こんにちは、公認心理師、精神保健福祉士の水口明子です。コロナ禍において、「コロナ離婚」という言葉が一時広まりましたが、コロナに関係なく、離婚を選択する夫婦は一定数いらっしゃいます。今は結婚した3組に1組が離婚するとまで言われるようになり、私自身も知人の離婚話にもそう驚かないようになってきています。離婚自体は夫婦の問題であり、周りが口を出すことではありません。しかし、夫婦間に子どもがいる場合は、当人だけの問題ではなく、子どものメンタル面には最大のケアが必要です。今回は、離婚によって子どもが背負う心の傷と、絶対にしてはいけない行為から、親のすべきことについてお話させていただきます。

子どもは5歳までに、親という安心できる場所を認識していく

親の離婚が子どもに与える影響は実に多岐に渡ります。どちらに引き取られた場合であっても一人親になった時に考えられるのが、「愛着障害」と「共依存」です。「共依存」については前回お話させていただいた通り、自分よりも相手(親)を優先したり、自分よりも親を頼りにして、時には自分が思っていることとは反対の思いにさえも無理に合わせてしまい、その行動が心に影響を及ぼしてしまうというものです(詳しくはこちらをご覧ください)。一人親はどうしても親子間の関係が密になってしまい、それが依存を生んでしまうのです。

もうひとつの「愛着障害」は、幼少期に養育者(親)との間の愛着形成がうまくいかずに、大人になっても問題を抱えてしまっている状態のことを指します。子どもは赤ちゃんの頃から幼少期にかけて、親によって信頼関係や愛情を教えられます。

もちろんすべての親に該当するわけではありませんが、一人親となると生活のために仕事に時間をとられてしまうこともあり、うまく親の愛情を受け取れない子どもを作ってしまいます。そしてその子どもは愛着に障害を持ったかたちで大人になり、社会生活や対人関係に問題を抱えやすいと言われているのです。

子どもは成長していく中で親からの愛情や安心感、そして信頼感を学び、親のことを自分の安心できる場所=安全基地、だと認識していきます。この場所がちゃんとあるからこそさまざまな場所へチャレンジしていく気持ちや、自立心、自尊心が育っていきます。

幼少期の親と子どもとの時間は、大人になるための必要なステップとなりますので、一人親の場合もできるだけ一緒にいる時間を作ってあげてください。

また、一人で育てるのが厳しい場合は、自身の両親や親族、近しい関係の他人に頼っても構いません。それは、子どもにとって愛情を受ける存在が必ずしも親でなければいけない必要はないからです。しかし、育てに関わる人が頻繁に変わってしまう行為は愛着障害を招く場合があります。心理学の中では5歳までは愛着障害を引き起こす恐れがあると言われているので、子どもが5歳未満で離婚に踏み切る場合は、上記のことを覚えておいてください。

伝えるべきは、離婚は「あなたが理由ではない」ということ

子どもが6歳以降から思春期といわれる多感な時期に入ると、離婚によって与える影響はさらに増えていきます。転校や経済的な変化など直接的なものもありますが、メンタルの部分にフォーカスすると、一緒に暮らせなくなった親から捨てられたという感情を抱きやすいとされています。

ここで気をつけてほしいのが、決して子どもの前でもう一人の親の悪口は言わないこと。子どもに自分が両親をつなぎ留められなかったと罪悪感を煽ってしまう結果になり、自分のせいだと誤解する子もいます。

また、離婚時にどちらについていくか選択させる親もいますが、この行為は賛成できません。この行為もまた、子どもに選ばなかった親への罪悪感を与えてしまいます。

選ばれなかった、選べなかった行為で子どもは自分の存在を否定してしまう。

離婚理由についても多感な時期に詳細を伝えるのではなく、「あなたが理由ではない」ということだけを伝えてあげてください。

親からの愛情をしっかり感じることができないと子どもは、問題行動を起こすようになっていきます。それは自分を見てほしいという承認欲求の表れである場合が多く、問題行動は愛情を受け取れていないという表れだと思ってください。

一人親だとしても、子どもが何かを言葉や行動で起こした場合は、それをうまく受け止めてあげてください。カウンセリングで私は、「子育てで親は子どものキャッチャーミットになってすべてを受け止めてあげてください」と伝えています。

離れてしまった親と会いたいと打ち明けた場合も、その発言をしっかり受け止めてあげてください。その発言は、あなたのことを信頼しているからこそ打ち明けてくれたものだ、ということを覚えていてもらいたいです。

離婚によって親が子どもを頼るようになってはいけない

また逆に、離婚によって傷ついてしまった親のほうが子どもを頼ってしまう場合があります。この行為は子どもの自立を促す行為ともいえますが、それはしっかりと愛情を受け取れている子どもや、すでに子どもが自立している場合に限ります。そうでなければ、子どもの負担にしかなりません。

親から頼られていると思うと、子どもは親に相談することは悪いことだと認識してしまい、頼れる存在を失う結果になります。そして、頼れない環境が精神面の不安定さを生み、親以外に攻撃的になるケースや自傷行為などが生じるケースもあります。

離婚、一人親になってしまうことが子どもに与える影響は、とても大きいものです。それは離婚が少なかった頃から、現在のように離婚がいくら一般化していっても変わるものではありません。

離婚は親の問題であり、さまざまな理由があって、離婚を選択されるのでしょう。それは自由だと思います。しかし、離婚が子どもに大きな影響があることを十分に理解し、子どもの発言や、行動に対してしっかりと受け止める覚悟を持つことが重要だと思うのです。

一人親でも、たっぷりの愛情を受けて育つ子どもはたくさんいます。実際私も一人親であり、しっかりとした愛情を受けて育ったと思うことができています。大切なことは、子どもが、自分は親にとって唯一無二の存在であり、愛されていることを実感できる環境を作ることだと、私は思います。

■プロフィール

心理カウンセリングの賢人 水口明子

メンタルケアオフィス「ハビットマインドKOKOLO」代表。公認心理師(国家資格)、精神保健福祉士(国家資格)、全心連公認 プロフェッショナル心理カウンセラー、メンタルヘルスマネジメント検定擬錣覆匹了餝覆鮖つ。メンタルクリニックにて、インテーク面接や、訪問看護を担当後、うつ病に特化した、就労移行支援事業所の管理者としてプログラム講師、利用者へのカウンセリングを実施。また、浦和にあるカウンセリング研究所にて講師として、メンタルヘルス、アサーション、プレゼンテーションスキルアップなど50以上のプログラムを作成し、人材育成も行なっている。