『鬼滅の刃』はオトナ女子も虜に! 主人公・炭治郎に癒される人続出の理由
こんにちは、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。Suits WOMANでテレビをテーマにした連載コラムを書いています。
今回は、『鬼滅の刃』をご紹介します。
子どもから大人までが夢中になる“鬼滅”の個性豊かなキャラと物語
第19話より。主人公・竈門炭治郎はとにかくかっこいい!!! (c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
吾峠呼世晴さんによる漫画『鬼滅の刃』は、「週間少年ジャンプ」(集英社)で2016年2月発売の11号から、2020年5月発売の24号まで連載され、コミックスのシリーズ累計発行部数(電子版を含む)が現在、なんと6000万部を突破している大人気作。
地上波でのアニメ放送(TOKYO MXほか)は2019年4月から9月で終了していますが、いまはAmazonプライム・ビデオなどで全26話が配信されています。
炭を売る主人公の少年・竈門炭治郎(かまどたんじろう)は、人喰い鬼に家族を殺され、生活が一変。炭治郎は、唯一生き残ったが凶暴な鬼に変異した妹・禰豆子(ねずこ)を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため鬼と戦う、大正時代を舞台にした物語です。
『鬼滅の刃』は、アニメ化で人気爆発、2.5次元舞台も上演され、関連商品も大ヒット。LiSAさんが歌うアニメ『鬼滅の刃』の主題歌「紅蓮華」も絶好調で、昨年末の『第70回NHK紅白歌合戦』に出演後のいまもロングヒット中と、もはや社会現象と言っても過言ではありません。筆者は同作が「週刊少年ジャンプ」で人気絶頂のまま最終回を迎えると知り、「最後を見届けよう」と、生まれて初めて少年漫画誌を購入しましたし、コミックスもアニメももちろん全作観ています。
そうなんです、“鬼滅”は子どもだけではなく大人まで、そして男女ともにハマる人が続々!その理由のひとつとしてまず、奥深いキャラクターに惹き込まれてしまうからだといえます。
主人公の炭治郎は、とにかくピュア。清く、正しく、まっすぐで、自分のことよりも相手のことを第一に考える心優しき人。頭の回転もはやく、そして勇気もあります。竈門家は6人兄弟と大家族ながら、炭治郎は寒い日も家族のために山を降り、町へ炭を売りに出かける働き者。また、鬼になった妹・禰豆子を守り、鬼を討つために、絶望的な現実に打ちのめされてボロボロになりながらも、何度も立ち上がっていく心の強さに感動してしまいます。
抜群に性格が良くて、働き者で、家族想い……婚活中のオトナ女子なら、「現代にこんな人いたらめちゃくちゃ貴重! 結婚したい!!」と思うほど、炭治郎に心を射抜かれること間違いなし。さらに子どもを持つ親なら、「炭治郎のような人物に育ってほしい!」と目を輝かせてしまうニューヒーローなんです。いや、そもそも現実にこんなに心の綺麗な人がいたら、雑多な世の中に影響されないか心配ですが、なぜか「炭治郎なら大丈夫でしょ」と思える圧倒的なキャラクターのパワー。
また、鬼化したものの兄・炭治郎とともに戦う禰豆子をはじめ、普段は臆病なのに極限状態で眠りに落ちると強くなる我妻善逸(あがつまぜんいつ)、猪の頭を被っているが実は美少年の嘴平伊之助(はしびらいのすけ)といった“鬼殺隊”の仲間も超個性的! ほかにも“柱(はしら)”と呼ばれる冨岡義勇(とみおかぎゆう)ら最強の剣士たちや、炭治郎の仇敵で1000年以上前に一番初めに鬼になった鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)ら、それぞれが実に奥深く魅力的なキャラばかりが登場します。
そして、炭治郎との交流から生まれる、それぞれの登場人物たちの心の変化や背負っている過去が丁寧に描かれているのも“鬼滅”の良さ。作品全体としては、家族との絆、友情、底知れない努力の末の勝利といった王道ストーリーといえるものの、壮絶な鬼との戦いでのハードな場面と、仲間たちとのほっこりとした場面との、光と影のコントラストが絶妙に描かれているところも魅力です。
登場人物のかっこよさに子どもたちが夢中になるだけでなく、オトナ女子さえも虜にしてこれだけ多くの人々に支持されるのは、なんといっても炭治郎が、何よりも「家族の絆」を大事にしているからだといえるでしょう。
第22話より。炎柱・煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)は10月公開の映画でも重要な役割。 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
主人公・炭治郎の“ヒーリング”力と“家族の絆”に感動
第19話より。炭治郎が戦う場面は国内外で「神回」と大絶賛された。 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
『鬼滅の刃』の人気が過熱しているのは、普段漫画を読んだり、アニメを観たりしない層までも惹き込まれる、主人公・炭治郎の圧倒的な存在があるから。家族を殺した鬼を討つために、“鬼狩り”の旅をする炭治郎たち兄妹に、胸が熱くなる人が急増しています。
そんな兄妹の絆がわかる、印象的だったアニメの放送回をここでご紹介しましょう。たとえば、すべての始まりとなる第1話「残酷」。自分が家にいない間に、家族が鬼に惨殺されて、生き残った妹・禰豆子が鬼となり、襲われそうになる炭治郎。守れなかった家族に対する懺悔の気持ちが溢れ出て、「助けてやれなくてごめんな」と涙を流し、「せめて禰豆子だけはなんとかしてやりたい」と、鬼にならないように「がんばってくれ!」と禰豆子の心に訴えかけます。
そこに、鬼を討つ“鬼殺隊”の最強剣士の“柱”である冨岡義勇がやってきて、禰豆子を殺そうとするのですが、これ以上家族を失いたくない炭治郎は「妹を殺さないでください」と土下座して懇願。人一倍家族想いなのに家族は殺され、まだ鍛える前だから弱い主人公……ああ、なんて悲惨で暗い話。いやぁもう、タイトルからして「残酷」ですからね……。とはいえ、家の前に家族を埋葬して、禰豆子の手を取り旅立つ炭治郎ら兄妹の姿に、応援せずにはいられなくなります。
続いては、第19話「ヒノカミ」。最精鋭の鬼である“十二鬼月”の下弦の伍・累と戦う場面で、瀕死の状態となる炭治郎。累の攻撃によって気を失っていた禰豆子の前に、亡くなった母があらわれて、「お兄ちゃんを助けるの。いまの禰豆子ならできる」と囁きます。そのおかげで目を覚まし、「爆血」という血鬼術を使い、炭治郎を援護する禰豆子。
炭治郎は「俺と禰豆子の絆は誰にも引き裂けない!」と叫んで刃を振るい、視聴者は兄妹の強い絆を目の当たりにします。2人がピンチのときには度々あらわれて助ける、母や竈門家の兄妹たち。それは炭治郎や禰豆子の心のなかに出てくる家族の残像なのか、それとも死後もなお見守っている守護霊のような存在なのか。
いずれにしても、こうした竈門家の強い絆があるからこそ、敵を倒すことができるんですよね。視聴者も自分の家族のことを重ね合わせるからか、“鬼滅”に思い入れが深くなるのも納得で、度々、おとなの涙腺を崩壊させます。また、とくにこの戦闘シーンは、素晴らしい映像美が国内外で話題となり、“ヒノカミ神楽”や浮世絵のような炭治郎の技の表現など、映画並みのハイクオリティーさが絶賛されました。第19話限定で流れた「竈門炭治郎のうた」も、レア度をアップさせています。
そして“鬼滅”がすごいのは、倒した鬼が「なぜ鬼になったのか」も描かれていること。それぞれが苦難を背負い、もがいている。“鬼退治”を通して、さまざまな人間ドラマを見せているところもあるのでしょう。また、鬼にさえ情けをかける炭治郎は、討った鬼が消滅する寸前に、鬼の哀しみを感じ取ってそっと手を伸ばすことも。そんな炭治郎の姿はまるで、傷を癒すためにヒーリングをする“ヒーラー”のようにも感じました。
わたしたちは『鬼滅の刃』から、あらためて家族の大切さを実感し、炭治郎に癒されているのかもしれません。だからこそ、“鬼滅”は多くの人たちから、絶大な人気を誇るんですね。
すでに放送が終了しているアニメの続きとなるのが、2020年10月16日(金)に公開される、劇場版『鬼滅の刃』無限列車編。アニメしか観ていない人には待ち遠しく、原作を読んでいる人には「どんなふうに映画化されるのか」が気になり、どれも観ていない人にとっても、おおいに期待が募るはず。筆者も劇場版を楽しみに、秋を待ちたいと思います!
第1話より。かつての竈門家の様子。やっぱり家族っていいですね! (c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
「鬼滅の刃」公式ポータルサイト https://kimetsu.com/
写真提供=アニプレックス