できてしまった傷跡には、“保湿”“UVカット”“摩擦防止”が肝心

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擦り傷や切り傷の後や、蚊に刺された後などにできた傷跡は、薄着になる季節に入る前に、できれば目立たなくしたいところ。湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科部長の山下理絵さんによると、「種類にもよりますが、傷跡は目立たなくさせることができます」とか。

傷跡が茶色い場合、傷を細菌などから守る際に集まってきた炎症細胞が表皮に残っているそう。この炎症細胞は茶色っぽい色をしているため、皮膚を元通りにするためには、表皮を乾燥や紫外線などの刺激から守って、炎症をいち早く抑える必要がある。

「皮膚にうるおいを与えて表皮を乾燥させない『保湿』、紫外線の刺激を避ける『UVカット』、傷口をこすらない『摩擦防止』の3つを心がけましょう。オイルやクリームなどで傷跡を潤し、最後に日焼け止めを塗ると、傷痕を目立たなくすることができます」(同)

摩擦防止のためには、被覆材という皮膚を乾かさずに保護するシートを利用して。保湿剤を塗った傷跡に、傷より少し大きめのサイズにカットして貼って。剥がれないためには、医療用のテープを使うのがおすすめ。

傷跡ケアは皮膚の再生が終わって傷が治ったらすぐに行うのが最も効果的だが、以前にできたる黒い傷痕や、瘢痕(はんこん)といって赤く盛り上がった傷痕を目立たなくするのにも有効なのだとか。

「瘢痕とは、傷の修復の過程で傷を治すはずのコラーゲンが過剰に作られて、盛り上がって残った状態で、深い傷のときにできやすいものです。また、時間が経って傷痕が黒っぽくなっているのは、炎症細胞ではなくむしろメラニン色素が過剰に作られるため」(同)

そこで、これらの古い傷跡を薄くするためには、先の3つのケアのほかに、美白効果のある化粧水をケアに加えるといいそう。

「皮膚のターンオーバーは30日と言われていますが、実は30代では40日、40代では60日がかかります。傷痕が薄くなり、新しい皮膚に生まれ変わるまでは時間がかかるため、根気よくケアを続けてください」(同)

傷ができた時期によっても、ケアの方法は若干異なる。適切な対処と根気で傷跡を治していこう。

山下理絵
湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科。医学博士、同病院形成外科・美容外科部長。日本形成外科学会専門医、日本形成外科学会認定施設長、日本美容医療協会認定専門医、日本レーザー医学会専門医、指導医、日本熱傷学会専門医、日本熱傷学会認定施設長、日本抗加齢医学会専門医、Medical skin care specialist direct doctor、北里大学非常勤講師、横浜市立大学非常勤講師。
外傷や再建、腫瘍など形成外科の診療はもちろんのこと、子供のあざやしみなどのレーザー治療では定評があり、多くの講演や教育を行っている。最近では、幹細胞を用いた乳房再建を行い、ウーマンライフのQOLの向上にも努めている。