2011年4月4日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)


Facebookというソーシャルネットワークが他サービスから一線を画する存在となったおもな理由は、実名でなければ活動を許さない、という一見融通のきかない彼らのポリシーによるところが多いのだが、実はもうひとつある。それがFacebookページというサービスの存在だ。

もともとはファンページと呼ばれていたサービスだが、突然名称がFacebookページと変更された。名称には必ず意味がある。それが変更されたということは、趣旨に若干の修正が入ったということにほかならない。ファン同士の交流ページというよりも、管理する側の情報発信のニュアンスを強める、ということかもしれない。

Facebookは会員制のSNSであり、コンテンツは原則として非会員が見ることはできない。だからコンテンツが検索結果に表示されることもないのだが、Facebookページは違う。非会員も閲覧できる仕組みなのだ。

同じ会員制のSNSであるmixiは、メンバーの属性にしても日記にしても、mixiボイスのようなサービスにしても、すべてのコンテンツがクローズドな環境にある。逆にTwitterは基本的にすべてがオープンであり、誰にでも見ることができるし、検索もできる。ブログも同様だが、Twitterほどソーシャルな機能を持たない。

対してFacebookは、コンテンツは原則として会員だけが見られるサービスながら、非会員も閲覧できるという特殊な機能としてFacebookページを置いた。

ちなみにmixiは現在、「mixiページ」と仮称で呼ばれる、Facebookページと同様に非会員も閲覧できるサービスの企業向け提供を計画している。リリース前の状態であるがゆえにまだ不確定要素が多いが、このmixiページはFacebookページのようなコミュニティ要素はあまりなく、むしろmixiのドメインの下でブログを公開するような機能に近いようだ。サイバーエージェントが提供しているAmebloは公開型のブログでありながら、アメンバーという会員制のクローズドな機能を付与しており、コメントやメッセージなどを登録したメンバーにのみ公開する仕組みを用意している。mixiページはこのアメンバーとブログの組み合わせに近いといえるかもしれない。

いずれにしても、クローズドなサービスであるSNSだが、一般に開かれたオープンサービス的な要素をもたない限り、マーケティング利用という企業のニーズに応えられず、それがFacebookとmixiのそれぞれの動きにつながっている。


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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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