【鷲津正美コラム】四面楚歌のモウリーニョ、イングランド復帰計画始動

2013年1月17日 10時5分

レアル・マドリーのジョゼ・モウリーニョ監督が、イングランド復帰計画を本格的に始動させたようだ。昨季はチームをラ・リーガ優勝へ導き、ポルトガル、イングランド、イタリアとスペインの４か国でタイトルを獲得するという偉業を達成したモウリーニョだが、レアル・マドリーで過ごす日々にピリオドが打たれようとしている。

“Love it or Hate it” 、これはマーマイトという主にトーストに塗るペースト（独特のしょっぱい風味とキツイ匂いで悪評高き食品。好き嫌いがはっきり分かれる）のキャッチコピーだが、モウリーニョ監督を表すのにピッタリなフレーズだ。

記者会見で周囲を驚かす過激発言も然り、内容より結果至上主義なところも支持・不支持に二分される所以だが、スペインでは敵を作りすぎてしまったようだ。とある意見調査で60％以上のレアルサポーターが「モウリーニョの振る舞いはクラブのイメージに相応しくない」と答え、イケル・カシージャスやセルヒオ・ラモス、クリスティアーノ・ロナウドとの確執が噂されるなど、選手たちとの関係もギクシャクしている。

クラブのディレクター陣の数名も指揮官のおふざけに耐えかねているらしい。モウリーニョ監督は連日の過剰報道に激怒し、メディアにネタをリークする人物を特定すべく、選手とスタッフの面談を敢行したという。モウリーニョ監督が四面楚歌のマドリーを離れる決意を固めても、なんら不思議ではない。

しかも、モウリーニョ監督のイングランドに対する思い入れは深い。2004年ポルトでCL優勝を果たし、チェルシーへやって来た“スペシャル・ワン”は、プレミアリーグ優勝２回、リーグカップ優勝２回、FAカップでも頂点に立ち、その名を世界に轟かせた。

「イングランドフットボールの思い出はこの上なく素晴らしい。自分にとって国外で指揮を執る初めての経験だった。ポルトガルを去りイングランドへやって来た時はまだ若手監督だった。だが、ここ以上に優れた行先はない。イングランドでは試合に対する真の情熱を感じる。他の国ではクラブに対する熱い思いを肌で感じるが、イングランドで感じるのはフットボールに対する情熱だ。イングランドでの思い出は最高だ。最初から最後の日まで大好きだった。イングランドを去ったことは悔いていない。幸いにもイタリアでエンジョイ出来たからね。インテルで、そしてその後はスペインで成功を収めた。だから後悔はしていない。でもいつの日か必ずイングランドに戻る。なぜなら、自分にとってイングランドは非常に大事な場所だから」

こう語るモウリーニョ監督のプレミア復帰の日は近いだろう。

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ロンドン在住。フットボールの母国から、現地在住ならではの視点で注目のトピックスを綴る。

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