放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会は27日、裸になったお笑い芸人のおむつを脱がせる場面などを放送したテレビ番組『ざっくりハイタッチ』(テレビ東京系)について、審議入りすることを決定しました。

新米パパ芸人が赤ちゃんケアを学ぶ企画

毎週土曜深夜1時15分から放送されている『ざっくりハイタッチ』は、千原ジュニア、小籔千豊、フットボールアワーがレギュラーを務めるお笑い番組。地方によっては放送日や時間が異なるが、いずれも深夜帯での放送となっています。

問題となった回は「芸人パパの赤ちゃん育児教室」と題した、子どもが生まれたばかりの芸人たちが正しい育児方法を学んでいくという企画。日本人第1号のベビーサインアドバイザーやベビーマッサージ講師、プリネイタル講師といった育児に関する資格を取得したイクメン芸人も登場し、正しいマッサージや沐浴の仕方、声がけの大切さなどを解説していきました。

「下品なことを放送すべきでない」とクレーム

そうした赤ちゃんケアを実際の体験を赤ちゃんや人形ではなく、赤ちゃん姿に扮した芸人を相手に学んでいくということで、マッサージをする側とされる側、両方の芸人たちのリアクションを面白がる流れがありました。

問題のシーンは赤ちゃんのおむつの替え方を実践練習した箇所。実際のおむつ交換の流れを解説した後、片方の芸人が、おむつ以外裸の芸人のおむつを脱がせてお尻拭きでお尻を拭いていきました。陰部にモザイクがかかりながら映し出された互いの悶絶する姿に、放送後、BPOには「下品なことを公共の電波で流すのはひどい」といった意見が視聴者から寄せられたということです。

また番組後半では、ママ役として登場したAV女優がおむつ姿の芸人に不必要に密着してマッサージを施すシーンもありました。

「観たくない人は観なければ良い」といった声

今回のニュースを受けて、番組を見ていたネットユーザーからは

・確かに見ていて不快な気持ちになった
・お母さん役としてAV女優がおむつ姿の芸人をマッサージして勃起させようとするところは気持ち悪かった

といった否定的な意見もあれば、

・このクレームを言った人が国民の総意ではないと思うけど
・朝やゴールデンではなく深夜番組だから何をしても良いってわけではないけど、こんな深い時間にやっている番組なんだから嫌なら見なければ良い
・BPOの、絶対に自分たちが正しいという基準もどうかと思う
・もっと審議すべき番組あるんじゃないの?

と、番組を容認する意見が多く出ていました。内容の良し悪しだけではなく、規制の厳しさや視聴者側のテレビを見る意識についても様々な声がありました。

現代における“メディアの見方”

今回の件以外にも、個人を特定した誹謗中傷、やらせ、偏向報道など、テレビを取り巻く問題はさまざまあります。規制が厳しくなってきたと言われている中で、バラエティ番組がどんどんつまらなくなっていると感じる人も多いでしょう。

長年、テレビは一方方向的に情報を与えられるものであり続けていましたが、今や、メディアはすべて与えられる環境から自分で取捨選択する環境へと変化しています。つまり、視聴者、審査する側の意識も旧態依然の考えから変わっていくのは当然のこと。誰にどんなことを配慮すべきなのか、どのクレームは受け入れるのか、などBPOの在り方も見直される段階に来ていると言えるでしょう。

(石狩ジュンコ)