27日に行なわれたフランスのリーグ杯4回戦で、リヨンがパリ・サンジェルマン(PSG)に敗れ、準々決勝を前に姿を消した。前半にブリアンのゴールで先制したリヨンだが、終盤にはPSGの猛攻に遭い、87分にボドメールの同点弾、延長101分にジュリの決勝ゴールを浴びた。かつてリヨンに在籍した選手2人に手痛い返礼を受けた格好だ。

 リヨンはこの日、守護神ロリスをはじめとして主力のほとんどを休ませ、控え中心のメンバーで臨んだ。開幕からの10試合でわずか3勝、14位と不振にあえぐリヨンが、リーグ杯よりも選手権を重視しているのは明らかだ。しかし勝利で勢いをつけたいチームにとって、この逆転負けでいやなムードがぶり返すのは避けられない。チャンピオンズリーグ(対ベンフィカ)でいい結果を出した直後にリーグ最下位のアビニョンと引き分けたタイミングではなおさらだ。

 レキップ紙によると、試合に先立つ午後、リヨンのオラス会長は「幹部会でピュエル監督とスタッフの留任を決めた」と話していた。それまでピュエル監督解任を「問題外」と一蹴してきた会長が、はじめて「要検討」と認めたことになる。

 チャンピオンズリーグのベンフィカ戦(20日)では、ほぼ完璧に近い内容で快勝し、立ち直りを予感させたリヨンだが、翌日のレキップ紙は「チーム内の問題は解消せず」と報じ、主将クリスをはじめとする選手たちが指揮官に疑念を抱いていることや、会長もピュエル監督に見切りをつけつつあることを示唆した。オラス会長は同紙に激しい言葉で怒りをぶつけたが、27日の発言は報道内容を部分的に裏付けていると言えなくもない。

 10年以上にわたって常勝軍団としての地位を守ってきたリヨンが、それ以来で最大のピンチを迎えているのは成績だけを見ても明らかだが、さらに根深い問題がありそうなことは、オラス会長の言動からもうかがえる。会長は24日のアビニョン戦を観戦中に、観客が投げつけた一言に激高し、平手打ちを食らわせた。

 「クロノフット」の情報によると、この観客は「オレはマルセイユのサポーターだ。頼むからピュエルを留任させてくれ。そうなりゃオレたちは安泰だ」と言ったという。辛辣な皮肉ではあるが罵声ではない。ときに激しい発言をすることで有名なオラス会長とはいえ、61歳の“紳士”が暴力をふるうとなれば尋常な事態ではない。ピュエル監督は会長がクラブの前途を賭けて自ら率先して行なった人選だけに、その去就問題にはかなり敏感になっていると考えざるを得ない。