香川真司がマンチェスター・ユナイテッドで実戦デビューした。僕も、香川のマンチェスター・U移籍にはワクワクしていた。どんなデビューをするのか、どんな活躍をするのか、非常に楽しみだった。「だった」と過去形にしたのは、僕の中で興味を失ってしまったからだ。

彼はロンドン五輪への出場を断った。本人の強い意志でそうなったのではなく、周囲がそう差し向けたのかもしれないにせよ、自分から出ようとしなかった。
  
日の丸を背負うことは、代表選手であることは、特別であるはずだよ。たとえアンダーエイジの代表でもそれは変わらない。国を背負って戦うことに、サッカー選手としては最大の意義がある。

こんなことがまかり通っていたら、サッカーの五輪競技には本当に意味がなくなってしまうね。ブラジルでは代表を断るなんてご法度だ。現に今回の五輪代表メンバーにはネイマールにパト、オーバーエイジにはフッキもいるよ。

これは日本のメディアの責任でもある。彼の取り巻きの責任でもあるかもしれないね。たしかにマンチェスター・Uの方がお金になるかもしれない。でもスポーツは本来、興行を超えたところにあってしかるべきだ。日本代表よりマンチェスター・Uの方が価値が高いと捉えられるのは、個人的には解せないな。

厳しい言い方かもしれないけれど、長い目で見たときに、香川本人にとっても、日本サッカーにとっても、言っておくべきことだと信じている。日本サッカーは何のためにあるのか。マンチェスター市民のためではないよ。日の丸の重みを今一度考えてほしいね。