25日、東京都新宿区の戸山高校で開かれたいじめ問題について考える公開座談会で討論する出席者。(撮影:佐藤学)

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東京都のいじめ問題を一緒に考える公開座談会「いじめの根っこを探る、東京からいじめの根っこを絶つ」が25日、都内新宿区の都立戸山高校で開かれた。

 石原慎太郎東京都知事のほか、警察庁の竹花豊・生活安全局長など有識者と小・中・高校生、保護者、教職員の代表など合わせて約40人が参加して行われた座談会では、いじめ問題の原因について意見が交わされる中、いじめ自殺報道が別の自殺を引き起こすという現象は、日本のいじめ問題の特徴の一つと指摘された。

 社会学者で首都大学東京の宮台真司准教授は「自殺者が発生してメディアが騒ぐという報道のあり方が、皮肉にも自殺者への呼びかけとして機能している」と指摘。こうした現象は日本特有なもので、騒ぐだけで有効な対策を明示しないメディアに責任の一部があると苦言を呈した。

 自殺予告の投函問題について、石原都知事は「忌まわしい事件に便乗して、社会を騒がせて楽しむ性質(たち)の悪い『愉快犯』もいる」と怒りを表した。

 ジャーナリストの江川紹子氏は、いじめ自殺問題を隠そうとした北海道の学校や教育委員会のケースを取り上げ、現在のメディア報道の姿勢に意味があることを強調しながらも、一方で「(ジャーナリストは)一つのことを取材しているとそのことで頭がいっぱいになり、どこに位置しているのかを見失ってしまうことがある」と反省すべき点を挙げた。【了】