男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:デートの会計時。「ごちそうさま」と笑顔で言うが、財布を出さない女に男が苦言を呈したら




一体、何が悪かったのだろうか。光希とは二度ほど会い、楽しい時間を過ごした。年明けには「明けましておめでとう」と送った。

でも、光希からの連絡はない。

― kiyohiko:光希ちゃん、来週あたりでご飯どうかな?

そう誘ってみたものの、既読になったきり返信が来なくなってしまった。

光希との出会いは、マッチングアプリだった。可愛い子だなぁと思って、僕から「いいね」を送ったら、光希も返してくれてやり取りが始まった。

そして2回もデートしたのに、彼女はどうして何も返してくれなくなったのだろうか…。


Q1:一回り以上年上の男性は恋愛対象に入るのか?


アプリ上でマッチした後、1週間くらいやり取りをしてから僕たちは実際に会うことになった。

合わなかったときのことを考えると、初回はランチかお茶のほうが無難だとはわかっている。

でも、僕はマッチした時から光希のことを気に入っていたし、やり取りの感じも合う。

だから初デートだったけれど、気合を入れて高級フレンチのディナーを予約したのだ。




「清彦さん、ですよね?」
「そうです。光希さん、初めまして」

店へやって来た光希は、想像以上に華やかで綺麗な人だった。

「すごく素敵なお店ですね…こんなお店、予約してくださりありがとうございます」

フレンチの名店と名高いこの店は、一人5万はくだらない。最初から飛ばしすぎかなとも思ったけれど、ある程度インパクトは与えておきたい。

「素敵な女性との初デートなので、気合が入っちゃいました。何がいいですか?まずはシャンパンからで大丈夫ですか?」
「はい、嬉しいです♡」

とっておきのシャンパンをオーダーし、デートが始まる。

「光希さんは、客室乗務員なんですよね?お忙しそうですね」
「でも意外にフレキシブルなんですよ。清彦さんは、ご自身で会社を経営されているんですよね?何系の会社なんですか?」
「貿易系です」

お互いの仕事や家族構成など、初デートらしい話題から始めてみる。その効果もあってか、コースが中盤に差し掛かる頃には、打ち解けてきた。




「清彦さんって、今おいくつでしたっけ…?」
「僕は43歳になります。光希さんは…30歳くらいですよね?」
「そうです。今年で30歳になります」
「そっかー僕より一回り以上年下なのか…」

僕のほうは構わないけれど、女性からすると一回り以上年上というのは許容範囲なのだろうか。

そんなことを考えていると、何かを察したように光希が笑顔で答えてくれた。

「でも、年齢はあまり関係ないですから!清彦さんは、むしろ何歳くらいまでが恋愛対象ですか?」
「僕はもう、何歳でも!でも若すぎても話が合わないので、30歳代くらいだと嬉しいです」
「私、そこに入ってますね(笑)良かったです」

ふふっと笑う光希を見て、僕は思わず声に力がこもる。

「もちろんですよ。最初にアプリで光希さんを見つけた時から、すごく可愛いなと思っていましたから!」
「清彦さん、声のボリューム抑えて(笑)」

お互い、思わず笑ってしまった。初デートにしては、かなり盛り上がったほうだと思う。そして何より楽しい。

「今日はご馳走さまでした」
「喜んでもらえたなら良かったです。また良ければまたお食事へ行ってもらえませんか?」
「もちろんです!」

この日は紳士的に解散したけれど、3週間後。もう一度僕たちはデートをすることになった。


Q2:二度のデートで女が耐え難かったことは?


初回はガチガチのフレンチだったので、二度目は少しカジュアルダウンし、近所の焼肉店を予約した。

「店構えは古いですが、ここ。本当に美味しいんですよ」

店自体は狭くて古いけれど、味は保証できる。その証拠に、モクモクと煙を上げながら肉を焼いてあげると、光希は喜んでいる。

「本当だ…美味しいです!」
「でしょ?良かった〜。光希さん、高級店しか行かなさそうだから、こういう感じは逆に新鮮かなと思ったんです」
「たしかに、外観だけみると、このお店には入りにくいかもですね」
「そうそう。でも実際に食べると美味しい…というギャップが好きなんです」

人も店も。見た目だけではわからないことがある。

「清彦さんって、グルメなんですね」
「いやいや。たまたまここは家が近いから、よく来るんですよ」

ワイガヤ系の店が苦手だったらどうしようかと思ったけれど、光希は楽しんでくれている様子だった。




美味しい食事に、目の前に座る美しい人。僕からすると、とても幸せな夜だ。

「光希さんは、どういう人がタイプなんですか?」
「優しくて、誠実な人ですかね。あと背が高い人のほうが好きです」

僕の身長は185cmある。誠実なほうだと思うし、浮気なんて絶対にしない。

「僕、こう見えて真面目なんです」
「わかりますよ。誠実感がありますもん。年下の私に対しても敬語ですし…」
「心を開くまで、敬語が抜けないんですよね」

周囲の喧騒が、一瞬静かになる。光希のタイプに自分が入っていることが確認でき、僕は嬉しくなった。

「光希さん、良ければこの後もう1軒行きませんか?お連れしたいバーがあって」
「いいですね!行きましょう。…結構洋服に匂いついていますが、大丈夫な感じのお店ですか?」
「全然大丈夫です。知り合いの店なので」

こうして僕は光希を2軒目に誘うことに成功した。




2軒目は、バーにした。暗くて、雰囲気の良い店内に入る。

「光希さん、良ければ奥のソファ席へ行きませんか?くつろげるので」
「せっかくなのでカウンター席にしませんか?バーテンダーさんの動きも見たいですし。こういうお店、私カウンター席に座りたい派で」
「そうですよね。もちろんです」

こうして僕たちは薄暗いバーのカウンター席で横並びになり、再びお酒を飲み始めた。

先程の店とはうって変わり、ゆっくりと流れる時間…。そんな時間と空間を、僕たちは一緒に楽しんでいた。そして気がつけばもう23時で、お開きの時間が迫ってくる。

「またご飯行きましょう!次はイタリアンとかどうですか?僕の好きな店があって」
「いいですね、次はそこに行きましょう」

そんな会話が、最後だった。

結局この日以降光希から連絡は来ないし、返信もない。誠実さはアピールできていたはずだし、いまだに何が原因なのかわからずにいる。

▶前回:デートの会計時。「ごちそうさま」と笑顔で言うが、財布を出さない女に男が苦言を呈したら

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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女が気になっていた本当の言動は…?