「捨てる」ことは「買う」より難しい


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子育てをきっかけに、時間と家事に追われる暮らしをやめたいとミニマルな生活を始め、貯金4000万円を達成したという森秋子さん。

彼女が実践した「無理をせずにお金が貯まる」生活の知恵とヒントを自身のブログで掲載したところ、2019年に国立国会図書館のインターネット資料収集保存事業(WARP)に保存されるブログのひとつとして選ばれたんだそう。

そんな森さんが、ミニマルに豊かに暮らしていくヒントを教えてくれます。ぜひ参考にしてみてください!

■「捨てる」ことは「買う」より難しい

家を居心地よくすると楽しく生活できるので、外出にかけていた出費は確実に減ります。私の家は家族3人暮らしで50平米と小さな住まいですが、ものをどんどん減らしたことで、とても広々、快適に暮らせています。

ものを捨てるときにはお金や手間がかかります。粗大ゴミを思い浮かべるとわかりやすいと思いますが、粗大ゴミを捨てるためには数百円の手数料を払わなくてはいけないし、持っていってもらう日を予約して、収集場所まで運び出して…などさまざまな費用や労力が必要になります。

私がミニマルな暮らしを目指し始めてものを減らしていた頃も、身の回りのものを処分するのにとても苦労しました。

まず、どうやって処分すればいいのかを調べなくてはいけない。「捨てる」と一口に言っても、ゴミとして廃棄するのか、リサイクルに回すのか、というだけでも引き取り先は変わってきます。服であれば、全体の中からリサイクルショップで買い取ってくれそうな服を抜き出します。そのまた残りから地域の古着回収ボックスに出す衣類を選んで、最後に残った服を廃棄する、という具合に、手順をいくつも踏むことになります。ユニクロなどの店舗で自社商品を回収してもらえる仕組みも利用します。

もちろん、いらない服を全部まとめて「ゴミ袋に入れて捨てる」という方法も真っ先に思いつきました。すっぱりと捨てられる人は全部まとめてゴミに出すのもいいと思います。でも実際に、ゴミ袋に服を放り込んだときに私が感じたのは「罪悪感」でした。まだまだきれいでちゃんと着られるものも多く、しかも大量の服をゴミ袋に入れるのはいけないことをしているような感覚で、なんとか引き取り先を見つけてあげたいという気持ちでいっぱいになってしまったのです。

リサイクルショップに服を持ち込んでみて、初めて知ったこともたくさんあります。例えば、美品であっても季節外れの衣類は買い取ってもらえないこと。ショップによりますが、夏場にコートを持ち込んでも、たいていの場合「これは買い取りできません」と言われておしまいです。ブランド品でも変わりません。

つまり、夏場にクローゼットの整理に取り組んだとしても、冬物を引き取ってもらえるのは冬場のみ。その間ずっと「いらない服」はクローゼットの一角を占め、そのことを気にかけたまま過ごすことになります。数ヶ月という長期間、下手をしたら一年中、服を処分するモチベーションをキープするのは難しく、憂鬱なことだと思います。

ものを「買う」前に「捨てる」ときのことを想像する


ショップによっては「値がつかないものはお持ち帰りください」というケースもあります。自分の服に対して「いりません」と言われてしまうのは、そこはかとなく恥ずかしかったり切なかったり…。苦労して選別して、手間と時間をかけて持ち込んだのに、結局持ち帰って廃棄することになります。

私の経験上、いらなくなった服を持ち込みやすいのは、地域の自治体が用意している古着回収ボックスでした。自治体によって差はあると思いますが、ひどい汚れがついていないとか、基準をクリアしている古着であればだいたい引き取ってもらえます。回収されたあとは、ほぼ確実にリユースやリサイクルに回してもらえるのも安心できる点です。

こうしてものが減ると、生活はすっきり!心に余裕も生まれます。

大量の服を「捨てる」ことに苦労した結果、私はものを「買う」前に「捨てる」ときのことを想像するようになりました。買うか買わないか迷う場面で、「値段」「置き場所」「使い途」などに加えて「捨てるときの苦労」も検討すべき材料に加わったのです。

「買う」のは24時間いつでも手軽にできる。だけど「捨てる」のは簡単にはできません。「買う」よりも「捨てる」ほうが難しい。この事実を身をもって知って、私の買い物意識は大きく変わりました。

※本記事は森 秋子著の書籍『ミニマリスト、41歳で4000万円貯める そのきっかけはシンプルに暮らすことでした。』から一部抜粋・編集しました。