還暦記念イベントの開催を発表した神取忍(右)とNØRI=都内

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 〝ミスター女子プロレス〟神取忍(59)が23日、都内で会見し、還暦記念大会「神取忍還暦祭~人生もう一度~」(11月18日、東京ドームシティホール)の開催を発表した。

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 10月30日に節目の誕生日を迎える神取。メインでは梅咲遥、水波綾と組んで、堀田祐美子&中森華子&なつぽい組と6人タッグ戦で激突する。「リングで還暦を迎えるとは夢にも思っていなかった。デビューから無茶をして、LLPWは3カ月でつぶれる、神取忍はプロレスラーとしては成功しないとう声があった中、みんなの支え、応援、スタッフ関係者のおかげ、健康な体なのは両親にも感謝しています」と、しみじみ語った。

 自らのプロレス人生を「『心が折れる』いう言葉もつくって、プロレスを世間の皆さんに送られたのは良かった」と振り返った神取。デビューから間もなく、女子プロレスを題材とした多くの著書を残した故・井田真木子さんの取材で「心が折れる」と発言。後にイチローらのアスリート、漫画作品でも使用されるようになった。「意外と知られてないんだよね。当時は『心が折れる』とは使われてなかった。こういうストレス社会じゃなかったから。本当は『心を折る』だった。折っちまおうぜ、みたいな。それから『心が折れる』になったんだよね」と述懐した。

 柔道で実績を重ね1986年にプロレスデビュー。ジャパン女子プロレスを経て、92年にLLPWの旗揚げに参加。団体のエースとして君臨し、参院議員活動を経て、現在のLLPW-Xへと歩みを進めた。北斗晶、ブル中野、天龍源一郎らとの名勝負を残した。スターダム、マリーゴールドのビッグマッチに出場するなど、現在も第一線の存在感を示し続けている。

 自身の「心が折れる」経験を問われた神取は「しょっちゅう折れてるよ」と苦笑い。「プロレスと一緒で、投げられても立ち上がる。その繰り返しだよね。ポキっと折れて、そこから這い上がれるかどうかじゃない?折れてもチクショーってね。怪我や骨折と一緒で、心が折れてもどうにか修復して、また復活する。LLPWはつぶれるよ、神取忍はもう終わりじゃないかとか、そう言われる度に、(心が)折れちゃう。でもそうはいかないよって。その繰り返しだよね」と続けた。

 さまざまな経験を重ねたからこそ、幅広く幾層もの記憶がよみがえる。「今回のカードを話すだけでも、堀田選手の話だとギャビ・ガルシアの事があったり、ギャビ・ガルシアが出てくると、(女子初の総合格闘技イベント)L-1で初めて格闘技をやったとか、いろんなものが紐づいてきちゃう。なつぽいになるとスターダム、今度はマリーゴールドになってとか、いろんな事が紐づけられて、いろんな事を思い出しますね」と、感慨深そうに語った。

 還暦とは干支が一巡し、赤子に還るという意味合いも持つ。イベントのサブタイトル「人生もう一度」の意味を「また新たな人生を歩き出すんだろうと。今までもすごく重みのある、後悔のない人生を送ってきた。またここからゼロに戻った時に、もう一度何ができるんだろうという興味、ワクワク感からのもう一度です」と説明した。次は古希が控えるが「古希までは考えられないけどね」と笑いつつ「今は過去の固定観念というものが全て壊れてる時代だから。今までだったら無理ですよってなるかもしれないけど、技術が発展して、まだ全然いけるってなるかもしれない。今の固定観念は破りたいね」と先を見据えていた。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)