夫が寝てる間に指紋認証を解除/(C)ハッチ、ユニバーサル・パブリシング/KADOKAWA

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スマホやPCの中には、たとえ家族であっても見られたくない個人的な情報がたくさんありますよね。とはいえ、夫婦や恋人の間では、パートナーのスマホの中身を覗き見てしまったという方も少なくありません。ユーザーアンケートでは18%の方が「夫や恋人のスマホ・携帯電話を見てしまったことがある」と回答しています。(2021/9/14〜20実施。「レタスクラブWEBアンケート部」回答者296人)

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アンケ―トでは

・「最近飲み会が多すぎる」

・「仕事で出張が増えた」

といったきかっけで、パートナーの行動を疑った場合、パートナーのスマホの中身が気になり始めたという回答がありました。中には「パートナーが寝てる間に本人の指で指紋認証を解除してしまった」という経験談をお持ちの方も…。

そこで気になるのは、「寝ている間に指紋認証を解除」は法的にどうなのか?ということ。これがはたして違法行為にあたるのかどうか、 弁護士法人プロテクトスタンスの弁護士・金岡紗矢香さんに伺いました。

■寝ている間にスマホのロックを解除する行為は犯罪に当たる?

──パートナーが寝ている間に、本人の指で指紋認証を解除して中身を確認することは法的にはどうなのでしょうか?

金岡 紗矢香氏「パートナーのスマホを覗き見する行為について、現在の刑法では犯罪として規定されていません。また、寝ている間にパートナーの指紋で指紋認証を解除し、スマホに保存されている写真などを盗み見る行為自体も犯罪として規定されていません」

── ロックを解除することは刑法では犯罪として規定されていない、いうことはわかったのですが、スマホの中のSNSやメール、トークアプリを見るのは法的にいかがでしょう。

「ログインIDやパスワードが必要なトークアプリやSNS、Googleのメール(Gmail)やYahoo!メールを見た場合は、『不正アクセス禁止法』に違反する可能性があります。

他人のログインIDやパスワードを無断で使用すると、いわゆる『不正アクセス禁止法』に違反する不正アクセスを行なったものとして、刑事罰の対象となる可能性があります。不正アクセスを行なった場合の罰則は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金となります」

──SNSやトークアプリなどは、自動ログインの設定にしている方が多いと思います。起動するときにパスワードを求められず、自動ログインの状態で見てしまった、という方もいらっしゃるようです。

「ログインIDとパスワードによるログインが必要なものは、たとえ自動ログインできる状態だったとしても、覗き見をすると不正アクセス禁止法に違反する可能性があります」

──ブラウザの閲覧履歴を見た場合はいかがですか?

「閲覧履歴を確認する方法として、たとえば、GoogleのアカウントでログインするGoogle Chromeなど、ログインが必要なブラウザの閲覧履歴を見たような場合については、やはり不正アクセス禁止法に違反する可能性があると言えるでしょう」

──スマホ以外に、パソコンの場合はどうでしょう? パートナーが不在の間に自宅のパソコンの中身を覗き見た場合について教えて下さい。

「考え方は、先ほどのスマホと同様です。

PCのロックを解除する行為それ自体は犯罪にはあたりません。ただし、ログインIDとパスワードによるログインが必要なものにログインする場合は、たとえ自動ログインできる状態だったとしても、覗き見をすると不正アクセス禁止法に違反する可能性があります」

相手のスマホやPCを覗き見ることそのものは現在の法律では刑事罰では問われないようですが、SNSやメール、トークアプリなどは、基本的にログインIDやパスワードが必要なものばかり。

たとえ自動ログインで見た場合でも、不正アクセス禁止法に違反する可能性が。パートナーのスマホやPCを勝手に見てしまったという方は少なくないようですが、リスクがあることを知らない方も多いのではないでしょうか。改めてリスクについて知っておく必要がありそうです。

【取材協力弁護士】

金岡 紗矢香(かなおか さやか)/弁護士法人プロテクトスタンス

弁護士・行政書士。国内大手飲料メーカーの勤務を経て、弁護士資格を取得。男女トラブル、離婚問題、セクハラ・パワハラ、相続手続などに精通し、女性からの法律相談に幅広く応じている。現在、2児の母親として子育ても奮闘中(第一東京弁護士会所属)。

文=レタスクラブ編集部

イラスト=『旦那の浮気相手とLINE友達になってみた』(著:ハッチ、ユニバーサル・パブリシング)より