家の中の「温度差」が健康に影響?空気メーカーに聞く「温度のバリアフリー化」とは

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この時期まだまだ注意が必要なのが「ヒートショック」。急激な温度差、低温状態が血圧を急上昇させて、それが血液、心臓の動きに影響を与えることをヒートショックと呼びます。冬時期、服を脱いで裸になる脱衣室、浴室は低温によるリスク、ヒートショックが起きやすい場所として徐々に認知も高くなってきている場所ですが、実は注意が必要なのは脱衣室・浴室だけではありません!

ヒートショックはシニア世代の問題と考えている人は要注意。何気ない普段の温度差が、健康にも影響を与えているかもしれません。

今回は、近畿大学の岩瀬教授にヒートショックについて、また空気メーカーのダイキンによる家内でのヒートショックの防ぎ方について、伺いました。

寒さ我慢の日本人。リスクは浴室・脱衣室だけじゃない!

岩前 篤 教授(近畿大学 建築学部学部長 建築環境システム研究室)

出典: DAIKIN

岩前篤教授(近畿大学 建築学部学部長 建築環境システム研究室)は、ヒートショックが冬時期に「低温」によって起こるコールドダメージ(様々な影響)の一部だと考えていると提言しています。

深夜の中途覚醒時に布団からトイレに移動する際、20℃近い温度差に身体をさらすことになります。さらに普通、お風呂は1日に1回入れば充分ですが、トイレは時として2回、3回と行くこともあり、同じような温度変化による負担を数回与えることになります。また寝ている状態から立ち上がるという行動変化や最近では座って用を足す人も増えており、ズボンを脱ぐため、いろいろな意味で血圧や血流に影響を及ぼしています。

厚生労働省の「人口動態調査」によると死亡原因を月別でみるとヒートショックと呼ばれる循環器系、血管系・免疫機構をはじめ呼吸器系、内分泌・代謝など様々な疾患が11月〜2月の冬時期に多くなっていることが分かります。

出典:厚生労働省

「冬になると循環器系、血流による病気が注目されますが実はそれ以外にも様々な病気で冬に亡くなる方が多くなっています。ただ、その原因を説明できる人がいないため、原因が分かりやすい循環器系、血流の病気を取り上げてヒートショックと呼んでいます。」

岩前教授は、日本人が「寒さは人を強くする」という考えのもと、我慢する傾向を指摘します。

「部屋の温度は高くした方が良いですよ」と研究データを使って説明しても、「寒い方が体を強くする」という考え方をベースにした感情的否定をされるケースも数多く経験してきたそうです。

家の中の「温度差」をなくす工夫を

ダイキン工業株式会社
野呂 朋未
(広報グループ)
出典: DAIKIN

世界150ヶ国以上の国に空調を販売し、世界の空調を知るダイキン工業 広報の野呂さんに日本と世界の空調の違いを伺うと、 日本は居室空間(寝室やリビング)を暖かくするのが主流ですが、アメリカでは1つの大きなエアコンで家の隅々まで温度調節する手法をとっていたり、ヨーロッパでは1つの給湯器で家中の床暖房やラジエーターに一斉にお湯を流して空調を行う、全室空調が主流だそう。

では日本ではどのように対策するのがおすすめなのでしょうか? 

ヨーロッパやアメリカのような方法で全室空調を行うことが難しく、日本では、小空間でも使用できる小型のエアコンがおすすめ。住宅を隅々まで暖かくするという観点ではヨーロッパやアメリカ型の空調も適していますが、高い省エネ性が求められる日本ではあまり受け入れられていません。

そういう意味では低コストで省エネ性が高く、かつ各部屋の温度差をなくすことができる“全室空調”がお勧めです。全室空調を取り入れることで、海外と比べると小さい、狭いと言われる日本の住宅でも、これまでデッドスペースとなっていた廊下や玄関などの空間も有効活用できるようになるので、住宅を隅々まで活用することにも繋がります。

出典:DAIKIN

エアコンも進化がめざましく、例えば、AI技術を活用した赤外線センサー「ムーブアイ mirA.I(霧ケ峰FZ・Zシリーズ 三菱電機)」は、少し先の体感温度を予測する世界初のエアコンで、寒さを感じる前に温度調節してくれるため、いつでも室内が適温に保たれます。

DAIKINからは、洗面所やキッチン、廊下などの非居室の小空間にも設置できる、業界最小サイズの小空間マルチカセット形エアコン『ココタス』が登場。無線LAN接続機能を標準搭載し、他室や外出先からもスマートフォンでエアコンを操作したり、アプリでウィークリータイマーを使い、平日と休日の生活パターンに合わせて、毎日自動で運転をする事もできます。あたたかいリビングから寒い脱衣室を事前にあたためておくことも可能、と、家の中の快適さを高めます。

この時期外の気温の温度の変化も激しくなります。部屋間の温度差を抑える「温度のバリアフリー」にも注目してみてはいかがでしょうか。

家の中の「温度差」が健康に影響?空気メーカーに聞く「温度のバリアフリー化」とははWoman Wellness Onlineで公開された投稿です。

【筆者略歴】

神崎 利奈

コスメライター/ブロガー/イベントレポーターコスメの成分についてまで詳しくなってしまうほどコスメ好き。食や美容、健康のイベントに300件以上参加し、レポートしています。お仕事のご依頼はkanzakirina@gmail.comまで。