クルマ音痴の東京カレンダー編集者・船山を一人前のクルマ担当に育てる本連載。

自動車を得意とするベテランライター・サトータケシが、全日本クルマ音痴代表の編集部員船山(通称ふなっしー)に、わかりやすくクルマの魅力を解説する!

今回のテーマは、「ボーナス時期を見据えて、今から考えたい“買えるクルマ”を教えて!」



船山:いやぁ〜、困っちゃうなぁ。

サトー:どうした、ふなっしー(註:編集部の一部で船山はこう呼ばれる)、困っちゃうと言いながら顔がニヤけているぞ。

船山:いや、いよいよ本当にクルマを買おうかなと思いまして……。横に美女を乗せて、湘南でしらすを食べる自分を想像したら、ニヤけが止まらなくなりまして。

サトー おっ! いよいよ! 4年はこの連載やってるから、いつ買うのかってやきもきしてたよ。

船山:そうですね。クルマのあるライフスタイルって素敵だな、と。

サトー:恵比寿に住んで、クルマも持ってたら最強だね!

船山:いえ、クルマ持ちとなると、恵比寿からは引っ越すことに……。とにかく、世間はボーナス時期ですし、頭金を考えても200万で買えるクルマを知りたいです!

サトー:ほかに条件は?

船山:一応こういう仕事をしているので、サトーさんみたいなギョーカイ関係者から、「おっ、あいつセンスいいじゃん」と思われるクルマにしたいです。玄人をうならせたいというか。



【TOYOTA Probox】名は体を表し、まさにプロフェッショナルのための箱。実用性を突き詰めた一台。¥1,380,240〜

サトー:ってことだと、まずはトヨタ・プロボックスだな。

船山:これって営業車ですか?

サトー:そう、働くクルマだね。メッチャ荷物が積めて、小回りが利いて壊れない。クルマ業界にも、普段のアシにこれを選ぶ人がいる。

船山:……、ちょっとヒネリが利き過ぎているというか、もうちょっとオシャレ感が欲しいです。

サトー:君に似合いそうなんだけどな。じゃあ、このスズキ・ジムニーはどう? 軽自動車だからイニシャルコストもランニングコストも低くて、しかも四駆のパフォーマンスやデザインは玄人好み。



【SUZUKI JIMNY】マニアに絶大な支持を受けるジムニーも、本年をもって生産を終了して次期型へ移行。¥1,296,000〜

船山:これは気になる!

サトー:しかも近いうちにモデルチェンジされるから基本的には生産終了、この無骨なスタイルが買えるのは最後のチャンスだ。

船山:これを買ったら、ダナーのマウンテンブーツなんかを履いて、アウトドアわかってますって顔をして乗りこなしたいですね。

サトー:そういうイメージが湧くクルマを選ぶのが大事だよね。


乗ってるだけで知的に見えるクルマって?


船山:僕、妄想で遊ぶ、イメージプレイ大好きなんですよ!

サトー:えっ!? プレイじゃ……。

船山:じゃ、こういうクルマないですか? 昔から理系にコンプレックスがあるんですけど、それに乗っているだけで数字に強いバイオテクノロジーの研究者のように見えるクルマ

サトー:スマートのフォーフォーかな。スマートって、都市部に人口が集中する問題を解決するために、メルセデス・ベンツが立ち上げた超小型車のブランドなんだ。



【Smart forfour】まさに、東京を走るために生まれたようなクルマ!世界的に都市部に人口が集中する傾向にあり、省燃費も追求しなければならない。そんな課題を解決するために生まれたブランドがスマート。フォーフォーが4人乗り、ほかに2人乗りのフォーツーというモデルも存在する。¥2,160,000〜

船山:おおっ、研究者っぽい。

サトー:で、フツーのクルマと違ってエンジンを後ろに積んでる。

船山:そりゃ変わってますね。

サトー:リアエンジン・リアドライブというレイアウトで、ポルシェ911とか、昔のフォルクスワーゲン・ビートルとか、少数のクルマしか採用しないこだわりのメカニズム。研究者っぽいでしょ。

船山:確かに、銀ブチ眼鏡をキラリンとさせて理系のフリをしながら乗るイメージが湧いてきました。

サトー:スマート・フォーフォーはドイツのメルセデスと、フランスのルノーの共同開発なんだけど、そのあたりも知的好奇心に訴えかけるクルマだね。

船山:予算的にもばっちりです。

サトー:ほかにリクエストは?

船山:あと、絵描きにも憧れがあるんですよね。パリ留学から帰ってきて、子どもたちに絵を教えながら夜中に自分の作品を描いているアーティストに見られたい。

サトー:だったらこれしかないね、シトロエンC3。



【CITROËN C3】ポップな存在感で女子ウケも抜群!C3は、VW ポロとほぼ同サイズのコンパクトカー。エスプリの効いたデザインに目を奪われがちであるが、中身は完成度の高い実用的なモデル。前方を映すカメラとスマホを連動してSNSにアップできる仕組みが楽しい。¥2,190,000〜

船山:花の都パリって感じ、バリバリっすね! このクルマ、グリーンのベレー帽をカブって運転するイメージがモリモリ湧きます。

サトー:ふなっしーの場合、ルックス的には放浪の天才画家、山下清って感じだけどね。ベレー帽よりおにぎりが似合うというか。

船山:いやいや、山下 清といえば日本のゴッホ、このクルマが僕に似合わない理由が見つかりません。

サトー:これだけ楽しいデザインで、しかも使ってみると実用的で乗りやすい。C3だったら4人家族のファミリーカーにもなる。

船山:最後に、僕の一番強い願望をお話ししてもいいですか?


通信簿が4と5だらけ!そんな優等生なクルマはなんだ!?


サトー:べ、別にいいけど……。

船山:なんやかんや言って、小学校から成城とか青学のお坊ちゃんに見られたいっていう願望があるんですよね、で、大学を出たらおじいちゃんのコネで財閥系の有名企業に就職しちゃうというか。

サトー:200万円プラスαでお坊ちゃんねえ……、そうだ、フォルクスワーゲンの新しいポロは育ちが良さそうに見えるよ。



【サトー’s RECOMMEND】VOLKSWAGEN New Polo。この春から日本に導入された新型ポロは、同社のゴルフよりひとまわり小さいコンパクトカー。安全装備やスマホとの連携機能など、最新テクノロジーを搭載している。¥2,098,000〜

船山:これ、まさにこのクルマですよ! ああ、目を閉じるとイメージが浮かびます。ブルックスブラザーズかラルフローレンのスーツをビシッと着て、レジメンタルのネクタイを締めて、髪の毛を七三分けにしてポロに乗る僕の姿が。

サトー:ポロはクルマのプロが乗っても認める出来の良さ、しかも機能主義的なすっきりしたデザインは老若男女を問わないし、値段もお手頃。通信簿が4と5だけの優等生みたいなクルマだね。

船山:このクルマだったら、ガールフレンドのご両親に挨拶に行っても好感度が高そうです。

サトー:じゃ、最初の一台はポロに決まりかな?

船山:アウトドア派、研究者、絵描き、お坊ちゃん、どれになろうか、じっくり考えてみますね。


〜サトータケシ今回の教訓!〜
知識とセンスさえあれば、クルマ選びは200万円ですごく楽しい!