付き合って2ヶ月経つけど、彼の家へ一度も行ったことがない…。これってやっぱり怪しい?
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:麻布十番のイタリアンで、美女と初デート。いい雰囲気だったのに2度目がなかった理由
健が私の家のドアを閉める音がする。ベッドの中でその音を聞いていた私は、最近ずっと疑問に思っていることが頭をよぎった。
デートを始めて早2ヶ月。
週に1〜2回は会うし、連絡もほぼ毎日くる。外でデートもよくするし、こうして体の関係もある。
でも、健は毎回私の家には泊まらずに、自分の家に帰ってしまう。
それに、帰国子女の健に「付き合おう」と言葉にする発想はないのか、いまだにちゃんと言葉で言われたことはない。
― Takeru:裕子、大好きだよ。おやすみ
家に着いたのか、健からLINEが入っていた。
私はそのメッセージを、なんとなく既読にしないまま、一旦眠りについた。
Q1:最初に出会ったとき、積極的に男がアプローチした理由は?
健と出会ったのは、知り合いの康平の紹介だった。
紹介といっても、康平とは食事会で一度会ったきりで、康平から「また今度みんなでご飯に行こう」と言われてセッティングされた別の会に健がいただけだ。
― この人、かなりタイプ…。
健を見た瞬間に、私はそう思った。その思いがうっかり顔に出ていたのだろうか。健は、終始私に話しかけてくれたし、食事会が終わった後は、毎日のように連絡してきた。
最初に出会ったのは月曜だったけれど、その週の土曜日。私たちは、もう二人でデートをしていた。
その初デートでも、健はかなり積極的に私にアプローチをしてきた。
「裕子ちゃん、次はいつ会える?」
「えっと来週だったら、火曜と金曜が空いているけど…」
「じゃあ、両方空けておいて!」
こうして、出会ってたった2週間で、私たちは3回もデートすることになったのだ。
そして3度目のデートの帰り道。私が住んでいるマンションのエントランスまで送ってくれた健が、急に真剣な顔つきになる。
「今日は家行っちゃダメだよね…?」
「うん、そうだね」
今日はまだ3度目のデート。本当は、私の家に上がってもらっても構わなかったけれど、なんとなくまだ早い気がした。
― 3度目のデートって微妙なタイミングよね。
初回でも2度目でもない、3度目のデート。そろそろ許してもいい気がするけれど、この1回断ることにはきっと意味がある。
そう信じて、私は勇気を出して断った。でも、健は、私の返事を聞いて、こんなことを言った。
「わかった。じゃあ今日は帰るね。変なこと言うけど…次は、よければ泊まりでデートしない?」
「え?」
「せっかくだから特別な感じにしたくて」
これはどう捉えれば良いのだろうか。でも、ここまで大切に、そして真剣に考えてくれていることは、かなり嬉しい。適当な感じもしないし、健の誠実さも伝わってくる。だから私は首を縦に振った。
「わかった。じゃあ次回は、だね」
「本当に!?嬉しい!!その日、絶対空けておいてね」
まるで子どものような、弾ける笑顔の健を見て私も思わず嬉しくなった。
そして、宣言通り4度目のデートで、健はレインボーブリッジや東京タワーが綺麗に見えるホテルを予約してくれており、私たちは、そこで結ばれた。
でもふと、素朴な疑問が湧いてきた。
「あれ?そういえば…なんで今日は健の家じゃないの?」
こうやって特別感を演出してくれていることは本当に嬉しい。大切にしてくれたことも感謝している。
ただただ、何かが引っかかる。
「実は…言えなかったんだけど、僕ルームメイトがいるんだよね」
「ルームメイト?」
寝耳に水だった。でもまだ4回しかデートをしていないし、知らないこともある。
「そうなんだ…。どういう人と一緒に住んでいるの?」
「弟なんだけど。実は弟がまだ大学生で、親が心配しているから僕と一緒に住んでいるんだよね」
「なるほど…」
そこから健は弟の話をたくさんしてくれたので、一緒に住んでいることは嘘ではないと思う。
「今度、家に行ってもいい?」
「もちろん!でも恥ずかしいから、弟がいない時ならいつでも」
「ありがとう」
結局、私たちはこの夜甘い時間を過ごし、幸せな朝を迎えた。でもここから、この関係が続いていくにつれて私の不安は大きくなっていった。
Q2:男が自分の家に上げない理由は?
初めて一緒に夜を過ごしてから、健は頻繁に私の家へ来るようになった。もちろん毎回家へ直行するわけではないし、外でのデートもする。その点は、安心して良いところだと思う。
時に紹介してくれた康平と一緒に飲むこともあった。だから、健がお手洗いに立った隙に、私は康平にそっと聞いてみた。
「康平くん、変なこと聞くけど…。健って、結婚してたりしないよね?」
「え?結婚!?」
「いや、弟と住んでいるとは言ってたんだけど…。なんとなく」
「結婚はしてないよ。僕の知る限りでは」
そんな話をしていると健が戻ってきてしまったので、一旦会話は終了となった。康平は嘘をついているように見えないから、とりあえず建は、結婚はしてなさそうだ。
― 信じるしかないよね…。
30歳になる私は、疑い深くなりすぎなのだろうか。健は、私に優しいし甘い言葉もたくさんかけてくれるのに、どうしてこんなに心配になるのかが自分でもわからなかった。
そんなある日の平日の夜。私の家でダラダラしている時のこと。スマホをいじっていた健が、急に目を輝かせてきた。
「裕子、今度温泉行かない?」
「いいね〜行きたい」
「じゃあ車出すね。裕子との旅行、楽しみだな〜裕子のこと、俺めっちゃタイプなんだよね」
「そうなの?嬉しい♡」
こんな会話もよくしているし、最低でも週に1回以上は会う。連絡も、向こうからたくさんくる。
「健、私たちって付き合ってるの?」
「うん、そうだよ」
そう言われたことはある。けれどもこの時健は酔っ払っていたので、覚えているのかどうかも定かではない。
なぜならその後、一度も健から「僕の彼女」とか言われたことがないから。
海外の人は「付き合おう」と言う文化がないと聞いたことがある。健は帰国子女だから、仕方ないことなのかもしれない。だってすごく大事にしてくれるし、愛されているのもわかる。
でも、結局一度も家に上がったこともないし、女の勘というのか胸騒ぎを払拭できない。
果たして、健は本当にシロなのだろうか。それとも私はただ遊ばれているのだろうか…。
▶前回:麻布十番のイタリアンで、美女と初デート。いい雰囲気だったのに2度目がなかった理由
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:9月24日 日曜更新予定
男が女を家に上げない理由は?