「これだから東大生は使えない…」社長がついそう思ってしまった、東大出身女子の奇行
年収8桁は当たり前。
予約のとれないレストランに頻繁に通って、
画面の向こう側の人たちとコネクションがあって、
美男美女で賢くて…。
「あの人みたいになりたい…」とみんなから羨ましがられるハイスぺたち―。
けれど…
そんな人間も、実は人知れず意外な闇を抱えていること。
あなたはご存じですか？
▶前回：「高卒の友人たちが、羨ましい」1人“勝ち組”になったエリート女が、地元で劣等感を感じたワケ
ケース6：高学歴の呪縛に苦しむ女
一番幸せな瞬間、それは、テストの点数をみるときだった。
“学問”そのものに魅せられていたわけではないけれど、ちゃんと努力した分だけ明確に結果として返ってくる。
その仕組みがとても好きだったのだ。
どう頑張ってもクラスで1番速く走ることはできなかったし、もともと社交的なタイプじゃないから、クラスの中心人物になるなんてできっこない。別に顔も普通。
けれど、勉強は努力すれば1番になれる。
学校生活というのはなぜか、運動よりも、お友達と仲良くなるよりも、勉強ができることが何より褒められる。
その事実は余計に私を勉強へと向かわせ、気づいたら現役で東京大学・文�兇帽膤覆垢襪泙任砲覆辰討い拭�
運動より、コミュニケーション能力より、勉強ができるほうがはるかに人生においてリターンが多い。
得意なものが勉強でよかった！！
心からそんなふうに思っていた。
あの日までは…。
大学に入って少し驚いた。
東大とはいえ、高校時代と違って朝から夕方までずっと授業があるわけじゃない。
なんなら、授業になんてまったく出ない学生だっている。
今まで抑制していたものを爆発させるかのように、ひたすら飲み会に参加したり、サークル活動に勤しんだり、恋愛をしてみたり…。
おのおのが勉強以外にやりたいことを持っていて、徐々にそれぞれの学生生活に個性を出し始めるのだ。
「大学って、勉強するところじゃないんだ…」
私は、その事実に少しショックを受けた。
けれど、それでもちゃんと勉強をする学生はいる。きっと、他大学に比べたらかなり多い方だったのだろう。
勉強以外に得意なこともなければ、やりたいこともない。
いわゆる“大学生らしい生活”を送る同級生をどこか羨ましいと思いながらも、興味もなければ得意でもない何かを始めようとは思えず、私は引き続き勉強をした。
けれど、嬉しいことに、大学時代はたやすく成績上位に食い込めた。理由は簡単、ライバルがほとんどみな勉強をしなくなったから。
大学で良い成績を取ったところで、別に大した見返りはない。
そんなことは重々承知だったけれど、「みんなが遊び呆けているうちに追い抜いてやる」という闘争心が染みついていた私は、大学生になっても勉強するという習慣が抜けなかった。
そんな勉強の虫だった私も、いつかは“学校”というところを卒業し、社会に出なくてはいけない。
ずっと頭の片隅では理解していたことだったけれど、その事実をひしひしと実感しはじめた就活の時期は本当に憂鬱だった。
“これをこれくらい頑張れば、これだけの結果がでる。”
仕事はきっと、そんなふうな明確な法則がない。
人とコミュニケーションを重ね、柔軟に…なんて、一番苦手な分野だ。
努力がそのまま成果に繋がらないことに真剣に向き合うことが、嫌で嫌でしょうがなかった。
そして私は極力人との関わりが少なく、なるべくアカデミックな仕事ができるような会社をひたすらに探し、ある大手金融機関に就職した。
営業に配属されたらどうしようと配属発表の前夜は緊張で眠れなかったけれど、たっての希望で配属は法務部となった。
コミュニケーション能力を求められることもないし、きっと契約書をひたすら確認していればいいだけだろう。
私に向いている仕事だと、このときは心から安心しきっていた。
けれど、思うように人生は進まなかった。
こんなこと、まともに社会人として働いている人が聞いたら呆れるだろうけれど、どんな仕事も人との関わりは切っても切れないものだと、私は知らなかった。
別に私は友達がまったくいないわけじゃないし、対人恐怖症でもない。
けれど、目標に向かってコツコツと努力し続けたいのに、他者が関わるとその計画が一気に崩れる。それが嫌でたまらないのだ。
お願いしていた仕事をずっと後回しにされたり、こちらの意向を汲んでくれなかったり、ときには上司がすべてをひっくり返すこともある。
全然思うように進まない。
「そんなの当たり前だ、仕事なんだから、もっと柔軟に対応しろ」
そんな言葉が聞こえてきそうだが、ずっと勉強という個人プレーしかしてこなかった私にとって、そんなの無理な話なのだ。
結局、私はたった1年で会社を辞めた。
別にキャリアウーマンになりたかったわけじゃないから、別にいいんだ。仕事はなんでもいい。それなりの生活ができるお金が稼げれば、それでいいのだ。
あんなふうに思い通りにいかないストレスを抱えるのなんて御免だった。大手金融機関というブランドを捨てることに、一ミリの躊躇もなかった。
そして、ある中小企業の事務として働き始めた。
コピーを取ったり、エクセルで表をまとめたり。言われた仕事を淡々とこなすだけ。
一番避けたかった、アンコントローラブルな要素もない。やりがいはないけど、ストレスもなかった。
「やっぱり、前の仕事は向いてなかっただけなんだ…！」
最初はそんなふうに思っていたのだが…。
数週間もすると、徐々に心境に変化が訪れた。自分の中でじわじわと黒い感情が押し寄せるようになったのだ。
― なんで、私はこんなおじさんにこき使われてるんだろう…。私、東大出身なのに…。
わかってる、会社を辞めたのは自分の意志だ。この会社にいるのは、自分の意志だ。
けれど、周囲の人間は明らかに聞いたことのない大学出身の人間。私より、あきらかに頭が悪い。
その事実に気づいた途端、この会社の何もかもに嫌気がさしてしまったのだ。
自分に染みついていた“優秀”というアイデンティティーが、ここでは全く評価されない。それが、どうしても耐えられなくなってしまったのだと思う。
「あ、これ3部。コピー取っておいてくれる？」
「…」
― このご時世に、コピー…。
「聞いてる？」
「…」
― どうしてデータのままじゃダメなんだろう…。バカなのかな…。
「ねぇ、ちょっと！！」
「…」
私は、また仕事を辞めた。
去り際、「これだから東大は使えない」と捨て台詞を浴びせられた。
別に東大だから使えないわけじゃないって屁理屈を言おうかと思ったけど、やめておいた。
喧嘩するほどの気力が残っていなかった。
これから、また仕事を探さなくちゃ…。
見つかるのだろうか。
ずっと“優等生”として生きてきた私のプライドを満たし、アンコントローラブルなことにストレスを感じない職場が…。
子どもの頃、大人はみんなして「勉強しましょう！」って唱え続けてきた。勉強ができると何より褒められた。
国が義務として定めているくらいに、勉強は大事なものだった。
だから…。だから、それに従って、必死に勉強し続けてきたのに…。
その結果が、無職。
私が極端な性格だということは理解している。でも、別になんにも悪いことしていないのに…、むしろ一生懸命に頑張っているのに…どうしてこうなってしまうのだろう。
誰か、教えてほしい。
▶前回：「高卒の友人たちが、羨ましい」1人“勝ち組”になったエリート女が、地元で劣等感を感じたワケ
▶1話目はこちら：「ヒゲが生えてきた…」美人すぎる女社長の悩みとは
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不動産で財を成し、どん底から這い上がった男。
