誘ってきたのに! エッチした「実は彼女がいる」と言う男【ラブホ上野さんのダメ男子図鑑】

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「男ってなんでこんな行動するの…」理解しがたい行動ばかりのダメ男子…あなたの身近にもいませんか? ここでは、Twitterで30万人以上のフォロワー数を誇る「ラブホスタッフ上野さん」が、その卓越した人間観察眼を活かして「ダメ男子」たちの本音や生態を分析します!
今回は、一晩を共にした後で、彼から彼女がいると伝えられた女性の悩みに答えていただきました。

■誘ってきたくせに、実は彼女がいた男



◎ある女性のお悩み
仕事で会うたびに彼からアプローチされるようになりましたが、仕事上の間柄なのであたりさわりなく流していました。

でも、何度も誘ってくれる彼に熱意を感じて、男女の関係になってしまいました。

このままお付き合いが始まると思っていたのですが、二人で過ごした次の日の朝、「他に付き合っている彼女がいる」と言われ、セフレ扱いに……。

ショックでくやしくてもう彼に会いたくないと思う反面、まだ好きな気持ちを捨てきれずにいます。

簡単に彼を信じてしまった自分を責めたくなるときもあります。この苦しさから抜け出すにはどうすればいいですか?

■上野さんの回答は…


ご質問誠に有難う御座います。

今からおよそ100年前の1903年。アメリカはノースカロライナ州のキティホークで人類の歴史は新たな一歩を歩み始めました。

空気よりも重たい機械が空を飛ぶはずがない。そんな常識をウィルバー・ライトとオーヴィル・ライトが作ったライトフライヤー号が見事に打ち破ったのです。

観衆が見守る中、わずか12秒の飛行では御座いましたがその12秒は間違いなく人類の歴史を大きく塗り替えました。

20世紀は良い意味でも悪い意味でも、飛行機の時代と言っても過言ではないでしょう。

ライト兄弟が人類で初めて飛行を成功させた1903年以降、飛行機の技術は日々目まぐるしく発展を遂げました。

人類が空を飛んでからわずか45年後。弟のオーヴィルが亡くなる1948年にはすでに世界中の空を飛行機が飛び回り、音速を超える飛行機も誕生していました。

そして人類が空を飛んで100年程度経った今日では、飛行機は世界で最も安全な乗り物の1つであるとまで言われるようになっております。事実その死亡率の低さは主要な交通機関の中ではバスや鉄道をも差し置いて堂々の第1位(※1)。わずか100年で飛行機は世界で最も安全な乗り物へと進化を遂げたのです。

しかし開発されて間もない頃の飛行機は決して安全な乗り物といえるものでは御座いませんでした。

1912年のデータではパイロット14人のうち8人までもが事故で命を落とすと言われていたのです。

「サン=テグジュペリ」は飛行機のパイロットとしても活躍をした人物として知られておりますが、日本でもおなじみの『星の王子さま』は彼が飛行機事故でサハラ砂漠に不時着したことをモチーフにして書かれたものでございます。また、彼がデビュー間もない頃に書き上げた『夜間飛行』は当時の飛行機がどれほど危険であり、パイロットがどれほど命を賭けていたかということを感じられる作品でしょう。

ちなみに余談ですが『夜間飛行』は私がオススメする小説の1つなのでよろしければ是非お読みくださいませ。漫画にもなっているのでそちらでも良いかと思います。

それでは、わずか100年という短い期間で飛行機はなぜここまで安全な乗り物へと進化を遂げることができたのでしょうか?

もちろん技術革新も重要な要素で御座います。しかしそれ以上に責任と原因の分離こそが飛行機をここまで安全な乗り物にしたのだと私は考えます。

責任と原因の分離。

不幸にも飛行機が開発されて以来、多くの飛行機事故により何万という人命が失われたのは間違いありません。

しかし、重要なのは事故が起きた後。

なんと飛行機事故では事故の調査結果を民事訴訟において証拠として利用することを法律で禁止しているのです。

※1 移動距離ベース。移動距離10億kmあたりの死亡人数で比較している。そのため他の交通機関に比べて桁違いに移動距離が長い飛行機にとって非常に有利な統計であるのは間違いない。そのため利用回数あたりの死亡率では電車やバスに劣るが、それでもかなり安全なのは間違いない。なお最も危険な乗り物はダントツでバイク。

■責任と原因は違う


飛行機事故が起きた場合、航空業界ではすぐさま調査機関が設置されます。

この調査機関は航空会社とは独立した存在であり、企業が彼らに口出しをすることはできません。

しかし、調査結果が裁判の証拠として利用されるとしたら、一体誰がバカ正直に己の過失を認めるでしょうか?

莫大な損害賠償だけでは御座いません。自分のミスを認めれば責められる状況において、自分のミスを認められる人などいないのです。

そのため航空業界においてはこの調査で得られた結果を民事裁判で利用することを禁止しました。つまりどれだけ自分のミスを認めようとも、それによって人から非難される可能性を無くしたのです。

航空業界はこのように責任と原因を分離させる仕組みを数多く用意しました。

例えばミスをした場合であっても、ミスから10日以内に報告書を提出すれば罰せられない。異常飛行をしたデータは採集されますが、その際にそのデータにパイロットの名前を記載しないなど。

兎にも角にもミスを報告しやすい環境を徹底的に用意しているのです。

そのため飛行機はわずか100年の間に最も危険な乗り物から、最も安全な乗り物にまで進化を遂げました。

これはまさに責任と原因の分離によるものでしょう。

たとえパイロットの操縦ミスが事故の原因であったとしても、事故の責任はパイロットのみによるものではない。

責任と原因を分けるという考え方は、人類の進歩において不可欠なものでしょう。

■騙された原因はあるが、責任はない


それでは今回のご質問に戻りましょう。

おそらく彼から騙されたために、ご質問者様は「自分はなんと情けないんだ」「自分はなんと愚かなんだ」と、お悩みのことと思います。

しかし、どうかその考えはお止めください。

確かに騙された「原因」はご質問者様にもあるのでしょう。もっと確認しておけば、もっと慎重になっていれば、ご質問者様は騙されなかったかもしれません。

ですが「原因の一端」がご質問者様にあったとしても、ご質問者様に「責任」はないのです。

この2つを明確に分けて考えなくてはなりません。

「責任はないから、自分は何も改善しなくていい」というように「責任も原因もない」と考えてしまったら、ご質問者様はまた同じ悲しみを味わうことになるでしょう。

逆に「責任も原因も自分にある」と自らを責めてしまったら、今回のように酷く落ち込んでしまい、それはそれでまた深い悲しみを味わうことになるので御座います。

原因はあるが、責任はない。

繰り返しになってしまい誠に申し訳ございませんが、この2つを明確に分けて考えなくてはならないのです。

また、私がここまでこの言葉を繰り返すのは、何もご質問者様のためだけでは御座いません。

痴漢、いじめ、セクハラ、パワハラ、その他もろもろ。

こういった問題の多くは責任と原因を分離せずに考えると、意味不明な議論になってしまうからです。そして、もしもご質問者様がこの2つを分離して考えられないままであるとしたら、ご質問者様が今後誰かから相談をされたときに、相手を酷く傷つけることになりかねません。

ですので、ご質問者様にはぜひとも責任と原因の分離を心がけていただきたいのでございます。

それはご質問者様の傷を癒すことにもなりますが、それと同じかそれ以上に、ご質問者様の身近な方の心を救うことになるでしょう。

■惚れ薬


エッチな漫画によく出てくる惚れ薬。

飲ませると相手のことを好きになってしまうアレで御座います。

もちろん私の知る限り惚れ薬など現実には存在いたしませんが、仮に存在するとして私がご質問者様にそれを飲ませたらどうなるでしょうか。

当然ですが薬の効果でご質問者様は私のことを好きになるでしょう。しかし「惚れ薬を飲んだ」という自覚があれば「これは薬の効果である」と納得し、その「好き」を多少は抑えられるかもしれません。

少なくとも薬の効果が切れた後には「アレは薬の効果だった」と納得し、それ以降も私のことを好きでい続けたりはしないでしょう。というより、そんなヤバい薬を飲ませた私を嫌いになる可能性もあります。

あまり大きな声では言いにくいのですが、女性にとってセックスはある種の惚れ薬のような側面があるのは間違いないでしょう。

個人差は御座いますが、一般論として「ヤッたら好きになる」という側面が少なからずあるのは否めません。

つまり、今のご質問者様はある意味で「惚れ薬」を飲まされているようなものなので御座います。

もちろん相手のことを好きになってしまっても問題のない状況であれば、惚れ薬を飲んだからといってなんら問題は御座いません。しかし、今回のように好きになるべきではない相手に惚れ薬を飲まされた場合は、今のご自身の気持ちを「薬の効果」と考えたほうがいいでしょう。

確かにご質問者様の中に彼への好意があるのは間違いありません。しかしそれは薬の効果なので御座います。

睡眠薬を飲んで眠ってしまうように、胃腸薬を飲んで胃の痛みが取れるように、今のご質問者様の好意は薬の効果でしかありません。

「好き」という気持ちがあること自体は否定しなくていいのです。そんな気持ちがあるのは間違いないのですから、その気持ち自体を否定することはできません。

しかし、その気持ちが「薬の効果である」と理解することは非常に重要でしょう。

薬はやがてその効果を失います。ですので、薬の効果が消えるまで「これは薬のせい」と理解して待っていればいいのです。

「好意がない」と否定することは嘘になります。
「純粋な好意がある」と思うのもまた嘘でしょう。

「好意はある、しかしそれは薬の効果である」と現状を正しく理解することこそが、今のご質問者様に必要なのは間違いありません。

そう考えれば今のご質問者様がすべき行動は自ずと見えてくるでしょう。

薬のせいで好きでもない相手に好きという感情を植え付けられているのです。そんな状況でまた同じ薬を飲むのはいくらなんでも愚かすぎると言えます。

彼のことを無理に嫌いになろうとする必要は御座いません。

だって、そもそもその気持ち自体が薬で作られた幻の感情なのですから。

■今回の彼をダメ男子タイプで見ると…



今回の男性はあまりにも多くの罪を重ねており、擁護の仕様が御座いません。

特に最悪なのがセックスの後に事実を報告したこと。こんなもの契約書にサインした後に物件の瑕疵を話すようなものでしょう。

おそらく今回の男性はダメ男子診断でいうところのプロジェクトリーダー男子か、企画男子か、経営者男子。

企画男子は己の欲望に従い、相手のことなど何も考えずに傷つけるタイプですから、今回の男性が該当する可能性は高いでしょう。

しかし、企画男子は良い意味でも悪い意味でもアホなので、ヤった直後に言うという高度な策略を用いられるか疑問が残るところ。

一方で経営者男子は、人に対してどこまでも冷たくなれる傾向があるため、今回のような酷い行動をする可能性は大。しかし、そもそも浮気をしてまで女性を抱きたがる性格ではないので、彼が経営者男子の場合、ご質問者様がよほど好みのタイプだったか、本命のパートナーと物凄く上手くいっていないという可能性が高いでしょう。

そして最も現実的な線は、プロジェクトリーダー男子。

とにかく浮気性なので、その点については完全に一致。また調子のいいことを言いたがる癖があるので、ギリギリまで本命の恋人や妻の存在を明かさないのも納得。

また良い意味でも悪い意味でも根っこのところが甘ちゃんなので、罪の意識に耐え切れず結局は真実を告白するのもプロジェクトリーダータイプの特徴でしょう。

ですので、おそらく今回の男性プロジェクトリーダータイプの可能性が大。

プロジェクトリーダータイプの特徴については、こちら:https://cocoloni.jp/culture/435788/ をご覧くださいませ。

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◎プロフィール


ラブホスタッフ上野さん
豊かな知見と人間観察眼をもとにした悩み相談への深みある回答が人気を集め、Twitterのフォロワー数は30万以上を誇る。漫画『ラブホの上野さん』(漫画:博士/原案:上野)の原案もつとめ、書籍は現在4巻まで発売されている。同漫画は2017年1月よりフジテレビ系にて本郷奏多主演で連ドラ化。

★オフィシャルブログ:「ラブホの上野の休憩中」
★Twitter:@meguro_staff