「クリスマスに愛する人と…」磯村勇斗が抱く、青山という街への想い
今年で31歳を迎え、俳優として確実な歩みを進める磯村勇斗さん。
サウナ好きとして知られるが、実は「サウナ後の“サ飯”は鮨!」というほどの“鮨ラバー”。
青山を代表する人気鮨店で珠玉の握りを堪能してもらいながら、大人の街・青山について、役者としての今の自分について語っていただいた。
「自炊も外食も大好き。食べるのが好きで、その時間が幸せです」
「普段サ飯で行くのはもっとカジュアルな店なので、こんな高級店はちょっと緊張します」と言いつつ、一貫目の中トロに手を伸ばす磯村さん。握りの美しさにため息を漏らし、好物を前に高揚を隠せず笑みをこぼした
最高の握りを堪能した磯村さんは、実に満足げだった。
「一つひとつの握りが個性的で、どれも本当に美味しかったです。特に印象的だったのが『かっぱ巻き』。あんなかっぱ巻き、見たことないですよ。
コースの一発目が『中トロ』っていうのも驚きだったし、赤身のヅケも舌の上でとろけるやわらかさに感動しました。まぐろが自慢と聞きましたが、どれも全然重くないのに強い旨みを感じました。
大将も気さくで、ノリが良く、会話も最高に楽しかったです」
撮影中は大将と料理について会話を交わす一幕もあり、食への愛がうかがえる。
以前、NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』で演じたコック役では、調理シーンを代役なしでやってのけ、周囲を驚かせたという。
「料理にハマったのは上京してからですね。18歳の時に東京に来て、そこからひとり暮らしを始めて。
居酒屋のキッチンでバイトしていたこともあり、料理は若い頃からやっていました。魚を捌いたり、野菜をみじん切りにしたり、そういう作業って“無”になれるからリフレッシュできるんです。
得意料理ですか?あまり、ないかなぁ。でも、最近作ったのは、とうもろこしのかき揚げですね。米粉と合わせてサッと揚げるだけ。めっちゃ簡単ですよ」
独身男子がなんでもない日に、自宅で天ぷら。しかも、旬の食材を使って。そのエピソードだけで、腕の良さが想像できる。
「食べるのが好きで、その時間が幸せ」と語り、常に美味しいものへのアンテナを張り巡らせているそう。
「それこそ最近、『青山 ゑびす堂』という和食屋さんに行ったのですが、とても良かったですね。僕、沼津出身で小さい頃から魚好き。和食の頻度が高いけど、食べ物もお酒も好き嫌いなく、なんでも食べるし飲みます。
雑誌やネットで美味しそうなお店を見つけたら、Googleマップにすぐにピンを立てます(笑)。友人に僕が気になるお店を提案することも、よくあります。
青山界隈はあまり詳しくないので、これから掘り下げたいエリアですね。イタリアンやフレンチがあまり詳しくないので、開拓したいなと」
「クリスマスに、表参道のイルミネーションを愛する人と歩いてみたい」
青山のお店が出てきたところで、今回のテーマである青山の印象について、改めて聞いてみた。
「街にいる人が大人でお洒落で、洗練されていてスタイリッシュ。そんな印象です。
上京した時、一番初めに『表参道に行かなきゃ』と思って、原宿から青山にかけて背伸びしながら歩いた思い出があります。今も青山に買い物に行く時は、ちょっとお洒落な服着ていこうって気が引き締まる。
ベタですけど、将来クリスマスに表参道のイルミネーションを愛する人と歩いてみたいっていう願望もあります」
「小肌が大好きなんですが、この厚みと大きさは凄いです!口に入れた時の小肌の香りと酢のバランスが丁度良い。口の中でとろけて、余韻も素晴らしいです。酢の締め加減も酸味に丸みがあって、自分好みの味です」
「役名で覚えてもらう。それって役者冥利に尽きることですよね」
18歳で上京し、精一杯背伸びをした。そんな磯村さんも、今年で31歳。役者としても男としてもますます深みが増し、磨きがかかる年代に突入している。
この秋には人気ドラマ『きのう何食べた?』の続編がスタートし、ストーリーの主要人物を演じる映画『月』や『正欲』も公開予定。
着々と味わい深い“実力派俳優”のポジションを掴んでいるように見えるが、今のステータスを自身はどう捉えているのだろうか。
「自分のやりたい作品や仕事には、積極的に挑戦できている気がしています。
“何食べ”ファンの中には、磯村勇斗より役の愛称でもある“ジルベール”で覚えてくださっている方も多いんですが、そっちの方が僕はうれしい。歌手で言えばヒットソングを持っているようなものですから。
ひとつの役で印象に残っている方が、僕は役者冥利に尽きると思う。でも今はまだ、登山に例えたらようやく2合目かな」
そう言って謙虚に笑う。
30代になり、役者として、男として、深みを求める磯村勇斗の今
では、その先に目指す理想や目標とは?
「僕の尊敬する先輩のひとりが綾野 剛さん。彼の芝居に対するストイックさや人を愛する力っていうのは非常に学ぶべきところがあります。
平等に気遣いができて、でも違うことは違うと正しく言う姿勢とか、人間としても尊敬できる。仕事と真摯に向き合う姿も、現場で鳥肌が立ちます。
プライベートでも格好いいんですよ。僕たち後輩に対して、大きく振る舞うところは振る舞って夢を与えてくれる。僕がしてもらったように、後輩たちに希望を持たせられるような存在になりたいですね。
そして、若い役者たちが“お芝居が楽しい”と思える環境を、僕たち世代が作っていかなきゃいけない。ここ数年、そんな風に考え方が変わってきました」
クールな美少年というサナギから、成熟した大人の色気が漂う蝶へと進化。世界へ羽ばたく磯村さんから、この先も目が離せない。
■プロフィール
磯村勇斗 1992年生まれ。静岡県出身。大学進学と同時に上京し、小劇場の舞台を中心に活動。現事務所に所属後、2015年に『仮面ライダーゴースト』に出演。以降、個性的ながら存在感を放つ役柄を次々と演じる。テレビ東京系列 10月クール『きのう何食べた?season2』が放送予定のほか、10月13日公開の『月』、11月10日公開の『正欲』への映画出演を予定している。
■衣装
ジャケット 93,500円、シャツ 24,200円、パンツ 39,600円〈すべてポール・スミス/ポール・スミス リミテッド TEL:03-3478-5600〉、その他スタイリスト私物
▶このほか:「自分の機嫌は自分で取る」20歳の女優・桜田ひよりが魅せた、かっこいい大人な一面
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東カレに語ってくれた、磯村さんが見据える今後の俳優業とは?
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