30日付の「フランス・フットボール」誌(週2回発行)にリーガ・エスパニョーラ、ビジャレアルのロベール・ピレスのインタビューが掲載された。アーセナルから移籍して間もない8月に膝の靭帯を断裂、5カ月の長期離脱を迫られたピレスだが、今月11日にチームに合流して練習を再開している。

 ピレスにとって、2006年は悪夢の1年だった。アーセナルでの出場機会が減り、チャンピオンズリーグ(CL)の決勝に先発で起用されたと思ったら、前半20分でまさかの交代。GKレーマンの退場で身代わりにさせられた。それまでにコンタクトのあったビジャレアルへの移籍を決めたのも、このときの落胆が大きく影響したという。ただし「恩師」ベンゲル監督にとっても苦渋の選択だったことは理解している。

 W杯でフランス代表に選ばれなかったことについては、CL決勝で味わったほど辛くはなかったと答える。「ドメネクが監督でいる限り、終わりだろう」と代表選出はあきらめている。「監督がもし自分を必要としているなら、少なくともケガの状態を訊く電話の1本はあったはず」と一切の未練を断ち切りたい気持ちが窺える。監督との個人的な確執については語らず、自分の年齢(33歳)では難しい、と呼び戻されたアネルカ(27歳)の例を挙げた。

 前回の大ケガ(2002年5月)も同じ5カ月だったが、今回は長く感じた。前回と違って、練習場の間近で治療していたのが焦りにつながったという。しかし「必要な休息」とポジティブに受け止めてリハビリに専念した。その甲斐あって、当初の診断より1カ月近く早い復帰となった。

 復帰が迫った心境を「すべてをぶちこわしたい」という言葉で表したピレス。しかし「リベンジ」という気持ちは微塵もない。来シーズンのCL出場という目標に向けて、すべてを出し切るだけ、という思いだ。「俺はまだここにいる、それを示したい」と静かな闘志を燃やしている。