安定したセービングで勝ち点3獲得に大きく貢献した/(C)新井賢一

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サッカーのロシア・ワールドカップ(W杯)出場をかけたアジア最終予選の第6戦が、3月23日(木)に行われた。

【写真を見る】因縁の相手にリベンジを果たした日本代表/(C)新井賢一

6大会連続6回目の本大会出場を目指す日本代表は、アウェーでUAE代表と激突。久保裕也と今野泰幸のゴールで、2-0の快勝を収めた。

流れを引き寄せる、大きなプレーが20分に飛び出した。

相手FWがDFラインを抜け出し、決定的なシュートを放ったシーン。直前に先制に成功していただけに、すぐさま追いつかれていたら、試合展開も一気に混沌とした可能性もあった。

大きなピンチだったが、「一対一で抜けてくるのはわかっていたので、とにかくコースを消しにいこうとした」と振り返った通り、GK川島永嗣は軌道を見極めて冷静にボールを足で弾き出した。

所属するフランスのFCメスでは控え暮らしが長く、1月のカップ戦から公式戦の出場はなし。クラブでは若手たちとリザーブリーグで汗を流すこともあり、代表でも後輩たちのサポートに心をくだき、経験豊富なベテランとしてチームを鼓舞する役回りもしっかりこなしてきた。

試合から遠ざかったこともあり、「今回は呼ばれないかな」という思いもあったという。しかし、ヴァイッド・ ハリルホジッチ監督は招集し、迎えた試合前日に、「今まで代表で経験してきたことをピッチで出してくれ」と声をかけ、先発起用を伝えた。

相手のUAE代表は、昨年9月にホームで敗れていた因縁の相手となる。負ければW杯出場圏外に転落する可能性もあった。

「自分自身、代表で長くやらせてもらっている分、こういう一戦の重みはわかっている」というだけに、指揮官としてのリスクにも考えは及ぶ。

「監督も大事な一戦で、公式戦に出ていない選手を使うのは勇気のいる決断だったと思う。期待を裏切れないという気持ちもあった」

とはいえ、代表戦出場は昨年6月以来。そして、敵地での大一番。「試合前には様々な思いが頭をよぎったと明かす。

「人生の中でこの90分は返って来ない。いくら自分が試合に出ていなかろうが、ピッチの上に立てばいい訳もできない。あとのことは何も考えずに臨んだ」

日本代表を勢いに乗せたビッグセーブはもちろんのこと、「できるだけ頭の中をクリアにして入ろう」という思いを体現するかのようなプレーを披露。DFラインの後ろに出てきたボールに対しても迷いなく飛び出し、ピンチを摘んでいった。

どれほどの苦境に陥ったとしても、気持ちを切らすことなく、準備を積み上げ続けてきただけに、言葉には実感がこもる。

「ここまでやるべきことはやってきた。思い切って入るだけだった」

誇張も飾りもない。等身大の守護神の復活劇が、ピッチにはあった。【ウォーカープラス編集部/コタニ】