イタリアの食生活で欠かせないものといえばカフェ・エスプレッソだ。濃厚に抽出されたごく少量のコーヒーで、覚醒作用や利尿作用のあるカフェインを多量に含む。もちろんドーピング検査必須のプロ・アスリートにはタブーの飲み物に思えるが、実際1日にどれぐらい摂取しているのだろうか。今季セリエAで7位と大躍進したエンポリのGKダニエレ・バレッリ(29)があからさまに語った。

「1杯、2杯…俺は何杯でも飲むよ。セリエAでプレーするからって、いくらでも飲んで構わないはず。ただし12杯目ぐらいからは、カフェイン多量摂取で出場停止処分が待ってると思う(笑)」

 イタリア人といえど1日にカフェを5杯も飲めば多い部類に入ると思われるのだが…。バレッリは続ける。

「試合前までに8杯飲むこともある。なぜかって? まあ厄除けみたいなものもあるし、自分を極限の興奮状態にもっていかないといいセービングができないって思ってるからね。同業者の中には1日に煙草を2箱吸うやつもいるし。まあ興奮するあまり試合中ほえ続けてる俺を“変なGK”って言う人もいるけど、そんなに変かな(笑)?」

 エスプレッソはフランスやスペインでも飲まれるが、イタリア人に言わせると外国のものは『薄くてゆるい』らしく、極薄のアメリカン・コーヒーなどもっての他。強烈な濃さのイタリアン・エスプレッソは、イタリア・サッカーの性格そのままの味なのかもしれない。

弓削高志