男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:アプリで出会った女性といい感じだったのに、3回目のデートがなかった男。会計時のNG行動とは?




麻衣子を初めて見た時から、僕の心は掴まれていた。

僕の話をケラケラと笑いながら聞いてくれる麻衣子は最高だったし、共通点も多く、相性はいいはずだと確信した。

麻衣子も同じ気持ちだったようで、初めて会った時に「大輔くんって、初対面の感じが全然しないんだけど…なんでだろう。話しやすいし、昔どこかで会っているような気もする」と言っていた。

でも、二度ほどデートをした後、急に麻衣子の態度はそっけなくなってしまった。

一体どうして、麻衣子の心は離れてしまったのだろうか…。


Q1:女が男に対して言いたかったことは?


麻衣子とは、友人の紹介で出会った。

最初は、友人も交えて三人で食事をした。僕と同じ31歳だという麻衣子は、広告代理店に勤めており、明快で素敵な女性だった。

「大輔くんは商社マンなの?すごいね!」
「いやいや、そんなことないよ」

商社マンは今も昔とかわらずモテる職業だ、ということに、僕は就職してから、気がついた。

年収だって1,000万は越しているし、女性に「商社で働いている」と話すと、わかりやすく目の色を変える人もいる。麻衣子も最初はそんな感じかと思った。

「どんな部署にいるの?」
「僕はエネルギー関係だよ」
「すごい、商社の中でも花形の部署じゃん」
「一応そうなるかなぁ。でも女性陣ってみんな好きだよね、商社マン」
「それ、自分で言っちゃう?(笑)否定はしないけど」

この先も、いつものパターンで簡単な感じかと思っていた。でも、麻衣子は他の女性とは少し違っていた。

その後は、僕の会社の話には一切ならず、全然別の話をし始めたのだ。

「大輔くん、休みの日は何をしているの?」
「え?僕はそうだな…ジムへ行ったりキャンプをしたりかな。麻衣子ちゃんは?」
「私はヨガへ行ったり、友達と飲むことが多いかな。あとたまにゴルフも行くよ」
「アクティブだね」




個人的に、活発な感じの女性が好きだ。初対面だけど麻衣子はハキハキ話し、見るからにアクティブな感じがする。

「麻衣子ちゃんよければ今度、二人でご飯でもどうですか?」
「いいね。ぜひ」

こんな感じで、麻衣子との食事もすぐに決まった。

― 久しぶりにタイプの子に会えたかも…!

そう思い、僕は恵比寿にある中華レストラン『CKJ』での初デートをかなり楽しみにしていた。




「大輔くんって、お店選びのセンスいいね」

初デートでそう言いながら、麻衣子はニコッと微笑んだ。その笑顔が可愛くて、僕は思わず麻衣子との距離を縮めたくなってしまう。

「麻衣子ちゃんってさ、褒め上手だよね。モテるでしょ?」
「どうだろうなぁ。モテないわけではないと思うけど」
「絶対にモテるね。正直に言うと僕はかなり惹かれているもん」
「そうなの?」

お互いに少し恥ずかしくなったのか、目の前のグラスに手を伸ばす。

― あれ?これってかなり良い感じじゃん…!!

そしてこの日のデートは会話も途絶えることなく盛り上がり、19時から始まった食事は、気がつけば22時を過ぎていた。

「もうこんな時間だ。一旦お会計するね」
「ご馳走になっちゃっていいの?」
「もちろんだよ」

こうして僕たちはお会計を済ませ、店の外へ出る。僕的にはまだ帰りたくないし、一緒にいたい。

「この後どうする?良ければ…変な意味はないんだけど、家が近くて。僕の家で飲んでもいいし、もちろんどこかへ行っても!」

下心がまったくないと言えば嘘になるかもしれないけれど、家も近いしお酒もある。下手な2軒目へ行くならうちもありかなと思った。

でも麻衣子の眉毛が、少し下がる。

「ごめん、行きたいんだけど明日ゴルフで朝が早くて。また今度でいい?」

「また今度」がある、ということ自体が嬉しい。だから僕は首を縦に大きく振る。

「もちろん!」

そしてすぐに、僕たちの「もう一度」はやってきた。


Q2:女が男に対して冷めた一番の理由は?


二度目のデートは、恵比寿にあるイタリアンにした。しかし開口一番の麻衣子に少しだけがっかりしてしまう。

「ここ、美味しいよね。私好きなんだ〜このお店」

― 来たことあるんだ…。

「そっか、麻衣子ちゃん来たことあるんだ…有名店だからあるよね」

老舗の恵比寿にあるイタリアン。麻衣子くらいの女性ならば、来たことがあっても仕方ない。

「あ…ごめん!こういう時は、可愛く『初めて』って言うべきだったよね…ごめん」
「ううん!変なこと言ってごめん。気にしないで」

とりあえず空気を変えるべく、僕たちはワインで乾杯をする。

今日も思ったけれど、やっぱり麻衣子といると楽しい。ワインボトルが1本空く頃には、お互いすっかり気を許していた気がする。




「麻衣子ちゃんキャンプとかは行かないの?」
「あまり行かないなぁ」
「なんで?楽しいよ。今度行こうよ」
「虫とか来ないならいいよ。それより大輔くん、ゴルフはしないの?」
「ゴルフかぁ…。時間取られるのが嫌なんだよね。ほぼ丸一日潰れちゃうから」
「それは言えてる」

趣味こそ合わないかもしれないけれど、どうしてこんなに一緒にいると会話が弾むのだろうか。それは麻衣子も同じように感じてくれていたらしい。

「大輔くんって、初対面の感じが全然しないんだけど…なんでだろう。話しやすいし、昔にどこかで会っているような気もする」
「待って。僕も今まったく同じこと考えてた!」
「本当に?気が合うね」

フィーリングが合うかどうかは、とても大事なこと。しかもそれは表面的に繕ったところでどうなることでもない。

僕は本気で麻衣子のことをいいなと思った。だから将来のことも、早めに聞いておくことにした。




「麻衣子ちゃんって、海外とか好き?」
「うん好きだよ。なんで?」
「商社マンって駐在とかもあるから。麻衣子ちゃんは、どういうタイプなのかな?と思って」
「そうだよね。海外転勤もあるもんね」
「でも麻衣子ちゃんなら、ついてきてくれそうだよね」
「仕事で海外へ行けて、しかも住めるなんてだいぶラッキーだと思うけど」

この話を聞いて、ますます麻衣子のことを好きになったのは言うまでもない。奥さんが内向的な人だと赴任先で大変だと聞いたこともある。その点、麻衣子なら安心そうだ。

「今日も楽しいな〜。この後どうする?散歩しながらか公園とかに行って話すとかどうかな?もちろんバーとかでもいいんだけど…」
「今日はヒール履いてきちゃったから、バーとかに行かない?」
「そうだよね。そうしよう」

そして僕たちは2軒目も話が盛り上がり、あっという間に時間が過ぎた。

しかし、このデート以降、麻衣子からの連絡は急にそっけなくなった。

― あんなに盛り上がっていたのに…!!

麻衣子の気持ちがまったくわからず、告白していないけれど振られた気持ちになっている。

▶前回:アプリで出会った女性といい感じだったのに、3回目のデートがなかった男。会計時のNG行動とは?

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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女が二度のデートでずっと感じていたことは?