ユーロ08(オーストリア・スイス共催大会)予選が各地で行われた28日、予選B組イタリアはホームの開催地バーリでスコットランドと対戦し、2−0の勝利を飾った。警告・退場なしのクリーンかつ白熱した好ゲームを制したイタリアが、貴重な勝ち点「3」を獲得し本大会出場へ望みをつないだ。

 ドナドーニ(代表監督)の意地が掴んだ勝利だった。ここまで2勝1敗1分とスタートダッシュに躓いたイタリア、この日の敗戦は激戦区B組からの脱落をも意味していた。有終の美を飾ったリッピ(前代表監督)から託された世界王者の扱いに、ドナドーニの苦悩は続いた。“リッピ色”に染まった代表を“ドナドーニ色”に染め直す・・・。大幅な新戦力起用は結果に繋がらず、デル・ピエロをベンチから外し集中砲火を浴びた事もあった。常に付きまとう偉大な前任者の影。就任直後から続いたドナドーニ批判は、ここに来て後任監督候補報道へと発展した。「試合に集中させてくれ」。過剰な批判・報道が若き指揮官から穏やかな表情を奪い、白髪の量を増やしていった。

 大黒柱トニの豪快なヘッド2発を、お家芸“カテナチオ(錠前=鉄壁の守備)”で守り抜いたイタリア。試合後、TVインタビュアーの「アズーリに亡霊(過剰な後任監督候補報道)が憑いていたが?」との質問にドナドーニは「亡霊!?そんなものは最初から存在しない。素晴らしいサポーターの前で選手たちが結果を出した。それだけだ」と誰に言うでもなく吐き捨てた。

 予選B組は現在、フランス、スコットランド、ウクライナ=「12」、イタリア=「10」、グルジア=「6」、リトゥアニア=「4」、フェロー諸島=「0」(スコットランド、グルジア、フェロー諸島は1試合多い)。10名のW杯戦士が先発したスコットランド戦。無理に色を出すのではなく、リッピ色を基に自分の色を出して行く。“死のグループ”突破に向け、吹っ切れたドナドーニがW杯王者を牽引する。

佐藤 貴洋