W杯予選のフェロー諸島戦を3日後に控えた7日、フランス代表のDFエリック・アビダル（バルセロナ）がル・パリジャン紙のインタビューで自身がチームで果たす役割について語った。

　バルセロナでは左サイドバックを守るアビダルだが、フランス代表では本格的にセンターへとコンバートされる見通しが高まっている。左サイドにはエヴラ（マンチェスター・ユナイテッド）とクリシー（アーセナル）が揃う一方で、センターはいまひとつ手薄なためだ。

　アビダルのフランス代表キャップ43試合のうち、センターバックを務めた試合は、途中交代も含めて9試合を数える。大会での本戦となるとユーロ2008のイタリア戦（2008年6月17日）のみだが、このときは前半24分にペナルティエリア内でのファウルで退場となる悪夢を経験した。

　しかし本人は以前から「失敗の許されない、より責任のあるポスト」であるセンターバックでのプレーを強く望んでいる。ドメネク監督はセビージャでコンビを組むスキラチとエスキュデの相性を重視してはいるものの、ルーマニア戦でエスキュデがオウンゴールを犯したこともあり、代表での経験が豊富なアビダルとギャラスのコンビを優先しつつある。

　ただし「まだチームにとって不動の存在にはなれていない」と控えめなアビダル。代表では2試合キャプテンを務めたこともあるが「誇りに思うけど、自分はリーダーではない」と、あくまで代役としての立場を認める。アビダルにとって代表のリーダーはバルセロナのチームメイトでもあるアンリだ。

　たとえば「ビルトールのことを若手が“髪の毛なくなっちゃったんじゃないの？”と冷やかしたとするだろ。彼ならふざけ合って終わり。ところがアンリに同じことを言ってみろよ。タダじゃすまないね」と、アンリが別格の存在であることを明かす。「代表には“幹部”とそうでない者がいる。アンリはまさに“幹部”なんだ。だから監督にも面と向かって意見できる。僕が同じことを言ったら“おい、何か問題でもあるのか？”と言われるのがオチさ」とチーム内の“力関係”を垣間見せた。

　監督はアビダルについて「若手ともベテランともうまくやっていける」という認識をもっている。本人も「ベンゼマが16歳でリヨンに来たとき、僕がチームに溶け込ませる役目をした。代表でもこれが僕の役割だろうね」と話し、“若手とベテランの橋渡し役”を自任している。

　最後にドメネク監督について、「頭のいい男。選手を守るのが彼の仕事で、それを全部背負っているのだから大したものだ。僕はいつでも彼のために一生懸命やるつもりだ。彼はチームをひとつの家族にすることに成功した」と評価しており、外からの評判とチームの内情が異なることを明らかにした。