があり、7月にオールスターとなると、異なるリーグの選手の対戦でも、新鮮味にかけるのは事実。

いままでの歴史からしても、オールスターがお祭り騒ぎになってしまうのは、仕方がないとは思う。とはいえ、試合数を減らし、真剣勝負にするという意見には賛成したい。お祭り騒ぎもあってもいいと思うので、これもメジャー的で申し訳ないのだが、前夜祭を設けてホームラン競争や、ストラックアウトを行うのもいいかもしれない。

と、やや本題から反れてしまったが、今年のオールスターが担うものは、例年のそれとは大きく異なっていることは確かだ。「東北での開催は時期尚早」と言われたが、なんとか開催にこぎつけたNPB。嶋選手会長が4月2日のチャリティーマッチで口にした「野球の底力」を見せてもらいたいところだ。

【TEXT=劇!!空間プロ野球 / 青柳潤】



■筆者紹介
青柳 潤(あおやぎ・じゅん)
元雑誌記者、編集者。野球観戦をライフワークと位置づけるほどの“ボールジャンキー”。今夏はオークランドで松井vsイチローを見ようと画策中だが、夏までにトレードに出されるのではと心配で、エアチケットの予約になかなか踏み切れないでいる。