関口和重消防総監（左）から救命講習優良証を手渡される国際自動車の山本裕二社長（撮影：宗宮隆浩）

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タクシーが“救急車に変わって”患者を搬送─。東京消防庁は９日、症状が軽度な患者にタクシーを案内するサービス「サポートＣａｂ」を始めた。都内の救急出動件数は増加し続けており、現場への平均到着時間が７年前より約１分遅くなっている。119番通報の中には患者が歩行可能なケースなどもあり、そうした患者が同サービスを利用することで、救急車をより緊急性の高い患者に対して迅速に配車し、救命率を高めるのが狙い。

　都内では昨年、救急出動が約67万8000件あり、1998年と比べ約17万件増加、平均現場到着時間は平均６分18秒と約１分遅くなった。同庁では、今年４月から民間救急コールセンターを開設し、民間事業者の救急車を案内してきた。しかし、車イスや寝台を搭載した民間救急車は、軽症患者には割高だったり、利用者の中にはタクシーを希望する声があったことから、今回の案内サービスを開始した。

　案内対象となるタクシー会社は、◆救命講習を受けた運転手が３割以上いる◆23区内での営業なら2000台以上のタクシーを保有◆デジタル無線配車システムがある─などを満たすことが条件。対象車両は人工呼吸マスクなどを配備し、車両後部に赤いステッカーが貼られている。

　９日は東京都千代田区の東京消防庁麹町合同庁舎で運用開始式があり、関口和重消防総監が、国際自動車の山本裕二社長に救命講習優良証が手渡された。

　参入タクシー会社は今のところ同社だけだが、複数社が準備を進めているという。同庁では「将来的には、心臓疾患に対応するＡＥＤ（自動体外式除細動器）などを導入、通常業務時でも適切な救命措置を可能にして救命率を高めていきたい」と期待を寄せている。

　利用者からの電話はコールセンターで24時間受け付け、症状に応じて診察可能な病院を案内する。電話番号は0570（039）099。【了】

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